機能不全家族とは
概要
機能不全家族は一般家庭における家族の役割が正常に機能してない家族です。
家族内の役割が適切に行われずに機能不全な状態の家庭になっているため機能不全家族と言われ、不法行為や家庭崩壊が起こっている事も多いです。
親が自分の子供に対して虐待やネグレクト(育児放棄)などの「子供を大切にしない」行為をする家庭がある一方で、子供に過剰な期待をする毒親によって精神的に追い詰められてしまうなど、家庭内の環境が一般的な子育てや生活とは乖離してしまっている状態です。
このような家庭は子供の成長に悪影響を与えてしまい、最悪の場合は命の危険を感じたり、精神的に追い詰められて自らの命を絶ってしまう事もあります。
機能不全家族について
機能不全な家庭では、主に子供に対する親の対応がに問題がある事が多い事から子供は日々強いストレスを受けてしまうケースが多いです。
特に問題となるのは児童虐待(身体的虐待・精神的虐待・ネグレクト・性的虐待など)を受ける事で精神的な影響だけではなく身体的な影響も及ぼすことがあり、心身の発育に不適切な環境は大きな悪影響を与えてしまいます。
例えば
- 健常な家庭で育った子供とは異なった思考や精神状態になる事が多く、中には心的外傷後ストレス障害(PTSD)を発症する人もいます。
- 日常的に暴力を振るわれている子供は学習無力感を覚え抗う事をやめてしまうため、暴力がエスカレートする家庭も多いです。
このような環境の違いはその後の人生を大きく左右する問題となります。
機能不全家族に陥る原因の代表例は以下の通りです。
- 依存症(アルコール依存症、ギャンブル依存症、薬物依存症、共依存など)
- 親の不在・浮気・離婚・再婚
- 家庭内暴力(DV/ドメスティック・バイオレンス)
- 病気
- 貧困(絶対的貧困と相対的貧困)
- 宗教
機能不全家族で育った方が大人になり、家庭を持つ場合、機能不全家族となりやすい傾向があります。
これは遺伝的な要因のほかに健常な家族を知らない事が大きな原因とされています。
機能不全家族で育った方の多くが社会では生きづらさを抱えて過ごすことが多いです。
機能不全家族が原因と思われる精神状態は
- 愛着障害(アタッチメント障害)
- アダルトチルドレン(AC)
- 心的外傷後ストレス障害(PTSD)
- シンデレラ症候群(シンデレラシンドローム/シンデレラコンプレックス)
- ナルシスト
- ピーターパンシンドローム(ピーターパン症候群)
- マキャベリズム
- 優越の錯覚
などがありますが、多くは軽微である反面、重症化している人は日常生活にも影響を及ぼしてしまっています。
対策として
機能不全家族を改善するために一番大切なのは自身のおかれている(おかれていた)状況や環境が機能不全家族だと認識する事が重要です。
しかし、基本的に長年生活していた環境は「あたり前」の環境として認識しているため、その認識を覆す事はとても難しいです。
そのためには、まずは健全な家庭環境について学ばなくてはいけず、これには周囲の方の協力が必要になる事が多いです。
場合によっては家族と距離を取るという選択になる事もありますが、大切なのは一人で抱え込まないで周囲の方へ協力を求める事です。
パレートの法則によると、どんな風に振る舞っても世の中の2割の人は味方になってくれるとされています。
基本的に生きる上で大切な事は「誠実性」と「感謝の気持ち」だと考えられているため、この二点を護る事で多くの人から好かれるようになります。
しかし、どんなに努力しても「2割の人からは嫌われてしまう」とも考えられているため、無理に合わせずに適度な距離感を保った関係を形成するのが良いとされています。
辛い事が多い環境だったとしても、それを乗り越えた先には明るい未来が待っているとポジティブに考える事は大切です。
「災いを振りまくパンドラの箱の底には希望が眠っていた」とされているように、最後には明るい未来が待っていると思う事で、絶望の中の光を目指して進むことができます。
※仮に希望がないとわかっていたらみんなあきらめてしまうと思います。
まとめ
子供は偏見や善悪の感情を持って生まれてくることはありません。
つまり、子供は成長する過程で様々な能力や知識を身に着けて大人になっていくため、教育環境による影響はとても大きいです。
しかし、家庭内の閉ざされた空間での常識でも子供からは「世界全てに共通している常識である」と思い込んでしまう傾向があるため現在の置かれている状況が正常だと認識(本当は異常です)して育ちます。
家庭環境で過ごす時間はとても長いため、その期間の影響は人格形成に大きな影響を与えるため人生に大きな影響を及ぼす要因となっています。
しかし、家庭内で弱い立場である事が多い子供をターゲットにして暴力や罵詈雑言を浴びせる子供を大切にしない親や、子供の将来の事を考えすぎてしまう事で子供に求める要求が徐々にエスカレートして大きな負担を強いてしまう毒親もいます。
※トラウマが植え付けられてしまい、中には不安障害に長期間悩まされてしまう人もいます。
このような「子供を大切に思っている家庭」と「子供をぞんざいに扱っている家庭」は真逆のように思えるかもしれませんが、倫理や道徳・論理的な思考などを身に着けて自立した人間に育てる事が重要です。
しかし、機能不全家族の保護者は子供の自立を尊重しない偏った考えをもっているため、健全な学習環境や経験の取得などを保護者が妨げているため対人関係などで上手にコミュニケーションが行えないなどの問題が起きてしまう可能性もあり、学校・職場・友人関係などの交友関係で適切な距離感が取れずに生きづらさを抱えてしまう事もあります。
また、機能不全家族で育ち大人になった人が子育てをする際に「健全な家庭を知らない」事が原因となり自分の子供に対して適切な子育てが行えない人も多く、幼い時に「虐待の被害者だった」人が成長して親になり子育てをする際に「虐待の加害者」となってり虐待が連鎖してしまうケースは多いようです。
このような事を防止するために里親制度を利用する家庭も、とても稀ですがあります。