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貧困(絶対的貧困と相対的貧困)

投稿日:2020年12月6日 更新日:

貧困(絶対的貧困と相対的貧困)とは

概要

貧困は金銭的に恵まれていない状況ですが、それぞれの置かれている環境は様々です。

一口に貧困と言っても状況によって「絶対的貧困」と「相対的貧困」に分類されています。

それぞれの定義の生活水準の大きく異なります。

  • 絶対的貧困
     人としての水準を維持する事が難しい(貧困線を下回る)状態
  • 相対的貧困
     文化的な水準を維持する事が難しい状態
     (その地域で見た時に中央値と比較して生活が苦しい層で、その国の文化水準や生活水準と比べて困窮している状態)

このように区分されていて、基本的に日本で話題に上がる貧困は相対的貧困である事が多いです。

これは日本の制度では生活で着ないほど貧しい環境から抜け出す方法が整備されているのが大きな要因で、憲法によっても最低限度の生活が定められている事も大きな要因となっています。

日本国憲法 
 第25条 生存権、国の社会的使命

①すべての国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。
②国は、すべての生活場面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない。

最低限の生活を行う事を国が保証しているため、日本では衣食住に困って餓死や凍死が直接的な死因と判断されるような劣悪な状態は稀です。

しかし、絶対的貧困と相対的貧困の差を具体的にイメージできる人は少ないと思います。

絶対的貧困と相対的貧困の差

日本は絶対的貧困よりも相対的貧困の水準が遥かに高く、世界でも恵まれた環境です。

具体的な水準は以下のようになっています。

世界の絶対的貧困日本の相対的貧困
1日1.25ドル(150円程度)未満の生活年収122万円以下(平均月収10万円以下)
食料や水を調達できないご飯を食べたくても食べられない時がある
服や家がない生活保護を受給している
電気やガスなどのエネルギーが手に入らないライフラインの支払いが遅延する
病気になっても医療を受けられない国民健康保険に加入できない
教育を受ける事ができない家庭の事情で進学をあきらめる
衛生環境が整備されていない災害などによって土地が荒れてしまっている

世界的には絶対的貧困で生活する人が多く食料の確保もままならない人がいる一方で、日本では年間約600万トンの食糧が廃棄されています。

このことからもわかるように、日本のような先進国で衣食住に困る生活困窮者は極一部なため、実際に該当する人を目にする機会がなかった人の方が多いのではないでしょうか。

貧困の問題点

貧困で特に問題視されているのが親の貧困が子供へと繋がる貧困の連鎖です。

親の受けた教育レベルが低い事が影響して家庭の収入が少なくなってしまうと、生活や教育レベルに悪影響がでてしまう事が多いです。

日本の高校進学率は90%を超えていますが、進学できない人の多くは金銭的な理由によって高校へ進学できませんし、進学しない家庭の多くは相対的貧困に分類されています。

そして、十分な教育が受けられずに育った子供(親の収入が少ないと進学をあきらめたり学業と並行して働かなくてはいけないなどの問題を抱える人が多いです)の収入は少なくなってしまう傾向が強く、親の給料水準は子供の給料水準と近くなってしまう事が多いです。

特に新卒で社会に出るとこの差を体感する人も多いと思います。

教育の格差の影響(最終学歴など)は新卒の年収に強く反映される傾向が強いので、10~20代の年収は親の影響による貧富の差が現れやすい傾向があります。

そして、貧困層の周りには効率よく稼ぐ方法を知っている人はいないため「貧困である事があたりまえ」という洗脳に近い影響を受けてしまっていますし、そのような環境を変えるための方法を知っている人は周りにいない事は富裕層との大きな差となります。

さらに、貧困層の家庭では収入を得ると親を金銭的に支援する事が多い反面、富裕層の家庭の子供は親に支援される事が多いのも格差を助長しています。

この差はリスク許容度にも大きな影響を与える(金銭的に頼れる人が少ないので失敗すると生活が成り立たなくなってしまいます)ため、挑戦できる回数に大きな差が生まれてしまうため、社会で成功するためにチャレンジできる回数が少なく難易度が上がってしまっています。
※親が定収入の場合は金銭的なアドバイスを貰える可能性は低いですが、富裕層の家庭では実績から導かれた具体的なアドバイスをもらえる事もあります。

しかし、30代になる頃には親の影響が減っていき実力が評価されるようになっていくため親の影響で人生が決まるわけではありませんが、努力だけで貧困層の家庭から超富裕層になれような人は一握りですし、相当のリスクをとってチャレンジしなければ難しいです。

そのため、多くの人は挑戦さえあきらめてしまうため、貧困の連鎖から抜け出す事ができないまま大人になってしまう事が多いです。

極端な例にはなりますが、生活が苦しいのなら生活保護を受給すればいいと思う人も多いかもしれませんが、十分な教育を受ける事ができなかった無戸籍の大人の中にはひらがなが書けなかったり四則演算ができない人もいます。

そのような人が自分で生活保護というシステムを見つけて実際に受給する難易度は想像を絶するものがあると思います。
※このような人を保護するシステムもありますが、実際にすべての人を救えているわけではないと思います。

日本では6人に1人が相対的貧困だと考えられているため、絶対的貧困に陥っている家庭は極稀な環境ではあると思います。
※絶対的貧困は正しく統計が取れていない可能性が非常に高いです。

まとめ

貧困は世界でも大きな社会問題として考えられています。

そのため、SDGs(エスディージーズ)のように世界的にも真剣に議論されておりソーシャルグッドを目指す雰囲気が広まっています。

1990年に全世界で極度の貧困に苦しめられている人は19億人いましたが、2015年には8億3,600万人にまで減少しました。

とても大きな進歩ではあると思いますが、未だに多くの人が経済的に困窮しています。

幸いな事に日本は比較的経済的に恵まれた環境に身を置く人が多いですが、近年は教育の格差が収入の差を生み貧富の格差が広がっています。

また、経済的に困窮した家庭で育った子供の多くは家庭環境も恵まれていない事が多く、貧富の差によって成長する過程で体感して得る知識・経験などの差が与える影響が大きいと考えられています。

これはメディアでも多くとりあげられていますし、この差は一朝一夕で埋まるようなものではないため改善する事が難しいです。

しかし、経済的に恵まれていなくとも、子供が必ずしも不幸になるわけではありません。

例えば
褒められる経験が少ない子供は自己肯定感が低い傾向があり、自己肯定感の低い子供は不幸だと感じやすい傾向があるため、親が積極的に子供を褒めて育てる事で自己肯定感が高く小さな幸せを見つけられる子供に育つ可能性が高いです。

しかし、経済的に恵まれていない子供の家庭環境は恵まれていない事が多く、子供に良い教育をすることができない傾向があります。

そのため、経済的な格差が問題の本質ではなく一番の問題は教育格差にあると考えている人も多いです。

日本の貧困世帯の多くは相対的貧困であるため、教育の重要性を十分に理解できるようにして貧困の継承を止める事が重要です。

特に近年問題視されているのは「ヤングケアラー」と呼ばれる学生で、家事や年少の子の面倒を見たり、高齢者の介護に多くの時間を割いている子供です。

このような子供は成長していくと、進学や就職の際に選択肢が狭くなってしまい収入の低い仕事を選択せざるを得ない事も多いです。
※介護やお世話で就労時間が狭くなることで正社員になれない事も多いです。

しかし、貧富の差だけが問題の本質ではなく(収入が多い人はその分多くの税金を納めてくれているので社会は成り立っています)収入の少ない人の収入を増やすと同時に、富裕層の収入も増やして税収を上げる事も重要です。

また、生活が苦しくなってしまったら生活保護という制度を積極的に活用して基本的な生活環境を支援してもらうとういう選択肢を取る事も重要です。

労働収入よりも生活保護の方が生活が豊かである可能性が問題視される事もありますが、労働賃金が低い会社で働いているならば転職や起業などという選択肢を取る事も選択肢に入れたほうがいいかもしれません。

また、一部では生活保護を受給している人をバカにするような人もいますが、平和な日本でも紛争や天災などによって富裕層であった人が急に絶対的貧困へと陥る可能性もないわけではありません。

自分だけが良ければいいという考えではなく、困っている人を助けられる社会は素晴らしいと思いますし、実際に多くの富裕層は多額の支援をしています。

このようなノブレス・オブリージュ(力には責任が伴う)の考えを多くの人に持っていただきたいです。

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