概要
自爆営業(じばくえいぎょう)は「従業員が自己負担で商品を購入」して売上を上げる行為です。
会社側は基本的には「顧客に商品を購入してもらう事」で利益をあげますが顧客の変わりに「自社の商品を従業員が購入する事」で売上に貢献する事があります。
※従業員が商品を購入する事自体には問題点はありません。
しかし、従業員が商品を購入する際の経緯に問題があるのが自爆営業の特徴です。
企業に勤める従業員に営業ノルマが定められる事がありますが、条件を達成しない場合に「社員が一方的に罰則などの不利益を被る場合」などは違法性があるため政府も規制強化に動いています。
自爆営業の違法性
自爆営業が問題視されているのは労働基準法に抵触しているためです。
労働基準法
第2章 労働契約
第16条 賠償予定の禁止使用者は、労働契約の不履行について違約金を定め、又は損害賠償額を予定する契約をしてはならない。
労働基準法
第3章 賃金
第24条① 賃金の支払賃金は、通貨で、直接労働者に、その全額を支払わなければならない。(後略)
このように、労働基準法では営業のノルマを満たせない事に対しての賠償額を定める事や通貨以外の賃金の支払いを禁止している事は知っておいて損はない知識です。
つまり営業ノルマを満たせない事を理由にペナルティを与える事は問題です。
具体的には
- ノルマを満たせない場合、従業員に強制的に購入させる。
- ノルマを満たせない場合、従業員の給料を減給させる。
- ノルマを満たせない場合、従業員の給料を物換算で支払う。
このような事は労働基準法違反となり非合法な行為となります。
他にもパワハラやセクハラを行う上司の場合に「商品を後数個販売すれば上司から怒られずにすむ」という状況に置かれると購入を検討してしまう人も多いと思います。
悪質な企業の場合は「達成の現実性が薄いノルマ」を定めている事で社内全体に自爆営業が蔓延している組織もあります。
特に大きな問題となるのは購入した商品の支払いを行うタイミングで、基本的に商品の売れ行きが悪い事が根本的な問題であるため組織の利益率は低く、従業員の賃金水準も低い傾向があるためただでさえ生活費がカツカツな社員の生活が更に悪化する可能性があります。
まとめ
自爆営業はノルマという言葉の印象が強いですが「目標」や「期待値」などと表現方法を取り繕っている組織もあります。
しかし「従業員が強制的に商品を購入させらる(条件を満たせなければ減給など)」場合は当然違法です。
自爆営業の性質上、単価が安い商品(購入に対する心理的なハードルや金銭的な余裕が少なくても行えるため)や期間限定の商品(販売期日が決まっているため厳しいノルマが課せられる傾向が強いです)で起こりやすいと考えられています。
実際に自爆営業が横行しているとニュースなどで取り上げられた事例もあります。
- 郵便局で取り扱われている「年賀はがき」
- 農協で取り扱われている「共済保険」
- 中古車販売業界で取り扱われる「自動車」
- 飲食業界(ファミリーレストランなど)で提供されている「料理」
- アパレル業界で取り扱われている「洋服」
- エステサロン業界で取り扱われいる「サービスコース」
- スーパーマーケット・コンビニなどで取り扱われている「季節商品(恵方巻、ケーキなど」
※内閣府(こちら)で掲載されています。
ノルマ未達の場合に路上販売(真冬や真夏でも)をさせる組織もあるようですが「商品に魅力がない」事が売れない根本的な要因の場合は「努力しても全く販売できない」事もあるため「自分で購入する」という選択肢をとる人がでるのも頷けるような状況です。
このような自爆営業が禁止されるのは「自爆営業によって可処分所得が減る」ため「生活に悪影響がでる」事なども要因ですが、労働契約を締結している(労働基準法で定められている条件以下の定めは無効になり労働基準法が順守されます)以上「契約違反」となっている行為のため禁止されています。
悪質な自爆営業の場合は実質的には最低賃金未満になる事もあり、俗に言う「ブラック企業」に該当します。
このような組織に入社してしまった時の対処法としては労働基準局(労基)へ相談して改善を促す(労力が大きいです)か転職(こちらを選ぶ人が多いです)のどちらかが一般的な改善策ですが、早々に転職してホワイト企業に勤めた方がメリットが大きい事が多いです。
また、十分な利益を得られない状況の会社(儲からない組織)に長く勤めても昇級や賞与などの望みは薄いですし、組織内で「違法行為が蔓延」していると「内部告発」や「外部からの調査」によって存続ができないような大きなダメージを追ってしまい倒産してしまうう事も珍しくはありません。
特に近年は「身銭を切って不必要な商品購入をする」などの非合理な行いがテレビや新聞などのニュースで取り上げられ世間に明るみに出ると「コンプライアンス(コンプラ)を軽視している」と瞬く間に周知されて企業イメージが大きく低下する可能性も高いです。
また、役職が付いている人はハラスメントを容認していた立場のため負の汚名を着せられる可能性もあります。
※違法行為が蔓延している組織には”名ばかり管理職”も多い傾向があります。
そのため転職して給料や待遇が良い環境に身を置く方が将来的にも良い傾向があります。