安全余裕率は売上に対して利益が占める割合です。
売上高と損益分岐点との差を示す指標です。
そのため、安全余裕率が高ければ損失への耐性が高くなります。
つまり、経営の安全度を示す指標の一つとして考える事もできます。
安全余裕率の計算式は
安全余裕率=(売上高-損益分岐点売上高)÷売上高 |
で示す事ができるため、損益分岐点に対して売上が多ければ安全余裕率が向上します。
安全余裕率の目安
安全余裕率 | 評価 |
20%超 | 安全(経営が安定しています。) |
20%~10%以上 | 安全(大きなトラブルが発生しなければ大丈夫) |
10%未満~0%以上 | 不安(赤字手前) |
0未満 | 危険(経営不振) |
これらは相対的な目安です。
業種や売上額によって異なるため、安心はできません。
20%の安全余裕率でも一件当たりの売上額が大きい業種では一回のトラブルで安全余裕率がマイナスとなってしまう可能性もあります。
具体例
企業Aでは「年間売上が1億円」「損益分岐点売上高が8,000万円」とします。
この会社では一件当たりの売上が2,500万円、損益分岐点売上高を2,000万円の案件が年に4件入り年間売上が1億円となっています。
一件当たりの安全余裕率は
(2,500万円-2,000万円)÷2,500円=500/2,500=1/5
安全余裕率は20%となります。
企業全体で見ると
(10,000万円-8,000万円÷10,000万円=2,000/10,000=1/5
安全余裕率も同じく20%となり、安定的な経営をしているように見えます。
しかし、この企業の案件は一件2,500万円です。
そのため一件でもトラブルが発生し代金をいただけない事になった場合、売上が75,000万円となってしまいます。
7,500万円-8,000万円÷7,500万円=-500/7,500=-1/15
約7%の赤字となってしまいます。
まとめ
安全余裕率は企業毎に異なります。
これは経営内容が異なるためです。
そのため、目安の水準に達しているからと安心することはできません。
特に親会社があるなどの取引先が極端に限られた企業の場合はその会社との契約が上手くいかなければ経営は一気に悪化します。
そのような事態に備えるためには常に利益を追い求め、利益を非常時に備え確保しておくことが求められます。
これは企業に限った事ではありません。
一般生活でも生活防衛資金として一定期間生活できるだけの余裕を持つ事が推奨されています。
備考
安全分岐点と損益分岐点の合計は100%となります。
(安全余裕率+損益分岐点比率=100%)
そのため、どちらかが導き出せれば、もう片方も導き出せます。
しかし、100%とならない場合はどこか間違いが発生しています。