生活防衛資金とは
概要
生活防衛資金は万が一のトラブルに備えたお金です。
日常生活を維持するためにはお金が必要ですが、病気やケガなどの問題が起きると収入がなくなってしまったり、減少してしまう事があります。
※会社員として働いていれば収入がいきなりゼロになる可能性は少ないとは思いますが、大きく減少してしまう事は多いです。
このような時に現状の生活を継続するためには貯蓄が必要で、事前に準備しておかなければ支払いが行えなくなってしまうため「いざという時」に備えた貯金が必要です。
いざという時の具体例
20歳から60歳まで就労するとしても約40年間もあるため、このような長期間にわたって常に一定の収入が入り続けるとは限りません。
突然の病気や事故による怪我などのよって入院費用や手術費用、その後の通院費用が発生して出費が増える一方で、仕事ができなくなってしまうと収入が減少(最悪の場合はなくなってしまいます)してしまう事が多いです。
病気は定期健診を受診していれば「気が付かない間に病状が悪化していて余命数か月」という事は稀かもしれませんが、治療で長期間の休暇が必要になる可能性があります。
交通事故のようなものは誰でも起こる可能性がある反面、避けられない事も多いため注意していても「運悪く事故に巻き込まれてしまう」という事も多いです。
このように出費が増える事もあるでしょうし、今は「大企業でも倒産する時代」とも言われていることから「会社の業績は好調」と思っていたのにいきなりリストラにあって失業してしまったり、吸収合併で人員整理や減給される可能性もあります。
他にも自然災害や犯罪に巻き込まれるなど様々な要因によって収支の変動が起きると収入と支出のバランスが崩れて支出の方が大きくなってしまう事があります。
※地震・台風などで持ち家が損傷してしまう事もありますし、痴漢・万引き・ドメスティックバイオレンス(DV)などは冤罪が多いと言われています。
このような時に今までの生活を維持するためには貯金を崩して不足分を補填する必要があります。
必要なお金について
生活防衛資金は現在の生活水準に合わせて決める必要があり、一般的には最低でも3か月分の生活を行う事のできる預金を確保するのが推奨されています。
この3か月は個人の状況に応じて検討する必要があり「倒産しそうな企業の会社員」は多く資金を確保した方がいいでしょうし「夫婦共働きで子供を持たないDINKs方針の家庭」や「いざという時は親に頼る事ができる家庭」ならば一般的な水準でもリスクは少ないと考えられます。
基本的には現金預金で確保しますが、資産が多い場合は資産価値の変動が少ない国債などの資産に投資をする人もいます。
本来ならば非常時以外に取り崩す事のない資金なため「困ったら運用資金を取り崩せばいい」という考えのようです。
生活防衛資金を確保する具体例として
- Aさん
- 20代前半会社員
- 一人暮らし
- 頼りになる両親健在
- 生活費が月15万円の場合
この条件のAさんが勤めている会社が倒産したとします。
20代前半の場合は3か月程あれば基本的には再就職できると思いますし、正社員になれずともアルバイトや派遣で凌ぐという選択肢もあります。
仮に再就職できなかった場合は両親に助けを求められる安心材料もあります。
そのため
- 15万円×3か月=45万円
45万円の生活防衛資金があればお金がなくて追い込まれてしまうというリスクは少ないと考えられます。
- Bさん
- 50代後半
- 新卒と同時に入った会社にずっと勤務
- 一人暮らし
- 身内はなし
- 生活費20万円
この条件で会社が倒産しまった場合、収入を得るために再就職する必要がありますが「50代後半まで一社しか勤労経験がない人が他の会社で月20万円の生活費を即日稼げるようになる」というのは現実的ではありません。
多くの場合は再就職に数か月の期間が必要になると思いますし、定年間際で他の会社のやり方に染まった人を受け入れる企業は少ないため待遇も悪くなりやすい傾向があります。
そのため、生活防衛資金は多めに確保する必要があります。
- 20万円×6か月=120万円
120万円の生活防衛資金があればしばらくの生活は心配しなくても大丈夫だと思います。
AさんもBさんも「会社員として就労している」という条件であるため、失業しても雇用保険の受給資格を満たせる想定であるため、生活費を全て貯蓄から出す必要もないため、想定している期間よりも多くの時間を使って次の就職先に備える事ができます。
単身世帯の算出をしましたが、当然ながら家族を養っている人が生活するためには更に多くのお金が必要になります。
例えば、2人以上の世帯が1か月で使う生活費の平均は28万円程だと考えられていますし、子育て世帯は特に多くのお金が必要になると考えられます。
まとめ
会社員はリスクについての管理が比較的イメージしやすいと思いますが、年齢の上昇と共に生活費は向上し再就職は困難になります。
そのため、生活防衛資金は増大していきますし、本来ならば老後に備えた貯蓄も別途で必要になるため老後資金の準備も必要になります。
しかし、そうはいっても「なかなか貯金は増えない」と思う人は多いと思います。
基本的に収入を増やす事は難しいため、まずは生活費の見直しを行って支出を減らす事が優先されます。
特に固定費(家賃・水道光熱費の契約・保険費など)のように毎月発生する費用は契約を見直すだけで変化する事も珍しくはありません。
個人事業主や投資家の場合は収支が複雑で借入などもある人がいるため生活防衛資金に必要な金額は個人差が大きくなってしまいます。
しかし、自分で収入を得ている人は日常的に自分の取れるリスクと向き合う必要があるためリスクアセスメントを行っていなければ長期間続ける事が難しいため早々に破綻する可能性が高いです。
基本的に生活防衛資金が多くて困る事はないため、少しでも不安を感じる場合は余計に確保しておくことが大切です。
また、生活防衛資金は金銭的な余裕だけではなく精神的な安定ももたらしてくれることがあります。
そのため、個人的には緊急時に使える資産は収益を生み出さなくても存在するだけで価値があると思います。