損切は含み損を抱えている状態で、更なる含み損の増加が予想される場合に、損失を確定させる事です。
損切を行う事で損失が確定されてしまいますが、それ以上の損失を止めるためには重要な事です。
特にレバレッジを掛けている場合は損失の拡大の影響は大きいです。
損切の重要性
損切のタイミングは投資方法や、アセットアロケーション(資産配分)など、取れるリスクが異なるため、個人個人のリスク許容度は異なります。
しかし、リスク許容度が大きいとそれだけ元金に戻るまでに多くの利益が必要となります。
例えば
元金が100万円の状態から50%減少して50万円になった段階で損切を行ったとします。
この場合は元金が50万円となってしまうため、100万円まで戻るためには50万円が必要になります。
50万円の元金で50万円を得るためには100%の利益を得る必要があります。
元金 | 元金率 | 元金に戻るまでの利益率 |
---|---|---|
100万円 | 100% | 0% |
90万円(10万円減少) | 90%(10%減少) | 11%の利益が必要 |
80万円(20万円減少) | 80%(20%減少) | 25%の利益が必要 |
70万円(30万円減少) | 70%(30%減少) | 43%の利益が必要 |
60万円(40万円減少) | 60%(40%減少) | 67%の利益が必要 |
50万円(50万円減少) | 50%(50%減少) | 100%の利益が必要 |
このように、様々な要素を考えて、自身の取れるリスク許容度と、資本の減少見込みなどを考慮する必要があるため、損切の判断材料は多くはとても難しいです。
ロスカットについて
損切とロスカットに大きな差異はありませんが、損切は自身で決済を行う事を意味する事が多く、ロスカットは自動的な決済を意味する事が多いです。
ロスカットは特定の資産比率になると自動で決済を行うように設定されている事が多く、資産の減少を機械的に抑える効果があります。
そのため、ロスカットは投資家を護る機能として使われるのが一般的です。
しかし、この機能が完全に機能しない事があります。
海外FX(外国為替証拠金取引)などのレバレッジが大きく設定できるものは特に注意が必要で、資産が大きく減少した時に強制ロスカットが行われるタイミングが遅れてしまう事があります。
資産比率が一定の水準(取引会社によって異なり、証拠金維持率が100%~50%が多い)以下となった場合に強制的にロスカットが行われるのですが、土日などの取引所が開いてない間に大幅な値動きがあったり、取引件数が多くロスカットが遅れてしまう事によって含み損が確定されてしまう事があります。
特に取引所が開いていない間に大きな値動きがある場合はその損失も大きくなりやすいため注意が必要です。
まとめ
アセットマネジメント(資産管理・運用)を行うためには多くの要素を検討しなくてはいけませんが、その中でも損切の判断は緊急性が高く不明瞭な点が多くなりやすいためとても難しいです。
そして、資産が大きく減少していくと不安が強くなります。
理由が明確になっていて更なる下落が濃厚だと判断できる場合は多くの人が損切を選択できると思います。
しかし、理由がわからずに資産が減少する事もあります。
このような時の判断はとても難しく、自分の分析が正しいと信じて保有し続けられる人は限られるため、精神的にも不安定になりやすいです。
そのため、多くの人が狼狽売り(狼煙売り/パニック売り)をしてしまい、その後に後悔を経験した事があると思います。
このようなリスクを軽減するためには普段から可処分所得の範囲内で投資を行い、生活防衛資金を蓄えておく事でいざという時の精神的な安定感が大きく異なります。
そして、この精神的な安定が冷静な判断をする時の大きな差となります。
冷静な判断ができずにパニックになってしまうと、普段なら絶対にしないような選択をしてしまう事もありとても危険です。
大きな資産を運用しているプロの投資家でも失敗の経験を語る際に、冷静な判断ができていなかったと語ります。
また、徐々に資産が減少していく時も損切のタイミングを失ってしまいやすいので、明確な判断をができるような指標を見極めるように自分なりの指標を持つことが大切です。
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