急性ストレス障害(Acute Stress Disoder)は大きなストレス受ける事で日常生活に支障をきたします。
基本的に急性ストレス障害は日常的なストレスで発症する事はありません。
急性ストレス障害を発症する原因は、天災や人災などの大規模なものから、暴力・事故・犯罪など多岐に渡り、それらの事が短期間で精神的に大きな負担を与える事で発症するとされています。
特に人間の生死や尊厳にかかわるような体験によって引き起こされる事が多いようです。
また、これらは直接的な要因だけではなく間接的な要因によっても強いストレスを受ける事もあります。
重傷者の場合はフラッシュバックやトラウマとして記憶が残り続けます。
そのため過去の記憶に関連した事象に対して恐怖や不安を覚えるようになり改善する事が困難となります。
一般的に急性ストレス障害は症状が出てから1ヶ月以内に改善されます。
これは基本的に一過性のストレスやショックである場合、そのストレスによる影響は一カ月以内に収束するからです。
しかし、日常的なストレスや新たな一過性の過度なストレスによって一カ月を超え改善される事もあります。
このような別の要因によるストレス過多が続く人を除き、一カ月を超えても症状が改善されない場合は、ストレスが長期的に及んでいると判断され心的外傷後ストレス障害(PTSD)と区別される事が多いです。
また、稀ではあるようですが、ストレスの原因から数週間、時には数年後に急性ストレス障害を発症する事もあるようです。
急性ストレス障害の主な症状
急性ストレス障害はその症状から
- 辛い記憶が蘇る
- 極度の緊張状態が続く
- 神経が過敏になる
- 悪夢を繰り返し見る
- 感情や感覚が麻痺する
- 注意力が散漫する
- 楽しいと感じる事が減る
のような状態となります。
そして、トラウマやフラッシュバックが記憶に残り、それを回避しようとするため、関連する事を避けようとします。
具体例
バイクを運転していて死角から急に車が出てきました。
避けようとしても避けられない、そして事故にあいます。
その時近づいてくる車には生命を脅かす凶器として、恐怖を与えるのには十分な力を持っていました。
幸いにして治療をすれば治る怪我であったものの、もす少しで生死にかかわるものでした。
このような時の記憶は鮮明に残ります。
またバイクに乗っていたら事故にあうかもしれない、今度は助からない可能性もある。
頭ではそのような事故にあう可能性が低いことは理解できます。
それでも実際に与えられた恐怖は当事者になる可能性とは別に強い不安を与えます。
原因となったバイクや車を見るだけで記憶が思い出され不安になります。
徐々に急性ストレス障害が改善しても、過去の経験からバイクに乗る事はなくなりました。
急性ストレス障害の特徴
急性ストレス障害は同じ経験をしても発症するとは限りません。
これはストレスの影響の受け方に個体差があるため、感じ方が異なる事が原因です。
そのため
- 気質的要因(性格や精神的)
- 環境要因(日常的にそのリスクに触れる頻度)
- 遺伝的要因(女性は発症リスクが高い)
- 生理学的要因(普段から音に敏感な人は発症リスクが高い)
などの統計がでています。
また、ストレスの原因によっても発症率が異なり
- 自動車事故では約13~21%
- 軽度外傷で約14%
- 重度熱傷で約10%
- 産業事故で約6~12%
- 対人暴力で約20~50%
という報告があります。
このことから人為的な恐怖は急性ストレス障害の発症リスクが高いとされています。
まとめ
急性ストレス障害は時間経過と共に改善することが多いですが、心的外傷後ストレス障害へと発展してしまう事もあります。
具体的には約30%の人が回復しますが、それよりも多い40%の人は何らかの軽度な症状が残ります。
そのため、経過観察は重要視されています。
特に若年者や高齢者ではこの症状が重く残りやすいため注意が必要で、近年増加傾向にある虐待被害者の層と一致しているため、暴力的な行動に対して引き起こされるリスクに対して、周知を広める事も大切です。
備考
急性ストレス障害(Acute Stress Disoder)は急性ストレス反応やASDと呼ばれる事もあります。