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箱の中のカブトムシ

投稿日:2020年10月28日 更新日:

箱の中のカブトムシとは

箱の中のカブトムシは自分が認識している事実はそれが周囲の人の認識している事実とは同じであるとは限らないという事を考える思考実験の一つです。

思考実験は多種多様なのものがありますが、その多くは実際に実験を行う事が難しいです。
しかし、箱の中のカブトムシは実際に実験が行えますが、比較的イメージしやすいため実験をしなくても結果が想像できると思います。

箱の中のカブトムシの概要

箱の中のカブトムシは、被験者(複数人)に一人につき一つの箱を配ります。
(配られた箱の中身は他の人に見せる事(視覚情報を共有する事)はできません。)

被験者には「箱の中にはカブトムシが入っている」と伝えられます。

被験者は視覚情報を共有できないため、配られたカブトムシは全て同じであるのかを視覚的に確認することができません。

そのため、箱の中に入っているカブトムシは異なるものである可能性があります。

例えば、カブトムシには性別があるため、それがオスなのかメスなのかは情報を共有しなければわかりません。
また、カブトムシには成長の過程があるため、幼虫なのか成虫なのかも情報を共有しなければわかりません。
さらに、それが生体としてのカブトムシではなく、おもちゃのカブトムシであったり、紙に「カブトムシ」と書かれているだけの可能性もあります。

しかし、いずれの場合でも被験者の共通認識として「箱の中にカブトムシが入っている」という認識になります。

このように視覚情報を共有しないだけでも、様々な意識の相違によって誤解が生まれる可能性があります。

そして、これらの情報は私たちがカブトムシの存在を知っているからわかる事であって、カブトムシの本質を知らない人がカブトムシと信じているものはもしかしたら別のものの可能性もあります。

まとめ

カブトムシは実際に明確な物体があり、視認する事で視覚情報を共有する事は比較的簡単です。

実際に私たちが日常的に「物」として認識できる物の多くは名前を与えられて共通の認識を持てるようになっています。

しかし、感覚的なものは共有する事が難しいものが多くあり、それらは言語を介して状態を伝達されるだけに留まってしまう傾向が強いため他者の知覚している状態とは異なった共通認識ではない可能性があります。

共有する事が難しいクオリア(簡単に表現すると情報だけではない感覚的な認知)の代表的なものに痛覚があります。

痛みは人ぞれぞれ体感がが異なるため、他者の受けた痛みを共有する事は難しいです。
※同程度の傷を受けてもその痛みの感じ方は異なり、中には先天性無痛病(指定難病)などの症状によって痛みを感じない人もいます。

そして、この痛みは物質的な痛みに留まらず、精神的な苦痛も伝える事が困難です。

これは痛みを例にあげたものですが、他にも共有する事が難しいものはあります。

カブトムシの部屋に近いものに

など、人は全ての情報を共有できない事で多くの疑問を抱える事になり、このような事が重なる事がミステリーの真実である事もあります。

また、情報を共有するために必要な知識についても議論が進んでいます。
知識は正当化された真なる信念だという説もありますが、ゲティア問題によってその定義は揺らいでいます。

知識は主に認識によって得られた成果ですが、それだけではなくその過程でも人は情報を得ていますし、間違った情報を得る事もあるため、知識という単語を具体的かつ明瞭に定義する事は難しいです。
(国語辞典では「知識:ある物事について知っていること。まら知っている内容やことがら」と記載されていますが、具体性に欠けています。)

備考

箱の中のカブトムシは哲学者のルートヴィヒ・ビィトゲンシュタインによって考えられた思考実験です。

余談

箱の中のカブトムシは痛みに関するものがメインです。
これは痛覚という感覚に焦点を絞ったと言えます。

しかし、広い視点で考えると個人の能力の差を共有する事は難しいという事でもあります。

そのため、ギフテッドのような優れた能力を持っていても平均から外れている感覚は理解されにくい傾向があります。
また、発達障害のように偏った能力も平均から外れているので理解されにくい傾向があります。

そして、この問題が顕著にでているのがダニング=クルーガー効果で、優れた人程自分の能力を過小評価し、劣った人ほど自分の能力を過大評価しています。

しかし、このような能力は先天的な影響が大きいため、同じ感覚を身に着けようとしても取得不可能である事も多いので、本人の努力のみではどうにもならない事も多いです。

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