箱の中のカブトムシは、自分が認識している事実はそれが周囲の人の認識している事実とは限らない事を考えるものです。
箱の中のカブトムシは数ある思考実験の中の一つです。
思考実験の多くは実際に実験を行う事が難しいですが、箱の中のカブトムシは実際に実験が行えますが、比較的イメージしやすため実験を行わ無くても結果がわかると思います。
箱の中のカブトムシの概要
箱の中のカブトムシは、被験者(複数人)に一人につき一つの箱を配ります。
配られた箱の中身は自分以外に見せる事(視覚情報を共有する事)はできません。
被験者には「箱の中にはカブトムシが入っている」と伝えられます。
被験者間では視覚情報が共有できないため、配られたカブトムシは全て同じであるのかを視覚的に確認することができません。
そのため、箱の中に入っているカブトムシは異なるものである可能性があります。
例えば、カブトムシには性別があるため、それがオスなのかメスなのかは情報を共有しなければわかりません。
また、カブトムシには成長の過程があるため、幼虫なのか成虫なのかも情報を共有しなければわかりません。
さらに、それが生体としてのカブトムシではなく、おもちゃのカブトムシの可能性もあります。
このように視覚情報を共有しないだけでも、様々な誤解が生まれる可能性があります。
そして、これらは私たちがカブトムシを知っているからわかる事であって、カブトムシを知らない人がカブトムシと信じているものは、もしかしたら別のものの可能性もあります。
まとめ
カブトムシは実際に明確な物体があります。
そのため、視認する事で視覚情報を共有する事は比較的簡単です。
しかし、感覚を共有する事ができないものもあります。
共有できない代表的なものに痛覚があります。
他者の受けた痛みを共有する事はできません。
同程度の傷を受けてもその痛みは異なります。
中には先天性無痛病(指定難病)などのように痛みを感じない人もいます。
そして、この痛みは物質的な痛みに留まらず、精神的な苦痛も伝える事が困難です。
これは痛みを例にあげたものですが、他にも共有する事が難しいものはあります。