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睡眠負債

投稿日:2021年4月18日 更新日:

睡眠負債は本来8時間の睡眠が必要な人が何らかの理由により、8時間未満の睡眠しかとれない環境が何日も重なり数日から数週間以上継続して睡眠不足が続き慢性化した状態です。
(※一晩のみの睡眠不足は睡眠負債とは呼びません)

睡眠もお金のように不足した状態が続くと負債が増加していき、日中のパフォーマンス低下などの悪影響を及ぼします。

若年層の中には「いつでもどこでも寝れる」という特技を持つ人がいますが、この状態は睡眠負債の状態である事が多く不健康な状態である可能性が高いです。

軽度の睡眠不足の状態で単純作業をする場合は活動時間が長くなるため生産性が向上する可能性もありますが、重度の睡眠不足の場合は処理能力が大きく低下するため単純作業ですらミスが多くなり訂正する時間が多くかかってしまうため生産性が悪化する可能性が高いので、睡眠時間間を削るよりもしっかり睡眠を取ったほうが生産性が高くなる可能性もあります。

自分が睡眠負債なのか知るためには「自分の必要な睡眠時間」が何時間必要なのかを知る必要があります。

睡眠負債の定義

睡眠負債は知らないうちに起こっている可能性もあります。

ある実験によると、被験者8人の実験前の平均睡眠時間は7時間36分でしたが十分に休息のとれる環境に身を置いたところ平均睡眠時間は8時間15分に落ち着きました。

つまり、この被験者は本来8時間15分の睡眠時間が必要だったにかかわらず、日常的に40分以上も睡眠が不足した状態で生活をしていました。

この実験でわかったのは睡眠が不足している事だけではなく、本来の睡眠時間を取り戻すのに3週間という長期間の調整期間が必要だった点です。

また、多くの人が誤解している点に寝だめがあります。
睡眠を解消するために寝だめを行えば睡眠負債を解消できると考える人も多いですが、寝だめをしても睡眠負債に対しての効果は薄いです。

また、年齢や季節によって睡眠時間は変化すると考えられていますし、個人差もあるため必要な睡眠時間は人によって異なる点には注意が必要です。

適正な睡眠時間を知るためには

個人差のある必要な睡眠時間ですが、それを知るためには2週間程度の睡眠状態をチェックする必要があります。

平日と休日で睡眠時間が異なる場合は睡眠負債が溜まっている可能性が高く、ソーシャル・ジェットラグ(休日に不足した睡眠時間を補うために多くの睡眠を取る社会的な時差ぼけ)と言われる状態が表れている人は睡眠負債を抱える人の典型的な特徴です。

睡眠負債が起きているのかは毎日決まった睡眠時間を確保した状態で寝起きの状態で睡眠時間の不足を感じなければ適正な睡眠時間が確保されている状態です。

つまり、寝起きに眠いと感じる人、特に二度寝をする人は睡眠負債を抱えている可能性が非常に高いので注意は必要です。

睡眠負債の問題点

睡眠負債を抱えていても20~30代の人は若く元気なため気にならない人も多いと思います。
しかし、睡眠負債は年々蓄積されていきその蓄積された睡眠不足は心身に大きな悪影響を与えます。

わかりやすいのが睡眠不足で、感覚的にも心身のパフォーマンスが低下している事がわかると思います。

睡眠不足によって脳の一部である前頭葉は悪影響を受け、感情のコントロールが難しくなったり、論理的な思考ができなくなったり、記憶への悪影響も与えるため、トラブルやミスが増加してしまいます。

具体的には6時間睡眠を2週間続けると日本酒を1~2合飲んだ時の認知機能の状態
、もしくは24時間起き続けている状態と同程度の認知機能まで低下してしまうと考えられています。

24時間起きている状態にならないまでも、眠い状態でなにかをしようとしてもパフォーマンスが悪いのは体験したことがある人も多いのではないでしょうか。

睡眠不足によって早期に現れる症状として

  • 軽い鬱症状
  • 集中力の低下
  • マイクロスリープ
  • 疲労感

※これらの症状は睡眠不足が続くと早期に現れる現象で、長期間の睡眠不足にゆよる影響は更に深刻です。

このような症状が睡眠不足によって引き起こされます。

特にマイクロスリープは事故につながる可能性もあるため、危険です。

睡眠不足による悪影響は短期的なものだけではなく、心身への負担は蓄積されていき加齢の進行を早めるように悪影響を与えていきます。

睡眠負債がある人は睡眠負債がない人と比べ、病気に若くしてかかる傾向があります。
睡眠を十分にとっている人が60代に多い病気でも40代や50代で発症するような状態になってしまいます。

最悪の場合は睡眠負債が大きくなりすぎて過労死という結果になってしまうこともあります。

そのため、若いうちから十分な睡眠時間を確保する事が重要です。

睡眠負債による身体的な影響

睡眠時間が不足している事は健康にも良い影響を与えませんが、日本ではその影響を軽んじている人が多く、睡眠時間が6時間以下である人は全体の4割程度、40歳以下のサラリーマンに限定すると半分以上の人が睡眠時間が6時間以下であると言われています。

しかし、この6時間以下の睡眠は睡眠負債の状態であり、死亡率が高くなる危険な状態です。

8時間程度の睡眠をとっている人と6時間以下しか睡眠をとっていない人を比較すると、死亡リスクは男性で1.8倍、女性で1.6倍高くなると考えられています。

また、睡眠不足によって主に

これらのリスクが高くなります。

例えば、肥満のような関係性が薄いと考えられがちな症状でも科学的な裏付けがあります。

睡眠不足の状態が続いていると、食欲を抑制してくれるホルモンであるレプチンが減少し、食欲を高めるホルモンであるグレリンが増加してしまうため、食欲を抑える事が困難になってしまいます。

そのため、睡眠時間が不足している人は肥満になりやすい傾向があります。

まとめ

睡眠負債は心身に悪影響を与えると考えられていますが、日本ではそのリスクを十分に理解している人は少ないようです。

そのため、OECD(経済協力開発機構が2018年にまとめたデータでは、調査対象の33か国の中で日本は最も睡眠時間が短いという調査結果となりました。

  • 睡眠時間が最も少ない日本では、平均7時間22分
  • 26か国の平均睡眠時間は同様で、平均8時間25分
  • 睡眠時間が最も多い南アフリカでは、平均9時間13分

日本と南アフリカでは平均睡眠時間に2時間以上の差があり、日本の睡眠時間の少なさは先進国の中でも圧倒的です。

そのため、日本人の多くは睡眠負債を抱えた状態で生活しているため、睡眠負債の影響によりポテンシャルが十分に発揮されない人が多く、様々な技術開発が進んでいるにも関わらず、GDPを1人当たりで割ると1990年代からほぼ横ばいの状況が続いています。

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