HSP(エイチエスピー/ハイリー・センシティブ・パーソン)は先天的に刺激に対して敏感な人です。
HSP(Highly Sensitive Person)は日本人に比較的多く約20%(5人に1人)と考えられています。
しかし、HSPではない人が約8割(5人のうち4人)なので日常的には少数派になってしまう事も多いため、繊細さを理解されない事も多いです。
また、HSPの中にも刺激に対しての感度に差があり、弱い人は一般的には空気の読める人と思われるような人が代表的です。
刺激に対しての感度が高くなると、周囲の刺激に対して過敏と言えるほどに多くの情報を得る事ができるためHSPでない人が意識しても気づかないようなことにも意識せずに気づく事ができます。
そのため、日常生活においては過度な情報によって精神的なストレスを抱えやすいです。
※幼いHSPの人はHSC(ハイリー・センシティブ・チャイルド)と言われて区別される事もありますが、年齢の違いで分けられているだけで繊細さなどの違いはありません。
HSPの特性
HSPの特性は主に4つあり、頭文字をとってDOES(ダズ)と呼ばれています。
- Depth of processing(処理の速さ)
物事を深く考える - Over Stimulation(刺激を受けやすい)
刺激に対して敏感 - Emotional Responsiveness&Empathy(感情的反応性・高度な共感性)
刺激に対する反応が大きく強い - Sensitive to Subtleties(些細な重kに対する感受性)
些細なことまで気が付く
DOES(ダズ)は5感が鋭く些細な刺激でも過敏に反応し、物事を深く考えるのが特徴です。
そのためHSPは刺激に対して敏感で他者の気持ちがわかりすぎるため、人付き合いが苦手な人が多かったり、疲れやすい傾向が強いです。
また食べ物にもその特性が反映され、過度に甘かったり酸っぱかったり、味覚を強く刺激するものが苦手な人が多いです。
※辛さは痛覚なので、痛みが苦手なHSPは好まない傾向があります。
これらの性質は先天的なもののため、影響の大小はあるものの生涯にわたってその影響を受ける可能性が高いです。
また、HSPは先天性で生まれた時からあたりまえにあった能力のため、自分の能力の高さに気づくことは難しいです。
そのため、他者とは異なった能力を持っているという自覚が少ない事が多く「あの人はなんでわからないんだろう?」など自分を基準に周囲のレベルを判断してしまう事が多いです。
このような背景から、周囲の人は自分と同じことに気づいても気づかないふりをしていたり、気づいたうえで最適解を模索していると考えてしまう人が多いです。
このように能力が高い人と高い人の評価が逆転してしまうダニング=クルーガー効果は誰にでも起こる可能性があります。
自身の能力が周囲よりも高いということに気づく事でこれらの問題が緩和されるため、自分の能力の高さに気づく事は重要です。
HSPの種類
基本的にどのタイプも五感が鋭く、刺激に敏感で共感能力が高い、そして物事を深く考える特性があります。
そこから性格的な要素を含めて分類(内向的・外交的、刺激に対してポジティブ・ネガティブ)を行い4つの種類に分類されます。
また、HSPは先天的なものですが、分類は性格的要素を含むため、後天的要素が含まれます。
そのため、成長の過程で変化する事もあります。
HSP(内向的HSP)/内向的・刺激に対してネガティブ
HSPの7割が内向的HSPだと考えられています。
刺激に対して敏感なため、得られる情報量が人よりも多いですが、その情報に一喜一憂し、自問自答を繰り返してしまう傾向が強いです。
そのため、鬱病(うつびょう)や自尊心の低下などのリスクが高いです。
内向的で考えが深いため、知識を蓄積させる読書や研究が好きな人をイメージするとわかりやすいと思います。
HSS型HSP(刺激追求型HSP)/内向的・刺激に対してポジティブ
HSPの3割が刺激追求型HSPだと考えられています。
好奇心が強く、挑戦が好きですが、刺激に対して敏感なため疲れやすいです。
また、同じ事を繰り返すと刺激になれてしまうため、飽きやすいです。
コミュニケーションを取る事に対して抵抗がないですが、ストレスが一定を超えると一日中寝込んだりすることもあります。
HSE(社交的HSP)/外交的・刺激に対してネガティブ
このタイプは外交的なため交流が好きですが、そこから受ける刺激に対してネガティブな影響を受けます。
そのため、外交的で多くの刺激に触れる機会がある反面、その刺激に対してネガティブな反応をしてしまい、自分で自分を追い込みやすいです。
このタイプはアクセルとブレーキを同時に踏んでいるようなタイプなので、本人はとても苦しい思いをしている事が多いです。
HSS型HSE/外交的・刺激に対してポジティブ
刺激に対して敏感なため多くの情報に気づくことができ、外交的なため社会生活も順当にいくHSPの中の理想型です。
しかし、メリットしかないわけではありません。
HSPの特徴である刺激に対して敏感な点は変わらないため、収集する情報量が多くなりタイプですが、刺激に対して耐性が強くなるわけではありません。
そのため、他のタイプと同様に疲れやすい性質に加え刺激が増えるため、その疲労感はとても大きいです。
その反面、周囲からは信頼され、リーダーなどの立場を任される事も多いですが、本人はやりたいわけではない事が多いため、その立場をすぐに去ることが多いです。
辛い時
HSPの人の多くは刺激に対しての悩みを抱えた事があると思います。
しかし、性格的な影響もあるため、改善する事が難しい人も多いと思います。
そこで、辛い時の対応をまとめました。
- 良い事に目を向ける
- 他者とコミュニケーションを取らなくてもいい時間を作る
- 安らげる環境を作っておく
- ストレスをなるべく避ける
- ほどほどにがんばる
- 嫌われないように努力することを辞める
- 仲間をみつける
これらの行動を日常的に行う事で、刺激に対してネガティブな反応をしていた人は次第にポジティブになっていけるはずです。
まとめ
刺激に対して敏感な事は悪い事ではありませんが、情報が多くて疲れてしまいます。
また、悪い情報ほど強く印象に残るため、鬱病(うつびょう)などのリスクが高くなります。
そのため、悪い事ではなく良い事に目を向けるようにしましょう。
HSPの人は刺激に対して敏感なため、同じ状況ならば、良い事を多く見つける事ができる能力も高いです。
そのため、他の人よりも幸福感を得る事が得意でもあります。
しかし、悪い事ばかり気にしていたら、良い事が目の前にあっても、気持ちは沈んでしまいます。
なるべく良い刺激を探し、幸せになれるように努力する事が大切です。
HSPの人は他の人よりも多くの幸せを見つけられる能力を持っている事を忘れないで欲しいです。
備考
HSPはアメリカの心理学者、エレイン・アーロンが提唱しました。
Highly Sensitive Person(ハイリー・センシティブ・パーソン)の頭文字を取った略語で「敏感で感受性が強くて繊細な人」の意味を持ちます。