バーナム効果(フォアラー効果)とは
概要
バーナム効果は「大衆に該当する事」でも対象を絞って発信する事で「自分の事を言われている」と錯覚する心理現象です。
バーナム効果を引き起こすためには事前準備が重要で「星占い」「姓名判断」などの占いでは個人情報から性格を分析しているかのように思わせ、実際には”大衆に該当する抽象的な内容”を特定の個人・集団に向けて発信する事で”特定の人や集団にのみ該当する要素”だと誤解して捉えてしまう心理現象です。
具体的には
占いでは誕生日・星座・血液型などの情報を分析した結果から占いの結果がでていると錯覚しますが、実際には個人情報から得られる情報で行う分析は極わずか(わからない事の方が多いです)で統計などの実際のデータから大多数が該当する特徴を重ね合わせることで正答率が高いと錯覚させます。
※タロット・水晶・霊感・風水などの比較的個人情報を収集しない占いは事前準備の要素が特に重要だと思います。
実際に占いの中には四柱推命のように統計学から綿密な計算によって運勢を知る事ができると宣伝しているものもあります。
※真偽は不明ですし占いの能力による影響も大きいと思います。
バーナム効果で重要なのは個人を診断する準備行動の後に誰にでも該当する曖昧で一般的な特徴を示すことで個人の特徴でるあると錯覚させる点です。
※この際の事前準備は診断する雰囲気作りも重要な要素となっているため、実際にはなんの変哲もない大きな丸いガラス玉を用意するなど、小道具を用いて空間のイメージを作る事は重要な意味をもっています。
大衆に当てはまりやすいポイント一覧
一般的な人に当てはまりやすい心理傾向
- 自分の成長や幸せを望んでいます。
- 他人に親切に接したいと望んでいます。
- 苦労や悲しい経験を持っています。
- 他者へ隠したい秘密を持っています。
- 他人を平均的だと思いたいです。
- 自分を特別だと思いたいです。
- 多くの人が似たような理想像をもっています。
年代毎の当てはまりやすい悩み
- 10代 学校や身体や恋愛の悩み
- 20代 恋愛や仕事の悩み
- 30代 家庭やキャリアの悩み
- 40代 子供や健康や貯蓄の悩み
- 50代 健康や老後や介護の悩み
該当しやすい言葉
- 純粋ですね。
- 優しいですね。
- 寂しそうですね。
- 悩みがありそうですね。
- 頑張っていますね。
- 疲れていますね。
- 気配りされていますね。
この他にも男性や女性などの誰にでも該当しやすい心理傾向や、特定のカテゴリーやジャンルによって該当しやすい共通的な要素は比較的多いため、巧みな話術と組み合わせる事で理解度が高いと誤認しやすくなります。
バーナム効果について
バーナム効果の影響を強くするためには大衆に該当する内容だけではなくいくつかの条件があります。
- 分析結果が当事者のみに該当すると錯覚する
- 分析結果を出した評価者への信頼が高い
- 分析結果がポジティブな内容である
上記の条件を網羅する事でバーナム効果による心理的なバイアスが強く受けやすくなる傾向があります。
そのため、ハロー効果(後光効果/ハローエラー)(優れた特徴がある人は他の能力も高いと錯覚してしまう心理)の影響を使って信頼度を上げたり、ドクターフォックス効果(Dr.Fox effect)(話の内容のよりも伝え方によって情報の信頼度に大きな影響を与えてしまう心理)のように表現を工夫し、優越の錯覚(他人よりも優れていると錯覚する心理)を刺激した評価をする事で話の内容に信憑性を持たせる事は重要です。
このような事は占い師も当然把握しているため、多くの占い師はなるべく雰囲気がでるように服装や空間作りに工夫して占いを行っています。
※水晶玉やタロットカードなどの小道具は重要な役割があります。
また、基本的にはネガティブ(良くない事)な内容よりもポジティブ(良い事)な内容の方を信じたいと人は思う傾向がありますし、ネガティブな事は避けようという心理が働く反面、ポジティブな事は自らが積極的に選択していく傾向があるため当たりやすいです。
※正確的な特性もあるためあくまでも傾向です。
実際にバーナム効果を用いた内容で簡単な文章例を構成すると
- 「明るく務めているようですが寂しい表情をされるときがありますよね。 悩みがあるなら気を使わずに相談してくださいね。」
- 「お仕事も大変なのに見えないところでも頑張っていてお疲れ気味ではありませんか? 体調も心配ですし、ゆっくり休んでくださいね。」
このように大多数の人が該当する内容でも対象を個人に絞る事で個人の特徴を見抜いて語り掛けているように錯覚してしまいます。
また、間接的に「頑張っている」のを褒める事で「この人は私の事を理解してくれている」と錯覚する事も期待できます。
※具体的な内容や数字、嘘や偽りを混ぜると信頼度が下がる可能性も高いので注意が必要です。
このようにしてバーナム効果が発揮されるため人間関係を円滑に進めるために正しいやり方を実用できれば大きな力となってくれるはずです。
しかし、家族・学校・職場・恋愛・友人・恋人など、コミュニケーションが必要な様々なシーンで役に立つと思いますが、日常生活で頻繁に接する機会が多い人などと親密な関係を構成したい場合は表面的な事だけではなく深い内容の話も多くなるため小手先のテクニックに頼るのはデメットやリスクも大きいので注意が必要です。
まとめ
バーナム効果は初対面の人や関係が深くない時ほど効果を発揮します。
※親密度が高くなればお互いの情報がわかるため具体的な内容を話した方が良いです。
これは、バーナム効果があくまでも個人の特徴を見抜いていると錯覚させる手法だからです。
※本当に見抜けているわけではない事がポイントです。
そのため、コミュニケーションが必要なビジネスパーソンの間ではこの心理を良く勉強してマーケティングを行う際に活用している人も多いです。
特に新規の顧客への営業・占い師・詐欺師などをしている人は対人関係で円滑にコミュニケーションをとるだけではなく上手に情報を引き出しながら会話を進める必要があるためメリットが大きいです。
外見的な情報(人相・髪型・体型・服装など)や会話の内容から個人的な特徴を予想するコールド・リーディング・サトルクエスチョン・サトルネガティブなどの様々な手法を用いる事で、具体的な内容でも正確に分析する事ができるため会話の信憑性が高いと錯覚しやすくなります。
しかし、このようなテクニックを身に着ける難易度はとても高いため多くの知識を身に付けても日常的に実践を行い経験数をこなさなければ上手には使えません。
また、偽薬効果(プラシーボ効果/プラセボ効果)のように医者のような有資格者が院内で診療して処方するお薬の効果に対しても効果が発揮され、有効成分が含まれておらず本来は病気に対しての効果が期待できない薬でも、実際に症状が改善されてしまう程の影響力があるという論文もあります。
備考
バーナム効果は巧みな心理操作を使ったサーカスで有名になった世界三大サーカスの一つとされるリングリングサーカス創設者のバーナムの名前が由来とされ、アメリカの心理学者ポール・ミールによって名付けられたといわれています。
心理学者のB・Rファアラーは他人に当てはまる性格的描写を「他人にも当てはまる事だと認識せず」に「個人についての分析結果」だと誤認する事を発見したためフォアラー効果とも呼ばれます。