概要
寛大効果は「他者の良い面は過大に悪い面は過少に評価する」心理です。
寛大効果は無意識のうちに他者の良い面は過大評価して悪い面は過小評価する心理のため実際の評価よりも寛大(全体的に良い)な評価となります。
これは愛着を持つ間柄(恋人・友人・親友・親族など)や自身が寛容な人間であると周囲へ周知されたい心理などのバイアスが働き陥りやすい心理とされています。
特に寛大に接する人を深く理解していない状態の場合は不透明な要素が多いため感情面の影響を強く受けます。(このような場合の多くは評価者の能力不足による影響が大きいです。)
このような心理的影響を受ける事で寛大に対応する事が多いですが、本音とは別の可能性もあるため、気を付けなくてはいけません。
具体例
”嫌いな人”に対しては些細な事でもネガティブな印象が強く脳裏に刻まれ、大したことでもないのに嫌悪感が強く残ります。
しかし、「恋は盲目」と言われるように片思いの時のように”好きな人”に対しては些細な事でもポジティブな印象が強く脳裏に刻まれ好感度が高くなります。
このように自分の中の印象が誇張されて偏った印象が心理的な影響を与えてしまい正当な認識とは異なった認識を受けて評価を誤認してしまいます。
その中でもポジティブなバイアスを受ける心理が寛大効果と言われています。
他にも友人や家族や同僚などの親しい関係ではお互いにダメなところを言い合ったりすることもありますが他者へ紹介する時は良いところを誇張して伝えてしまう事があります。
その結果実際の評価(性格、能力、実力など)よりも寛大な評価(特に数値として表現しにくい部分について)となります。
このように印象が誇張されてしまうと事実と異なった周囲からの評価に戸惑いを感じてしまったり、過大な評価に応えようと努力してしまう場合は日常的に過度なストレスを受ける状況になってしまいます。
しかし、正当な評価をしてもらうためには自己評価を下げる必要があるため周囲にはその事実を伝えられないなどの弊害が発生してしまい結果として鬱病などを発症してしまう事もあります。
※親からの期待が高すぎると心的外傷後ストレス障害を発症するようなケースや、機能不全家族のような放任主義の家庭(子供をサポートする必要がないと思っている家庭など)では自ら支援を求める事に抵抗を覚えるような性格の人も多いです。
まとめ
寛大評価な紹介を受けた人は良い面を多く紹介されます。
そのため、仲の良い人に紹介してもらう事で好感度が通常よりも高くなりやすいです。
これは初対面で「良い人」というラベルを付けて紹介されるため、ラベリング効果やハロー効果の影響を受け、良い面がより強調されて認識されやすいためです。
また、寛大効果は人事評価などでも見られます。
そのため評価基準を明瞭化し、数値として検討する事は重要です。
特に人事評価の平均が全体的に向上傾向にある場合は寛大効果の影響を受けている可能性が高いです。
その反面、新入社員などの能力に未知数の部分が多く、親密度も低い場合は実際の能力や実力に満たない評価を付けてしまう可能性も高いです。
このような場合は優秀な人材を失う可能性もあるので注意が必要です。
備考
寛大効果は寛容効果や寛大化傾向とも呼ばれます。