論理療法は心理療法の一種で、論理的な観点からメンタルケアを行う方法です。
論理療法は心理的問題や生態的反応は論理的な思考が心理に影響を及ぼすというアルバート・エリスのABCDE理論(ABC理論)が基礎的な考えとなっています。
ABC理論では物事の認識(受け取り方)の違いによって精神状態が異なるとされています。
そのため、認識を変える事はメンタルケアに有効であると考えられています。
また、論理療法と認知行動療法は治療評価の対象に思考などの認知があるため、認知行動療法と共通する部分が含まれています。
ABC理論の概要
ABC理論はA~Eまでのプロセスがあり
A=物事の事象
B=認識
C=感情
D=Bの認識が正しいのか?
E=Dを踏まえてどう思うのか?
というBの認識が正しいのかを考える理論です。
具体例
Yさんは20代で年収が200万円です。
しかし、自分の給料が少ないという認識があり、自分の能力が低いと考えています。
これをABC理論に基づいて考えます。
A=年収が200万円
B=給料が少ない
C=私の能力が低い
D=認識(B)である年収200万円は本当に給料が少ないのか?
下の表から20代1人暮らしの平均は約164万円となっているので、Yさんは少ない方ではありません。
また下記の図でわかるように、平均年収は高所得者が釣り上げる傾向にあるため、実際に平均収入をもらっている人は半分もいません。
つまり、認識(B)は自分の気持ちであって、論理的には正しくありません。
これを新たな認識とすると
E=給料が少ないわけではない
という結論となります。
問題点
治療に用いられる場合、Dの問題定義によって観察者の影響を強く受けます。
例えば先程の図8である平均所得をみると年収200万円はすくなく感じられます。
しかし、これは年代を問わない前世代の平均となっているため若い人は平均よりも少ない事が多いです。
このように、問題を定義し、資料を提供する場合は当事者以外の思惑によって誘導尋問のように他者の心理を操る可能性があるため、注意が必要です。
まとめ
知識や経験の影響によって同一の事を観測してもその感じ方は異なります。
私たち日本人が当たり前に話している日本語も、国外へいくとそれは外国語として認識されます。
特に日本語は多言語との共通点が少ない事から習得難易度が高い言語とされています。
そのため日本人で日本語がわからない方は少ないですが、海外で日本語がわからない方は多いです。
日本人の常識が国外では非常識となります。
これは国や人種のような大きなくくりではなく、個人間でも異なった知識や経験は様々です。
そのため、認識を正しく行う事は他者とのコミュニケーションでも大切な能力となります。
備考
アルバート・エリスが提唱した論理療法(rational therapy)は理性感情行動療法(Rational emotive behavior therapy)略してREBTとも呼ばれます。
また、理性感情行動療法や合理情動療法、論理情動療法など多くの呼び方があります。