親近効果とは
概要
親近効果は最後に与えられた情報の影響が強く印象に残る現象です。
日本では「終わりよければすべてよし」や「立つ鳥跡を濁さず」などのように、最後の印象に関連することわざは複数ある事からも人の心理的に「最後の印象は残りやすいため重要度が高い」という事が現れていると考えられます。
基本的に多くの情報を得る事で全体の把握が困難になる傾向があるため、内容が多くなるほど最後の影響が大きくなる傾向があります。
例えば
話が長い人がいると、その人に用事があって話かけたはずなのに最終的には「なにを聞きたかったのか忘れてしまった」という一方で「最後の方に話していた特に重要ではない内容が記憶に残っている」という経験がある人もいると思います。
このように、情報が流れてくると古い情報は埋もれてしまうため「重要だったはず」の情報でも忘れて思い出せなくなってしまう事もあります。
特に親近効果の影響が大きいのは「違いがない複数のものを順番に見る際」で、甲乙つけがたい時は最後のものを良いと感じやすい傾向があるため、最終的な情報は印象や判断に強く影響を与えると考えられています。
実際の実験内容
実際の実験では「模擬裁判形式で弁護側・検事側それぞれの証言を順序のパターンを変えて行い、陪審員(被験者)の判断に違いがあるかを調べる」という内容でした。
どのように順番を変えても「最後の証言が正しい」と判断するケースが多かったため「直前に与えられた情報の影響が評価に最も強く影響している」と考えられています。
基本的に親近効果は情報が多くなるほど最後の印象の影響が強く堅調に現れるようになります。
特に交渉のようなシチュエーションでは前段階まで出ている条件を考慮した印象操作をする傾向があるため、今までの過程から最適解に近い情報を抽出して提供する影響もあり効果がより現れやすいとも考えられます。
対人関係での具体例
親近効果は対人関係で印象付ける際にも役に立ちます。
特に、企業面接のようなシチュエーションでは能力に差の少ない面接希望者が複数人いる事が多いです。
このような場合、最後に面接を受けると親近効果が働くため、採用候補者が同程度のレベルであるならば一番最後に面接を受けた人の採用率が高くなる可能性が高いです。
しかし、これは中小企業で求職者がほどほどにいる場合に限られます。
大企業や零細企業の規模の採用面接は基本的にそれ以前に行われる書類選考の影響も大きいですし、面接官が複数人いる場合は面接が終わった後で実際に採用する人を選考する打合せをする事もあるため親近効果の影響は薄くなる可能性が高いです。
まとめ
親近効果は最後の情報が印象に残りやすい事が大きな特徴ですが、必ずしも最後の印象が強くなるわけではなく、重要なポイントがある場合はその部分の記憶が鮮明に残る事も多いです。
しかし、宴会などの大取(おおとり)は周囲からの注目度が高いのはよくある光景ですし、この〆(しめ)が上手くいけば宴会も盛り上がった印象が強く残りますが、滑ってしまうと楽しかったはずの宴会も台無しになってしまいます。
また、親近効果が最後の影響が大きくなるという心理効果ですが、他にも様々な心理効果が提唱されています。
- 初頭効果
最初の印象を強く受ける心理効果 - ピーク・エンドの法則
ピーク(一番盛り上がるポイントや一番重要なシーン)と最後の印象が強く残る心理効果
このように、基本的に人の記憶は最初と最後の両方で記憶が定着しやすいと考えられています。
他にも「気持ちが大きく動く場面」や「感情が大きく揺さぶられる場面」などは心理的な影響を強く受けやすい傾向がありますが、このようなポイントは個人差やその時の状況に応じても感じ方が異なります。
このように状況で印象が異なる具体例として
子育てにおけるきょうだい間の教育内容の違いは当事者が同じように「公平に接している」つもりでも実際には公平に見れていない事が多いです。
そのため、長子と末子ではその教育の仕方に大きな違いが出る事が多く、同じように育てているつもりでも異なった対応になる事は意外と多いです。
その差が一般的に多いと言われるのは写真の枚数で、長子と末子を比べると長子の方が枚数が多くなりやすい傾向があると言われています。
※性別によっても差が大きいと言われています。
しかしその反面、長子と末子を調査すると長子は愛されていないと感じる事が多いと言われています。
このように、どのような状況でどのような心理的影響をどの程度の影響を受けるのかを知る事は公平な目を持つためには重要です。
備考
アメリカの心理学者ノーマン・ヘンリー・アンダーソンが提唱しました。