最低賃金とは
概要
最低賃金は雇用される授業員に支払われる時給の最低価格です。
労働者の給料を最低賃金未満で雇う事は労働基準法違反であるため認められていません。
そのため、最低賃金は正社員のみではなく、非正規雇用(パート・アルバイト・派遣社員)などの労働者にも適用されます。
※業務委託契約や請負契約と言われる成果報酬型の報酬は最低賃金の適応外です。
もしも最低賃金未満で雇われている場合は労働基準監督署へ相談に行ってください。
悪質な企業(ブラック企業)の場合は最低賃金未満である事を承知の上で「バカな労働者を搾取してやろう」という気持ちでいる可能性が高いので、正式な手続きを行って未払い賃金をしっかりと請求して次の仕事を探した方が将来的には良いと思います。
最低賃金ランキング
業種や都道府県によって最低賃金は異なっていますが、基本的に都会は比較的最低賃金が高い傾向がある反面、田舎は比較的安い傾向があります。
近年は最低賃金が毎年のように引き上げられているたため、最低賃金が高い一部の地域では1,000円を超えている地域もあります。
順位 | 2022年 (令和4年) | 2021年 (令和3年) | 2020年 (令和2年) | 2019年 (令和1年) |
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1位 | 1,072円 東京都 | 1,041円 東京都 | 1,013円 東京都 | 1,013円 東京都 |
2位 | 1,071円 神奈川県 | 1,040円 神奈川県 | 1,012円 神奈川県 | 1,011円 神奈川県 |
3位 | 1,023円 大阪府 | 992円 大阪府 | 964円 大坂府 | 964円 大阪府 |
4位 | 987円 埼玉県 | 956円 埼玉県 | 928円 埼玉県 | 926円 埼玉県 |
5位 | 986円 愛知県 | 955円 愛知県 | 927円 愛知県 | 926円 愛知県 |
6位 | 984円 千葉県 | 953円 千葉県 | 925円 千葉県 | 923円 千葉県 |
7位 | 968円 京都府 | 937円 京都府 | 909円 京都府 | 909円 京都府 |
8位 | 960円 兵庫県 | 928円 兵庫県 | 900円 兵庫県 | 899円 兵庫県 |
9位 | 944円 静岡県 | 913円 静岡県 | 885円 静岡県 | 885円 静岡県 |
10位 | 933円 三重県 | 902円 三重県 | 874円 三重県 | 873円 三重県 |
※厚生労働省HPより最低賃金の金額を引用
最低賃金は毎年10月頃に全国で一斉に更新されているため、次回は2023年10月に引き上げられると予想できます。
最低賃金(47都道府県)の過去の実績
適用開始日 | 最高値 | 最低価格 | 加重平均額 | 平均額 |
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2022年10月~ | 1,072円 | 853円 | 963円 | 903円 |
2021年10月~ | 1,041円 | 820円 | 930円 | 872円 |
2020年10月~ | 1,013円 | 792円 | 902円 | |
2019年10月~ | 1,013円 | 790円 | 901円 | |
2018年10月~ | 985円 | 761円 | 874円 | |
2017年10月~ | 958円 | 737円 | 848円 |
- 2022年の最低賃金の最下位は
「青森県・秋田県・愛媛県・高知県・佐賀県・長崎県・熊本県・宮崎県・鹿児島県・沖縄県」(853円で同額)
※順位が19位以下は全て最低賃金が900円以下です。 - 2021年の最低賃金の最下位は
「高知県・沖縄県」(820円で同額)
※順位が11位以下は全て最低賃金が900円以下です。 - 2020年の最低賃金の最下位は
「秋田県・鳥取県・島根県・高知県・佐賀県・大分県・沖縄県」(792円で同額)
徐々にではありますがほぼ毎年最低賃金の引き上げが行われています。
こちらに乗っていない地域の最低賃金が気になる人は厚生労働省HPでご確認ください。→ 厚生労働省HP
最低賃金計算方法の具体例
最低賃金を計算する時にはその基本的なルールを知らなくては計算ができないため、かるく賃金計算のルールを紹介します。
- 時給計算の基本は週の労働時間が40時間までです。
- 法定時間外労働(「1日8時間」または「1週間の労働時間が40時間」を超えた分)をした場合はは1.25倍以上の賃金を支払わなくてはいけません。
※法定時間外労働と所定時間外労働(雇用契約によって定められた勤務時間を超えた分)は意味が異なるため注意が必要です。 - 深夜(22:00~5:00)に労働をした場合は1.25倍以上の賃金を支払う
- 深夜に残業(法定時間外労働)をした場合は1.5倍以上(法定時間外労働の0.25倍と深夜手当の0.25倍を合わせた金額)の賃金を支払う必要があります。
※法定休日についての割増賃金は正式に適用除外されている可能性もあるため割愛します。
最低賃金の計算は少し複雑になる事もあるため、条件に応じて計算方法が異なってしまうので最低賃金を護っているつもりになっている企業もあります。
条件定義だけでは計算方法が不明瞭なためサンプルの計算を具体例として記載します。
※以下の計算は2019/10/1~の最低賃金の平均額での計算方法ですが、正社員のような雇用形態は月の時給ではなく年間の時給を算出する必要があります。
具体例
月の労働日数が22日で一日の勤務時間は8時間で残業無しの場合
月の支給額は144,160円です。
1か月=22日
22日×8時間=176時間
時給901円×176時間=158,576円
週の勤務時間が40時間を超えた分については残業扱いとなり、通常の時給の1.25倍の賃金を支払わなくてはいけません。
残業時の時給は1,127円となります。
※最低賃金未満の支給は違法なため、端数は繰り上げです。
時給901円×1.25倍=1126.25円(残業時の時給)
毎日1時間残業する場合は先程の賃金に残業代を追加した価格となります。
毎日1時間残業の場合は183,354円となります。
22日×1126.25円(残業時の時給)=24,777.5円(残業代)
158,576円(通常の賃金)+24,777.5円(残業代)=183,353.5円(支給額)
毎日2時間残業する場合は208,131円となります。
24,777.5円(毎日1時間)×2=49,555円(残業代)
158,576円(通常の賃金)+49,555円(残業代)=208,131円(支給額)
まとめ
基本的に労働者は労働基準法によって護られています。
そのため、雇用主は労働基準法に則った契約で従業員を雇わなくてはいけず、劣悪な環境で社員を雇用している会社は労働基準法を守っていない違法性のある組織です。
※労働基準法は就業規則や雇用契約よりも優先されるため、労働基準法よりも悪い条件で契約された契約書は無効となります。
しかし、最低賃金が護られていないからと言って即断で「この企業はブラック企業である」と決めつけるには時期尚早で、優良な組織は指摘する事で改善してくれるはずです。
※中小零細企業のような小さい組織では労働基準法の知識がある人が組織内に存在しない場合もあり、知らないから適応されていない可能性もあると思います。
特に、田舎で農家を経営しているおじいちゃんやおばあちゃんは労働基準法についての知識に精通しているとは到底思えません。
※このような組織の場合は他の雇用されている労働者も労働基準法に対しての知識がない(労働基準法の存在すら知らない可能性もあります)可能性も高いです。
その反面、知っていても守っていない悪質な組織もあります。
特に問題なのは、最低賃金の適用を免れようと請負契約を活用している企業もあります。
※請負契約には最低賃金が適応されません。
雇用主が労働者を使い捨ての駒のように劣悪な環境で労働(不当な給料など)を強いる事は社会的に良くないため、ブラック企業を淘汰するためにも悪質な労働環境からは早々に抜け出した方が良いと思います。
※精神的にも身体的にも疲弊してしまう人が多いので早々に対策をしてください。
今の生活も大切ですが、改善の見込みがない場合は多少無理してでも将来のために転職をした方が将来性があると思います。
自分の人生を決めるのは自らの選択ですし、その選択の責任はだれも取れません。
そのため、知識をつけ自分の身は自分で守れるようしてください。
しかし、労働基準法にはノーワーク・ノーペイ(働かなくして給料なし)という大原則があるため、最低賃金で雇われていても「いるだけで仕事をしていない」場合は賃金の支払い義務はないため、雇用契約書で取り決められた条件をお互いに取り決めを遵守する必要があります。
特に高齢になると体力も衰えて若い時のように仕事ができるわけではありません。
50代・60代になって「さぼっていたせいで後輩よりも賃金が低い」なんて事になって後悔する事のないように将来の生活を考える事も大切です。
間違っても消費者金融(サラ金)などを何社も利用して多重債務になってしまう事の無いように気を付けてください。