レバレッジ(レバレッジ効果)は自己資本を超えて運用資産を増やして取引する方法です。
レバレッジは自己資本の他に他者の資本を借り入れる事で、少ない資金で大きなお金を動かす事ができるようになるため、少資本で少ない利益しか出せない状態から、レベレッジによって資本を多きくして大きな利益を得る事ができるようになります。
つまり、レバレッジはお金に対して「てこの原理」を使う事です。
レバレッジの概要
レバレッジを使う事で小さな資金で大きな資金を動かす事ができます。
例えば
元金100万円を年利5%で運用できたとします。
この場合5万円の利益になります。
しかし、元金が200万円あれば同じ5%でも10万円の利益を得る事ができます。
そのため、100万円の元金で100万円の借入をすると、合計200万円の資産を運用する事ができます。
仮に利子を1万円引いても9万円の利益を得ることができますし、借入を更に増やせばより大きな利益を得る事ができます。
つまり、同じ元金でもレバレッジをかける事で多くの利益が得られるようになります。
しかし、レバレッジを掛けて大きな資本を動かすということは、損失も大きくなるため注意が必要です。
仮に100万円の元金が-5%の場合5万円の損失ですが、レバレッジをかけて200万円の資金を運用していた場合は10万円の損失になってしまいます。
そして、先ほどと同じように利子を1万円引くと11万円の損失となってしまいます。
更にレバレッジを増やして20倍の2,000万円の資金を運用して-5%だった場合は100万円の損失となり、ここから利子を引くと元本よりも損失の方が大きくなってしまい、運用しプラスになるどころからマイナスになってしまいます。
このように、借入が大きいほど損失も大きくなるため、レバレッジは諸刃の剣と言えます。
そのため、レバレッジの上限は規制されている事が多いです。
レバレッジの上限
レバレッジを掛ける事で大きな取引ができるようになりますが、その反面リスクも大きくなります。
その結果、大きな負債を抱えて返済する事が困難にになってしまった人が多く出てしまったため、レバレッジには上限が設けられるようになりました。
品目 | レバレッジの上限倍率 |
---|---|
仮想通貨(暗号資産) | 2倍 |
株 | 3.3倍 |
FX(外国為替証拠金取引) | 25倍 |
レバレッジの上限は過去の実績から、その変動を考慮して考えられています。
※日本のレバレッジは低い傾向があるため、海外経由でレバレッジをかける事で大きなレバレッジをかける事ができます。
しかし、危険であるためお勧めはできません。
昔は日本のFX取引のレバレッジは200倍も可能でしたが、危険であると判断されて規制されました。
レバレッジの倍率は基本的には価格変動が小さい相場でレバレッジは大きく設定されていますし、価格の変動が大きな相場ではレバレッジは小さく設定されています。
つまり、現物取引ではレバレッジの倍率が低いものは、ボラティリティ(ボラ)が大きいので、利益を出すチャンスが多い反面、損失を被る可能性も高いハイリスクハイリターンな相場です。
しかし、リスクを大きくする(レバレッジをかける)事で、リターンも大きくできるようにしたため、本来は小さな値動きでも、レバレッジによって大きな損益が発生するようになりました。
レバレッジの具体例
レバレッジはお金を借り入れる事で自分の資産以上のお金を動かして利益を増やす方法です。
計算しやすいように
- FXでレバレッジを10倍、元金が10万円と仮定して計算します。
元金が10万円でレバレッジ10倍の場合は100万円の資金を動かす事ができます。
1ドルが100円の時に買いで入るとレバレッジが無い場合は元金10万円は1千ドルになります。
しかし、レバレッジが10倍だと元金が10万円でも1万ドル(100万円分買う事ができる)の買いで入る事ができます。
この状態でドル円が101円となった時にドル円を売ると101万円になります。
(1万ドル→101万円)
つまり、10万円の元金で1万円が増えた(利益率10%)事になります。
現在は日本で取引できるFXのレバレッジ上限は25倍となっていますが、海外ではレバレッジが400倍が標準となっています。
そのため、10万円の元金で4,000万円を動かせる事となり、先ほどと同様のシュミレーションの場合は40万円の利益がでます。
非常に稀ですが、ドル円の相場は1日で3円以上、1週間で7円以上の値動きをする事もあります。
- 1日で3円変動する場合、レバレッジ10倍の場合は3万円、400倍の場合は120万円の変動となります。
- 1週間で7円変動する場合、レバレッジ10倍の場合は7万円、400倍の場合は280万円の変動となります。
そして、これは収益のみではなく、損失になる可能性もあります。
10万円の資産しかない人が280万円の損失を被った場合、その後の人生には少なからず影響がでると思います。
そして、元金が増えれば動かせるお金も増加します。
例えば100万円の元金がある人が先程と同様の状態になった場合、2800万円の負債を背負うことになり、その後の人生には大きな影響が出ると思います。
このような状態を回避するために、日本ではレバレッジの上限が設定されていますし、強制ロスカット(強制的に損切をするシステム)が設定されている事が多いです。
強制ロスカットについて
レバレッジを使った取引では依託証拠金(預けてある元金)が一定の水準よりも低下した場合(証拠金維持率が100~50%以下が多い)に強制ロスカットが行われます。
このような状態にならないために、証拠金が一定割合まで低下すると追証(おいしょう=追加の証拠金)を求められ、定められた証拠金を定められた期日以内に準備する必要があり、準備できない場合は強制的に決済されてしまいます。
強制的に決済されないようにするためには、追証を収めるか損切(含み損を確定させる)をする必要があります。
そして、なによりも忘れてはいけないのは、このようなシステムが正常に機能していれば強制ロスカットされても元金から損失分を失うだけで借金を背負うことは通常はありません。
しかし、土日など休日は取引が行えない期間があり、この期間中に大きな変動があった場合、取引会社が月曜日に動き出した時には大きな含み損となっているにも関わらず、その損失が確定されてしまい負債を負ってしまう事があります。
まとめ
レバレッジは諸刃の剣です。
上手く使えば大きな利益を得る事ができる反面、失敗すると大きな損失を被ってしまいます。
つまり、レバレッジによってリスクプレミアムがついている状態です。
しかし、慣れてくるとこのリスクに対しての認識が低下し、リスクを取りすぎてしまう事があります。
例えば
追証を求められた時に損切を行わずに追証を納めます。
そして、更に含み損が増加し2度・3度と追証を納めると手持ちの資産と呼べるものがなくなり、消費者金融(サラ金)やキャッシングなどを駆使してお金を集めてしまう人がいます。
このような人が強制ロスカットを受けてしまうと含み損が決済され、利益がでて返済できる予定だった借金を返済できる見込みがなくなってしまいます。
中には複数の金融機関への返済が必要な多重債務の状態になってしまう人もいます。
このような状態にならないためには損切を確実に行い、投資資金と生活防衛資金を分けておく事が大切です。
しかし、このようなアセットマネジメント(資産管理・運用)をせずに常にフルインベストメントではリスクが高すぎます。
フルインベストメントならばレバレッジは大きくかけないほうが良いでしょうし、レバレッジを大きくかけるならばフルインベストメントはやめた方が良いと思います。
投資で成功するために重要な事は、利益を優先してリスクを取る事ではなく、リスクを抑えて利益を出す事です。
備考
レバレッジは、てこ=レバー(lever)が語源とされています。
そのため、レバレッジはレヴァレッジ、リブレッジ、レバレッジ効果、レバレッジ率などと呼ばれる事もあります。
また、歯車=ギアリング(gearin)と呼ばれる事もあります。
依託証拠金は証拠金や保証金などと呼ばれることもあります。
基本的に力を増大させるものに例えられる事が多いです。