ホーソン効果とは
概要
ホーソン効果は「注目を浴びる事で行動に変化を起こす現象」です。
基本的に多くの人は「注目されている」と認識すると無意識のうちに「自分を良く見せたい」という気持ちが生み出される傾向があるため実力を十分に発揮しようと努力する傾向があります。
そのため、誰かに見られていると普段やっている以上のクオリティにしようという意識が働きポジティブな結果に繋がりやすい傾向があります。
※意識し過ぎて緊張してしまう人も多いため必ずしも良い結果になるとは限りません。
特に重要に感じている人の前や大衆の前などではこの心理が強く働く傾向があります。
ホーソン効果について
ホーソン効果は「見られる」というシンプルな要因によって結果が変化するというものですが、この心理は注目する側の心理を察する事ができるからこそ意識してしまうとも考えられます。
そのため、仕事などで長時間このような状態が続くと次第に大きなストレスを受けるようになります。
一般的に興味や関心を強く持つと注意深く観察したりポジティブな結果を求める事が多いため、仕事の内容や進捗状況を逐一観察するタイプの人は嫌悪感を抱かれやすいです。
しかし、この心理を上手に使う事で他者のモチベーション上げてる事もできます。
ホーソン効果に近い心理作用で教師期待効果(ピグマリオン効果/ローゼンタール効果) という心理があり、この心理的な効果は「他者へ期待を寄せられるとその気持ちに応えようとする」という内容の違いが分かりにくい心理があります。
大きな違いとしては
- ホーソン効果
他者に見られているだけで結果がポジティブになりやすい心理 - 教師期待効果(ピグマリオン効果/ローゼンタール効果)
他者から”認められたい”という心理が働き認められるように努力する心理
このような差があります。
基本的に人には「周囲の人から認めてもらいたい」という心理があるため、期待に応える事で「認めてもらえる」という認識から 承認欲求が刺激されて努力して結果を残そうとします。
教師期待効果(ピグマリオン効果/ローゼンタール効果)のポイントとしては成果を正当に評価して「認められた」という実感を与える事です。
また、自身の注目度を過大に解釈するスポットライト効果という心理傾向もあります。
この効果の特徴は他者からの認識よりも自己認識が大きくなるため周囲の人に少し気にかけてもらった際に「とても気にかけてもらっている」と錯覚するように認識を過大評価してしまう心理で、このような誤解が原動力になっている場合は実際には気にされていないと気が付いた時にショックが大きいため努力する意欲をなくしてしまう事もあるため注意が必要です。
ホーソン効果の具体例
ホーソン効果は身近なところでも作用しています。
例えば
病気やケガで会社を休む場合、多くの人は「周囲の人(上司や部下・同僚など)に迷惑を掛けて申し訳ない」と考えると思います。
しかし、休む事が常軌を逸していなければ周囲の人はそれほど気にしませんし、むしろ体調を気にしてくれる事の方が多いはずです。
これは仮に反対の立場になった時に自分の首をしめてしまう事も影響しています。
※ブラック企業では足を引っ張り合うのが常態化している事も多いため、そのような環境からは抜け出した方が将来的には良いと思います。
そのため、職場に「体調が悪い」という趣旨の連絡をすると大抵の場合は心配してくれますし家族からも労われる可能性が高いと思います。
多くの人はここで「早く体調を直さなければいけない」と考え、体調を直すためにゆっくりと休んで症状を改善しようとします。
まとめ
ホーソン効果は周囲からの期待が原動力となるため、良好な人間関係を構築するとやる気が向上して作業効率が上げると言われています。
しかし、周囲からの期待が強すぎると目標のハードルが過剰人なる事も多いので周りからの評価を意識しすぎて自分らしい言動ができなくなってしまう事もあるため注意が必要です。
また複数で作業を行う場合には良好な人間関係の方が連携が取りやすいため効率が上昇する事も忘れてはいけません。
良好な人間関係を形成するにはロサダ比(ロサダの法則/3対1の法則) を考慮し、ポジティブな要素を多く発信し、時にはネガティブな要素も発信する事が有効とされています。
ホーソン効果の例外的な使い方として、目標を大きく掲げて周囲の人に発信しする事で自らを追い込む方法があります。
これはスポーツ選手などの具体的で明確な指標がある人が使う事が多いです。
周囲からの期待が膨らむため目標を達成できない時に与えられるストレスは過酷なものになりますし、目標に向かっている最中でもそのストレスは多大なものとなります。
特にナルシスト(自己愛性パーソナリティ障害)のように自己評価に対して高く強いプライドを持っている人がこの方法を使うと効果が高いと考えられています。
※総じてストレス過多な環境を自ら作り出すため精神的に疲弊する可能性が高いです。
また、この効果を軽んじている組織では従業員の評価を正しく行わない(給料などの待遇をはじめとした様々な要因が影響しますが、給料は数字で表れてしまうため特に心理的な影響は大きいと思います)まま放置し、従業員から「適切な評価を受けていない」「割に合わない」「働いただけ損」などの認識がでてくると組織全体の生産性が落ちてしまうため注意が必要です。
備考
ホーソン工場で作業者の作業効率がどの影響で変化するかを調べた実験において、作業を見ている人がいる事が作業効率の向上につながる事が発見されたためホーソン効果と呼ばれています。
偽薬効果(プラシーボ効果/プラセボ効果)の一部とされています。