スペシャリストとは
概要
スペシャリストは特定の分野に精通し高い専門性を持った人です。
基本的に日本の教育環境(主に学校)ではスペシャリストになるための勉強を行ってから社会に出る事が多いため、若年者の多くは専攻している分野を重点的に学習して深い専門知識や特別な資格の保有を目指している人が多いです。
社会にでてからは更に専門分野に特化した独自技術を身に着ける人も多いです。
※世間ではエキスパートやプロフェッショナル(エキスパートやプロフェッショナルはスペシャリストとは厳密には異なりますが区分される事はあまりないです。)と言われる事も多いです。
特に危険な作業や大きな責任が伴う業務に就く人は専門知識だけでは不十分で、資格を保有してその能力を周囲へ認めてもらわないとそのスキルを存分に発揮する事ができない(法律などによって規制されている)ためスペシャリストは資格を取得している事が多いです。
しかし、高い専門性が必要な内容でも資格が存在しないものも多いです。
※資格として括る事が難しいほど専門性が高いものも多いです。
具体的には学者などがその代表で、ノーベル賞を取るような優れた知識を持っていても資格として区分すると保有者が極限られた人だけになってしまうようなものは資格にならない事が多いです。
反対に、一般人が少し学習すれば取れるような資格(自動車運転免許など)は危険が伴う事が多いです。
スペシャリストの特徴
人の活動時間は基本的には年齢に比例して増加するので、同世代ならば総合的な能力に大きな差はありません。
そのため、専門分野に特化して深い知識を持っているスペシャリストは能力が一点に集中して偏っている傾向が強い反面、その他のジャンルの知識が欠如しやすいです。
例えば、読書が好きな人は知識が多くなるでしょうし、体を動かすのが好きな人は体力があるはずです。
しかし、その一方で読書が好きな人は体力に自信が無かったり、体を動かすのが好きな人は知識量に自信がなかったりします。
このように、専攻分野に特化して能力を伸ばしたスペシャリストは特殊な能力や技術の領域がある反面、苦手な分野もある事を忘れてはいけません。
※一般的には1万時間練習するとスペシャリストだと言われているため、同じ仕事を5年(8時間×22日×12カ月×5年=10,560)続ければスペシャリストに近い能力が身についている可能性があります。
しかし、専門的なスキルを身に着けると自分の得意分野と他人の不得意な分野を比較して他者を見下す(バカにする)残念な人が多いです。
※客観的にみると大きな損をしているので気を付けなくてはいけません。
このように、与えられる時間は同じでもなにを学んだか(実用性があるかないかの違いが大きいです)で将来大きな差が生まれてしまうので目標をもつ事は重要です。
資格の具体例
多くの資格から取得の難易度が高いと考えられているものをピックアップしました。
有名な資格や周知されていない資格もあると思いますが、スペシャリストの目標として不足ない資格を記載しました。
※太字と下線がついたものは超難関、その他は難関だと考えられています。
- 法律
- 司法試験
- 司法試験予備試験
- 公認会計士
- 司法書士
- 税理士
- 弁理士
- 中小企業診断士
- 知的財産管理技能士
- 社会保険労務士(通称:社労士)
- 行政書士
- 医療
- 医師
- 獣医師
- 歯科医師
- 薬剤師
- 不動産
- 不動産鑑定士
- 土地家屋調査士
- マンション管理士
- 通信
- 無線従事者試験
- 総合無線通信士(1級/2級)
- 陸上無線技術士(1級/2級)
- 電気通信主任技術者(伝送交換/線路)
- 無線従事者試験
- IT
- ITストラテジスト試験(通称:ST)
- システム監査技術者試験(通称:AU)
- プロジェクトマネージャー(通称:PM)
- システムアーキテクト試験(通称:SA)
- ITサービスマネージャー試験(通称:SM)
- ネットワークスペシャリスト試験(通称:NW)
- データベーススペシャリスト試験(通称:DB)
- エンベデットシステムスペシャリスト試験(通称:ES)
- 情報セキュリティスペシャリスト試験(通称:SC)
- 情報処理安全確保支援士試験(通称:SC)
- 応用情報技術者試験(通称:AP)
- 工業
- 技術士
- 労働安全コンサルタント
- 労働衛生コンサルタント
- 原子炉主任技術者
- 核燃料取扱主任者
- 建設
- 建築士(1級)
- 建築物環境衛生管理技術者
- 電気
- 電気主任技術者(第1種/第2種)
- 航空・船舶
- 航空管制官
- 航空事業者試験
- 航空士(1等/2等)
- 航空機関士(滑空機)
- 航空機関士(飛行機・ヘリコプター・飛行船)
- 航空整備士(1等/2等)
- 航空工場整備士
- 運航管理者
- 操縦士(事業用/定期運送用)
- 操縦士 自家用(上級航空機・動力滑空機/飛行機・回転翼航空機・飛行船)
- 海事代理士
- 水先人(1級/2級/3級)
- 語学
- 全国通訳案内士
- 環境
- 気象予報士
- 計量士 環境(濃度/騒音振動)
- 教育
- 小学校教員資格認定試験
- 食品
- 管理栄養士
- クリエイター
- 舞台機構調整技能士(1級)
参考URL:https://shikaku-fan.net/national_qualification_rank.php
まとめ
スペシャリストは他の人が持っていない資格を取得していたり、普通は知らない知識や技術が身についている人なので、周囲から「あの人ができなければ普通はできない」と思われるような存在です。
このように一つ際立った特技があると同程度の総合的な能力があるオールラウンダータイプよりも良い評価をされやすいです。
※目立つ能力がある方が就職などの際にアピール(求職者)や評価(会社の人事等)がしやすいので採用率が良い傾向があります。
しかし、努力の方向性を間違うと社会に出てから苦労してしまいます。
例えば
企業の会計ができる人は会社が倒産しても、会計を行わない企業は無いと言っても過言ではないので、高い評価のまま転職できる可能性は高いです。
反対に、製造業で独自の製品を極めた技術者の中には、同業他社でも全く使われる事のない技術を持っている人や、オートメーション化(機械が代わりにできるようになる)が進んでいる分野の場合、専門性が高い知識や技術を身に着けてもその能力に対して評価してくれる会社がないため、評価が低い状態で転職しなくてはいけません。
語弊を恐れずに言うならば他社からの評価は「新卒の状態からからほとんどなにも学んでこなかった状態」からのスタートになってしまう可能性もあります。
代表的な例として
昔は電車に乗車する際に切符を切っていましたが、現在はIC化されてしまったためその業務自体がなくなってしまいました。
仮にこの仕事しかしてこなかった人は、他の仕事に就く時には1からのスタートになってしまいます。
そのため、一つの事に特化しているスペシャリストはどんなに優秀でもその分野が衰退してしまうと正当な評価を受ける事ができなくなってしまいます。
近年は人工知能(AI)の発展も目覚ましいので、どの職業でも人件費を節約しようと企業が力を入れてオートメーション化が進んでいます。
そのため、世間的に需要があって人間ではないとできないような職業に就くことが重要です。
多くの場合、8割の能力を身に着けるまでの時間と、その先の2割の能力を身に着けるのでは残った2割の方が時間も手間もかかります。
※後半の2割を身に着けたのがスペシャリストで、8割の能力を多く身に着けたのがゼネラリストだと考えてもらえればイメージしやすいと思います。
スペシャリストは狭く深く、ゼネラリストは広く浅く能力を得た人なのでそれぞれの長所と短所があるので、自身の適正を見極める事は重要です。
- スペシャリストは評価されやすいが他の分野への親和性が乏しく
- ゼネラリストは評価されにくいが他の分野への親和性が高い
それぞれを比較してわかりやすく表現すると、スペシャリストは就職しやすいが潰しが効きにくく、ゼネラリストは就職しにくいが潰しが効きやすいと言えます。
そのため、スペシャリストは自分の得意分野と市場の先行きを考えた選択が重要になります。
特に基本的にゼネラリストタイプはマルチタスクで処理する事が多いので、シングルタスクの適性の方が高いと思う人は基本的にスペシャリストの方が適正が高いと思います。