カサンドラ症候群(カサンドラ情動剥奪障害/カサンドラ状態)とは
概要
カサンドラ症候群は自閉症スペクトラム障害(アスペルガー症候群/ASD)のような意思疎通が正常に行えない親族と一緒にいる時間が長い事が原因となり、他者とのコミュニケーションに問題を抱えてしまう結果孤立してしまう状態です。
この問題は、介護や介助などで心身が疲弊している状態になり正常な判断をする事が難しくなっても、それを孤立しているため周囲の人がいない状態では察する事ができる相手がいない点です。
そのため、孤立し始めると悪循環に陥ってしまい抜け出す事が困難になってしまいます。
また、カサンドラ症候群の患者には適応能力に優れている人もいるため、プライベートな関係が悪化していても社会的に問題が無いように振る舞えてしまう可能性もあります。
カサンドラ症候群の判断基準
カサンドラ症候群の多くはパートーナーや子供などの身近な家族が意思疎通に問題を抱えている事が多く、問題のある意思疎通に適応すると通常の意思疎通が困難になってしまいます。
また、非合理的で脈絡なく変化する意思決定が多い環境の場合は不安障害や鬱病(うつびょう)などの症状がでてしまう事もあります。
具体的な特徴としては
- 身内に自閉症スペクトラム障害特性のある人がいる。
- 身内との感情的交流の乏しさや対立があり、精神・身体の虐待などによった人間関係の満足度が低下した状態である。
- 精神・身体の不調(自閉症スペクトラム障害、心的外傷後ストレス障害(PTSD)、不安障害、抑うつ、自己嫌悪、無気力、片頭痛、睡眠障害、体重減少等)がある。
- 周囲の人に自分の話を理解してもらえない。
カサンドラ症候群は女性に多いです。
これは自閉症スペクトラム障害の人が男性に多いため、パートナーの女性がなりやすいと考えられています。
また、カサンドラ症候群の人の性格は「真面目、完璧主義、我慢強い、責任感が強いなど」の傾向があります。
まとめ
カサンドラ症候群は身内の間で起こる事が多いため個人的な問題だと周囲から思われる事もあり、協力を得る事も難しい事が孤立を助長しています。
そのため、自閉症スペクトラム障害の二次障害といわれる事もあります。
しかし、これは自閉症スペクトラム障害に限った事ではありません。
親の介護や子供の世話などを一人で抱え込んでしまう(一人でしていると睡眠も十分に確保できずに疲弊してしまう人も多いです)事でカサンドラ症候群のように社会から孤立してしまう可能性があります。
孤立してしまうと助けを求める事が出来ずに親や子供、自分にまで危害を加えてしまう可能性や、無気力感からネグレクトする可能性もあります。
このような問題は当事者にならないと意識する事が少ないのが現状です。
社会的な対応や、周知が遅れている状況のため、被害者を減らす事ができる環境を整備する事が重要です。
備考
カサンドラ症候群は、カサンドラ情動剥奪障害やカサンドラ愛情剥奪障害などと呼ばれています。
カサンドラはギリシャ神話で登場する未来予知の能力がある王女の名前です。
カサンドラ王女の話を理解してくれる人がいなかったとされているため、社会から理解されない状態をカサンドラ症候群と呼ぶようになりました。