アダルトチルドレン(AC)とは
概要
アダルトチルドレンは「実年齢よりも精神的に成熟している人」を意味する言葉です。
基本的に容姿(主に雰囲気)から推測される年齢よりも実年齢が若い(幼い)人に多いため「アダルトチルドレンは大人びた子供(実年齢は未成年)」と表現される事もあります。
近年は雑誌やテレビでも耳にする機会が増えていますが本来の意味とは逆に「子供のような大人(実年齢は成人済み)」として誤解している人も多いため注意が必要です。
アダルトチルドレンは「発達障害」「精神疾患」などの病気ではなく「心理的な癖」「思考の癖」「性格上の特性」などが実年年齢よりも大人びていてるのが特徴で、幼少期の家庭環境が人格形成に大きな影響を与えているケースも多いです。
※アダルトチルドレンに多いヤングケアラー(日常的に家事・育児・介護をして家庭をサポートする子ども)も問題視されている傾向がありメディアで取り上げられる機会も増加しています。
誤解を恐れずにわかりやすく簡単な表現をするとアダルトチルドレンのイメージは「見た目は子供、頭脳は大人」の名探偵を思い浮かべていただければわかりやすいと思います。
アダルトチルドレン(AC)について
基本的にアダルトチルドレンは幼少期に機能不全家族で育った人に多い傾向があります。
機能不全家族は親が依存症(アルコール依存症・ギャンブル依存症・薬物依存症・セックス依存症など)であったり、親からの児童虐待(身体的虐待・精神的虐待・ネグレクト・性的虐待など)を受けるような一般的には問題のある家庭環境だと判断される環境で育ったため、身体的・精神的に受けたトラウマなどの影響から酷い場合は心的外傷後ストレス障害(PTSD)を持って育つ人もいます。
※両親・親族・周囲の人々との不仲なども原因となります。
このような、一般的な家庭環境だとは言えない幼少期を過ごしたアダルトチルドレンの多くは罪悪感・孤独感・自己肯定感の低さなどを抱えている事が多いため対人関係の問題や生きづらさを経験している人が多いです。
※度重なる罵詈雑言や物への加害などの言動的暴力が日常的に起きている事を想像すると「元気に明るく育つ」事が難しい事は想像でき人が多いと思います。
そのため、自尊心が低く内向的で自立意識が高い性格となるケースが多いアダルトチルドレンの周囲からの評価は同年代の人よりも「謙虚で物静かで自立しているように見える」傾向が強く、精神的成熟度と実年齢が釣り合わない(実年齢よりも精神年齢が高い)状態とみられる事が多いです。
特に同年代の人と比較した際の生活能力(家事・家計管理・書類申請など)が高い傾向があり、一般的には親元で庇護者として育っているはずなので本来は一人暮らしのほうが負担が増えるはずなのですがアダルトチルドレンは庇護されずに育っているため「一人暮らしのほうが生活が楽」という認識を持つようなケースも多くあります。
このような差から物事への関心事の質が異なり、同年代の人が「机上の空論を思い描いている」時でも「地に足が付いた考え」を持っている事が多いです。
そのため、生活に欠かせない「お金に対しての考えがとてもシビア」な人もいますし、お金に対しての信頼度が過度に高かったり仕事中毒(ワーカーホリック)になっている人もいます。
また、親からの過度な期待を受けたり周囲からマスコットである事を求められて演じてきた人など、周囲からの要求に答え続けてきた人も「本来の自分は愛されず、成果のある自分が愛される対象である」と認識してしまう人も多いです。
このように要因は様々ですが、アダルトチルドレンはいずれも幼少期の家庭環境に起因する事が多いです。
そのため、アダルトチルドレンは総じて生きづらさを抱えている事が多いです。
具体例
親の愛情を感じられないまま育った人は他者とのコミュニケーションを取ることが苦手になる事が多いため「恋人を作りたくない」「結婚したくない」「子供を授かりたくない」という人も多いようです。
これは世間の常識と今までの環境の常識が大きく異なるため世間の水準に適応する事が難しいためです。
※成長過程で大きな問題がある環境に身を置いている場合は世間の一般的な常識が欠如してしまい「常識がない=若い」という認識から実年齢よりも若く思われるケースもあります。
そのため、対人関係でのトラブルなどによって精神的に疲弊してストレスを抱える事が多く病院でカウンセリングを受診している人もいます。
周囲の状況によっては精神的な疾患となってしまい最悪の場合、自らの命を絶つという選択をする人もいます。
また、虐待を受けて育った人が親になった時に「子供を大切に育てたい」という思いが強くても親と同じ振る舞いをしてしまう事が多いです。
これは幼少期に自分が育った環境以外を知る術が少ない事が原因で、最適な接し方がわからないためです。
子供の接し方に不安を覚える人は専門の機関への相談をしてみてください。
※ここは迷ったら行動の精神が大切です。
アダルトチルドレンの特徴
基本的な特徴は
- 自分の判断に自信を持てず賛同や許可を求める傾向があります。
- 物事を最初から最後までやり遂げる事が苦手です。
- 傷つきやすく孤独感を抱きやすいです。
- コミュニケーションが苦手なため引きこもりがちになります。
- 罪悪感を持ちやすく、自虐的思考や自己犠牲を選択しやすいです。
- 心の底から楽しいと思う事がなかなかできません。
- 真面目な傾向があります。
- 自己肯定感が低い傾向があります。
このような特徴がありますが、アダルトチルドレンは病名や診断名などでなないことから自身が被害者であると気づいていないケースも多いです。
自尊心の低さから自分の能力を低く見積もってしまうため「私ができるならだれでもできる」という認識を持っている事も多いです。
そのため、日常生活に必要なスキルで「誰でもできて当たり前」だと思うのに「なんでこんな簡単な事もできないの?」と周囲に不満をもつ人はアダルトチルドレンである可能性が高いです。
また、アダルトチルドレンには様々ななタイプが存在するため無料の診断の結果だけで正確に判断する事は難しいため、専門の機関などで十分な検査を行いしっかりとした対策を行う事で ”生きづらさ” が改善されてアダルトリツドレンを克服できる人も多いようです。
※ACには7つのタイプがあると言われており「ヒーロー」「スケープゴード」「ロストワン」「ピエロ」「ケアテイカー」「イネイブラー」「プラケーター」に分類されていますが複数のタイプを併せ持つケースもあります。
まとめ
アダルトチルドレンは幼少期の家庭環境に大きな問題を抱えて育った人であるため一般的にはアダルトチルドレンは被害者であると考えられています。
幼少期の影響は大人になっても大きく、生涯に渡って影響を与えてしまうため大人になってからも問題を抱えやすい傾向があります。
特に自分の存在価値を低く見積もりやすいので精神的な改善や心のケアが必要になる事もあるので「我慢しすぎない」ように注意し身近な人に抱えている不安や問題を話す事で改善に向かう事もありますが病院を受診して治療を行うという選択肢も持っておくのが望ましいと考えます。
アダルトチルドレン自体は病気とは断定されていないため確率した治療方法はありませんが合併症状として「鬱病(うつびょう)」「不安障害」「適応障害」「摂食障害」などの症状が現れてしまうため「カウンセリング」「認知行動療法」「薬物療法」などの治療方法を受ける人もいます。
※認知の歪みを改善する心療内科的な治療、抗不安薬や抗精神病薬などを処方する薬物療法など症状に応じた治療を受ける事ができます。
アダルトチルドレンの多くは辛い経験をしながらも一所懸命頑張ってきた人が多いですが精神的に大人にならざるを得ない環境で生きてきた影響は通ても大きく人生の壁に突き当たる機会も人一倍多いです。
特に困難だと考えられているのは子供を育てる場合です。
基本的に自分が育った家庭環境を無意識に参考にして子育てをしてしまう傾向が強いため幼少期の劣悪な家庭環境を参考にしてしまうのはリスクが高いです。
しかし、他の家庭環境を事細かに知ることは難しいため自分の体感的に「これはされて嫌だった」「これは嬉しかった」という分類が子育ての基準になりやすいです。
そこで問題となるのは判断基準になっている家庭環境の前提条件が世間一般の前提条件と同じだとは限らない点です。
例えば
家に帰ると祖父母の世話や末っ子の面倒をみる、家事全般を行う、仕事に携わるという経験をしている子供もいるようです。
※特に長子は家族を支える事例が多くヤングケアラーになりやすい傾向があります。
そのため、アダルトチルドレンの自覚がなかった被害者が子供を虐待して加害者となる事も珍しくはありません。
備考
アダルトチルドレンは実年齢よりも精神的に成熟している方です。
一方で真逆な、実年齢よりも精神年齢が幼いピーターパンシンドローム(ピーターパン症候群) の患者もいます。
どちらも成長の過程に原因があるとされています。