貧困には定義があり、絶対的貧困と相対的貧困に分類されます。
絶対的貧困と相対的貧困ではその生活水準が大きく異なります。
- 絶対的貧困
人としての水準を維持する事が難しい(貧困線を下回る)状態 - 相対的貧困
文化的な水準を維持する事が難しい状態
絶対的貧困と相対的貧困はこのような差があり、基本的に日本で話題に上がる貧困は相対的貧困です。
これは日本の制度が絶対的貧困を生まない様に考えて作られているのが大きな要因だと思います。
これは憲法によっても定められており
日本国憲法
第25条 生存権、国の社会的使命①すべての国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。
②国は、すべての生活場面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない。
日本国憲法によって、最低限の生活を行う事を国が保証しているため、日本では絶対的貧困になることは稀です。
しかし、絶対的貧困と相対的貧困の具体的な差はわかりにくいです。
絶対的貧困と相対的貧困の差
相対的貧困が絶対的貧困の水準よりも劣悪な状態の地域もありますが、日本は絶対的貧困と相対的貧困の水準は異なり、世界でも恵まれた環境である事は明白です。
絶対的貧困で生活する人が世界には多く、食料の確保もままならない人がいる一方で、日本では年間約600万トンの食糧が廃棄されています。
このことからもわかるように、日本のような先進国で絶対的貧困だと考えられる人は極一部で、衣食住に困るようなレベルで生きる事に困る事は基本的にはありません。
ここまで抽象的な表現ばかりでしたので、具体的に絶対的貧困と相対的貧困の水準の差を比べました。
世界の絶対的貧困 | 日本の相対的貧困 |
---|---|
1日1.25ドル(150円程度)未満の生活 | 年収122万円以下(平均月収10万円以下) |
食料や水を調達できない | ご飯を食べたくても食べられない時がある |
服や家がない | 生活保護を受給している |
電気やガスなどのエネルギーが手に入らない | ライフラインの支払いが遅延する |
病気になっても医療を受けられない | 国民健康保険に加入できない |
教育を受ける事ができない | 家庭の事情で進学をあきらめる |
衛生環境が整備されていない | 災害などによって土地が荒れてしまっている |
このように、絶対的貧困に該当するような人は日本では極稀です。
そのため、日本は世界的にはとても恵まれた国である事がわかります。
まとめ
貧困は大きな社会問題として考えられています。
そのため、SDGs(エスディージーエス)でも大きな問題として考えられており、ソーシャルグッドにも大きな影響を与えています。
1990年に全世界で極度の貧困に苦しめられている人は19億人いましたが、2015年には8億3,600万人にまで減少しました。
しかし、未だに多くの人が貧困で苦しんでいます。
特に問題視されているのが親の貧困が子供の貧困へと繋がる貧困の連鎖です。
親の教育レベルが低い事で収入にも影響を与え、子供が受けるレベルも低下(親の収入が少ないと進学をあきらめたり、学業と並行して働かなくてはいけないなど)する事が多いです。
そして、十分な教育が受けられずに育った子供の収入は少なくなってしまい、親から子供へと貧困が継承されてしまいます。
日本では6人に1人が相対的貧困だと考えられていますが、絶対的貧困に陥っている家庭は極稀なとても恵まれている環境です。
しかし、日本のような恵まれた環境でも、教育の格差が収入の差を生み、社会の格差が広がっています。
この差は一朝一夕で埋まるようなものではないため、改善する事が難しいです。
また、日本でも紛争や天災などによって急に絶対的貧困へと陥る可能性もないわけではありません。
自分だけが良ければいいという考えではなく、困っている人を助けられる社会を目指したいですね。