
被虐待症候群(BPS:Battered person syndrome)とは
概要
被虐待症候群(ひぎゃくたいしょうこうぐん)は虐待の被害者が虐待を受け入れてしまう状態です。
虐待(精神的・性的虐待なども含まれます)が日常的に継続して行われている場合、被害者は「虐待に抵抗しても状況が改善しない」という事を認識してしまうため、被害者心理として「抵抗しても無駄」「抵抗する事で状況が悪化する」などという心理(学習無力感)が芽生える事で虐待を受け入れてしまう状況が発生してしまいます。
この状態まで環境が悪化してると被害者自身も虐待が発見されないように虐待の痕跡を隠してしまうため周囲の人からの発見が困難になってしまいます。
被虐待症候群(BPS:Battered person syndrome)の特徴について
被虐待症候群(BPS:Battered person syndrome)は虐待被害者の代表的な症状として考えられている事から、虐待被害者の症状として頻繁に紹介されています。
※batteredは直訳すると「殴打された」という意味ですが、物理的な被害だけではなく精神的な攻撃も含みます。
虐待が継続・日常化すると虐待に対して抵抗を諦めてしまい意欲を失うだけではなく、虐待を自然な行為として受け入れるようになってしまいます。
日常的に虐待を受けている人の特徴として
- 清潔感の欠如(生活環境の影響から衛生面に配慮できるだけの余裕がないなど)
- 栄養不足による不健康な体(一般的な体系よりも過度に体重が軽いなど)
- 複数の痣(痣を隠すために場にそぐわぬ厚着をする事も多いようです)
- 対人関係の適応能力不足(世間の常識から乖離しているためコミュニケーションに苦労するようです)
「日常的に継続して行われる」という前提条件を満たす必要があるため、多くのケースでは家庭内の被害者である事が多く、虐待される環境から抜け出した後も心理的ストレスが長期間継続してしまう事から心的外傷後ストレス障害の一種に分類するという考え方もあります。
基本的に最初は軽度の家庭内暴力から始まる事が多いですがドメスティックバイオレンス (DV)は徐々にエスカレート・常習化していき、生活環境が少しずつ悪化していくため茹でガエル現象の様に気づいたときには手遅れという事もあります。
まとめ
被虐待症候群になる人は肉体的な力が劣る女性や児童をはじめ、高齢者も虐待の被害者となる事が増加しています。
幼少期のうちは被害者が自身で虐待の被害者と判断する事は困難(自分の置かれている立場が通常の環境なのかを判断する経験や知識が乏しいため)です。
しかし、虐待被害者はその後の人格形成や人間関係で大きな支障がでる事が多く、幼少期から虐待が常態化している環境で育った人が親になった時に、子供に対しても自身が受けた虐待を行ってしまう傾向が強いため虐待が親から子供へ連鎖してしまう事も多いです。
※虐待加害者の親は虐待を虐待と思わずに育っている可能性もあり、閉鎖された家庭環境内ではその虐待に気付く人も少ないです。
その一方で女性が加害者となり男性が被害者となるケースが表面化する事例も増加傾向なようです。
男性の場合は虐待の事実を隠す傾向が強いため(男らしくない、恥ずかしい、社会的な影響などを考えて被害を受けていると言えない傾向があるようです)「潜在的な被害者はとても多いのではないか」と推測する人もいるほどです。
虐待をされている人を目にしたら救いの手を差し伸べて欲しいです。
備考
被害者によってカテゴリー分けされて呼び方が異なる事があります。
- 虐待被害者が女性の場合の主な名称
被虐待女性症候群(バタードウーマン)
被虐待妻症候群(バタードワイフ) - 虐待被害者が児童の場合の主な名称
被虐待児症候群(バタードチャイルド)
被殴打児症候群