臓器くじは健常者の臓器を取り出して多くの人の命を救う事は善い事かを考える思考実験として提案されました。
臓器くじは功利主義、モラルジレンマを考える際の題材として取り上げられることが多いです。
健常者の臓器を移植待機者へ配布する事で、犠牲者一人に対して多くの方が幸福となるため、健常者には臓器を提供してもらった方が良いかどうかを考える思考実験として考えられました。
功利主義の基本は最大多数の最大幸福の最大化です。
そのため、一人が犠牲になる事が善となります。
臓器くじの内容
- 健常者の中から無作為に一人選び、その人から臓器を取り出します。
- 臓器を取り出された方は助かりません。
- 摘出した臓器を移植待ちの方へ提供します。
※不正行為も医療的な失敗もなく、移植以外に助かる方法はないと仮定します。
議論の焦点
- 健常者が一人犠牲になる事で多くの人が助かる。
- 臓器提供を望まない健常者が犠牲になる事への疑問
- 臓器を摘出される側の気持ち
- 健常者でいる事への疑問を持つ人が増える
- 臓器移植を望む数人と健常者一人の社会的需要度
- 臓器を提供する側が重要人物の場合や提供してもらう側が凶悪犯の場合
上記の様に道徳的問題が多いため、モラルジレンマとして取り上げられる事もあります。
まとめ
日本の社会では臓器くじのシステムが善とされていません。
健常者の多くはこのシステムに疑問を持つはずです。
しかし、健常者でない方でも疑問を持つ方は多いと思います。
臓器くじのシステムは必ずしも健常者から摘出する必要性はありません。
このシステムの根幹は犠牲者よりも救出者が多ければいいという考えです。
一人が犠牲になることで複数人が移植を受けられればシステム的には問題はありません。
つまり、一人の犠牲者から二つ以上の臓器が摘出されればいいため、臓器が2つ以上あれば摘出の対象者として問題はありません。
現在の日本では、このような功利主義的な考えは普及していません。
日本人は功利主義的な観点を主観に置く方が少ない傾向にありますが、世界的に見ても臓器くじを善とする社会は少ないです。
しかし、一般的に多く普及されている多数決はこれに近いです。
多数決は簡単に決まりがつきますが、その一方で誰かが犠牲になる可能性が高い事も知る必要があります。