年次有給休暇は減給されない休日です。
年次有給休暇は一定の条件を満たす事で会社から付与され、事前に申請する事で、会社を欠勤しても減給されない制度です。
基本的に有給休暇の使用を会社が拒否する事はできず、有給休暇の使用理由を問う事も出来ません。
有給休暇は労働基準法第39条によって定められている労働者の権利ため、一定の条件を満たしている労働者に対して、規定の有給休暇を付与する事が定められています。
労働基準法で定められているため、有給休暇を付与しなかったり、規定の日数未満の付与は違法です。
年次有給休暇付与の条件
有給休暇が付与されるための条件はいくつかあります。
- 雇い入れの日から6半年(6カ月)間以上継続して勤務している事
- 労働日の8割以上の出勤日数がある事
- 年間の所定労働日数が48日以上である事
これらの条件を満たした人はその勤務状況によって定められた日数の有給休暇が付与されます。

例えば勤続年数が6年半(78カ月)以上の正社員(周5日以上勤務している人)は有給休暇が20日付与されます。
これは労働基準法で定められた年次有給休暇の最長です。
しかし、労働基準法で定められた日数未満の有給休暇の付与は違法ですが、多く付与する事は法律上問題ありません。
そのため、一部の会社では20日を超える有給休暇を付与する会社もあります。
有給休暇の義務化
西暦2019年4月1日から年次有給休暇が10日以上付与される労働者には付与日から1年以内に5日以上の有給休暇を使用させる事が会社の義務となりました。
これは労働基準法第9条7項に規定されているため、守らない会社は罰則(1人につき30万円の罰金)を受ける事になります。
「年次有給休暇付与日数」の表を確認していただければ該当しているのかを確認できると思います。
※付与された有給休暇が10日以上のため、前年度の繰越分は含まれません。
有給休暇の繰越
有給休暇のには時効があり、付与日から2年以内と定められています。
そのため、繰り越す事のできる有給休暇は一般的には1回です。
有給休暇繰越の具体例
3年間で年20日ずつ有給休暇が付与された場合
- 2017年4月1日に有給休暇が20日付与
- 2018年4月1日に有給休暇が20日付与
- 2019年4月1日に有給休暇が20日付与
合計60日の有給休暇が付与されます。
しかし、仮に有給休暇を1度も使用しない場合
2019年4月に有給が付与されると合計40日(2018年分が20日、2019年分が20日)の有給休暇となり、2017年度の20日分の有給休暇はなくなってしまいます。
そのため、基本的に有給休暇は繰越を合わせて40日を超える事はありませんでした。
しかし、これは2019年4月1日より前の内容です。
2019年4月1日以降は有給休暇が10日以上付与された場合は最低5日使用しなくてはいけなくなりました。
そのため、2020年の4月1日に20日付与された場合は、合計35日(2019年分が15日、2020年分が20日)の有給休暇となります。
まとめ
有給休暇は労働基準法で定められています。
そのため、労働基準法に定められた一定水準以上の条件である必要があります。
しかし、有給休暇を労働基準法の定めよりも多く付与したり、有給休暇の使用を年10日以上と就業規則で規定するなど、従業員が労働基準法で定められた条件よりも有益な条件となっている就業規則に問題ありません。
しかし、労働基準法よりも好条件の就業規則を定めている会社は多くはありません。
反対に、労働基準法で定められた水準を満たしていいない就業規則はその効力を発揮しません。
そのため、その就業規則よりも労働基準法が優先されます。
また、有給休暇を使用した人に対して減給や昇給・賞与の減額・社内評価の原点などを行う事は禁止されています。
特に多いのは有給休暇の申請の際のトラブルで、理由を聞いて判断する事です。
有給休暇は理由に関係なく使用ができますが、業務に支障が出る可能性がある場合は申請された日程を延期する事ができます。
しかし、業務に支障がでるのは環境を整備しなかった会社の責任であるため、業務上の問題が継続している場合は対策を行っていないと判断され、会社は労働基準法に抵触する可能性がでてきます。
また、業務に支障が出る可能性がある場合でも、有給休暇を使用させない事は禁止されています。
従業員からの有給休暇申請日程では、会社の業務に支障が出ると判断される場合はには有給休暇の使用する日程を変更する事ができます。
そのため、基本的には有給休暇を申請した日程がずれる事はあっても、申請した日数が減る事はありません。