優越の錯覚は自分は平均よりも優れていると過大評価する心理です。
知識や技術、身体能力や性格など、他者よりも優れていると錯覚しやすい傾向があります。
これは人間の生存本能によるもので、他者よりも優れていると考えることで精神的な安定材料になり、ストレスを抑える効果があります。
そのため、優越の錯覚の影響が強い方は自制心に乏しく、行動や認知機能を抑制する働きが弱い事が研究でも明かされています。
優越の錯覚が強い人の特徴
健康な方は優越の錯覚を起こしやすくなる傾向があります。
これは他者よりも劣る場合に劣等感を抱き、ストレスが多くかかるため、自己防衛能力としての側面もあります。
そのため、基本的には自分の長所を過大評価し、短所を過小評価する傾向が強く、短所から目を背けます。
憂鬱の錯覚の影響が多く出るのがナルシストで、他者をバカにしたり、批判したりと見下す言動が増加します。
また、見下している他者よりも自分が行えばうまくできるという心理が働くため、挑戦的な精神状態になりやすい傾向があり、社会の繁栄にもつながるとされています。
優越の錯覚を起こしにくい人の特徴
優越の錯覚の影響を受けにくい人は物事を客観的に捉えられる人です。
自身の行動や認知機能を抑制する能力が高く、物事を冷静で論理的に判断する能力が高い傾向があります。
そのため実際の能力が他者よりも優れている傾向が強いため、能力が劣っているというストレスを受けにくいです。
しかし、優越感は心の安定材料ともなるので、一概にいいとは言えません。
なにかの影響で能力的に劣る状況になった場合にうつ状態になりやすい傾向があります。
うつ病改善のための研究
優越の錯覚は鬱病(うつびょう)の患者の治療法に取り入れようと研究が進んでいます。
抑うつ状態の際は能力を過小評価する傾向が強くなります。
このため、一般的な方は抑うつ状態に陥る事でバイアスのかからない現実的な判断を行う事ができるようになります。
そのため、抑うつの現実主義と呼ばれることもあります。
しかし、鬱状態が悪化すると現実以上に悲観的になり、実際以上に過小評価してしまいます。
この状態の打開策として優越の錯覚を意図的に操作しようという研究が進められています。
まとめ
古代ギリシャの各伝で 「汝自身を知れ」とあるように、自身のことを正確に知ることはとても難しいです。
そのため、能力が低い方が自身を過大評価し、能力が高い方が自身を等身大で受け入れる事で、お互いの認識している能力が実際と逆転する現象も起こります。
これは優越の錯覚が引き起こす認知バイアスの影響によとされ、ダニング=クルーガー効果とよばれています。