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スーパースプレッダー

投稿日:2020年2月16日 更新日:

スーパースプレッダーとは

概要

スーパースプレッダーは感染症を通常の想定以上に感染させる恐れのある感染源です。

一般的な感染者が感染源の場合、他の人へとウイルスを感染させるのは3人程度に留まる事が多いですが、スーパースプレッダーは10人以上へ感染させる感染源として定義されています。
※数十人規模で感染を広める事もあります。

感染症の拡散能力が高いのが特徴ですが、感染の広まり方は基本的に2つのタイプに分類されます。

  • 短期集中型
     通常の潜伏期間中に多くの感染者を増やすタイプで、自覚症状はあり咳やくしゃみ・粘液の分泌が過剰でウイルスを大量に拡散させる可能性があります。
  • 長期分散型
     長期間にわたって感染者を増やすタイプで、自覚症状がなく長期的に感染者を増やすため、感染が広くなる可能性があります。

どちらのタイプも感染拡大に大きな影響をもたらすキーパーソンとされるため、スーパースプレッダーによる感染拡大事例をスーパースプレッティングと区別する事もありますが、このような現象は基本的に複数の要因が重なる事で起こる危険性が上昇します。

スーパースプレッティングが起こりやすい状態

基本的にどのような人がスーパースプレッダーとなるのかは不明であるため、感染者を増やさないようにしてスーパースプレッダーがウイルス感染するリスクを減らす事が重要です。

特に感染拡大の初期段階で早々な対応を行い注意深い感染管理措置は重要であるため、疑わしい状況を少しでも軽減するため、日常生活にかかわる公衆衛生・医療・保健分野などを通常時から高い水準で維持する事が被害の拡大を最小限にとどめたり、未然に防ぐためには有効な手段と考えられています。

その他にも避けた方が良い条件がいくつかあり

  • 集団的に免疫が低下している状況
     院内感染・高齢者施設・ストレスフルな環境など
  • ウィルス感染の誤認
     病院の誤診や個人の誤った判断
  • 重感染
     複数の病原が重なる事が要因

上記の条件を回避する事が感染を拡大させないためには重要視され、適切な感染防御対策が講じられた状況ではスーパー・スプレッダーは出現しにくいと考えられています。

スーパースプレッダーの具体例

スーパースプレッダーとして有名なのはメアリー・マローンで、世界で初めて臨床報告されたチフス菌i)の健康保菌者(健康被害がでないが病原体に感染していて感染源となりました)です。

1900年代初頭にニューヨーク市周辺で散発した腸チフス(Typhoid fever)の原因になったため「腸チフスのメアリー」「チフスのメリー」「タイフォイド・メアリー」などと呼ばれ広く知られています。

ニューヨークで生活していたメアリーは当初は家事使用人でしたが、料理の腕の良さと善良な人柄から信頼され富裕層に雇われて高給を得ることができていたようです。

しかし、この頃には周辺で腸チフスの小規模な流行が発生していて、メアリーが雇われていた家の住人もこの疫病の被害に見舞われてしまいました。

その後数年間の間にメアリーは何回か勤め先を変えましたが、その間にメアリーの身近では少なくとも22人の感染者が確認されていて、その中の1人で洗濯婦をしていた若い女性が死亡しました。

メアリーが雇われた家庭のほとんどで、彼女がやってきた直後に腸チフスが発生していたため、メアリーはチフス菌の保菌者ではないかと疑いをかけられ、1907年に実際に検査をするとチフス菌が確認されました。

ここで、健康体で感染の自覚症状がない感染源(スーパースプレッダー)だという事がわかり隔離されました。

隔離から2年が経過した1909年に、市衛生局を相手に隔離の中止を求めて訴訟を起こし衛生局側の勝訴で終わったものの、この訴訟によってメアリーには隔離から解放されるチャンスが与えられることになり「食品を扱う職業には就かない」「定期的にその居住地を明らかにする」この二点の条件に合意する事で隔離病棟から解放されました。

しかし、料理人としての能力を制限され、食品を扱わない家事使用人として働く生活は経済的に苦しかったようです。

最初は所在を定期的に連絡していたものの、やがて連絡が途絶えてしまい消息がつかめなくなりました。

釈放から5年後の1915年に再び腸チフス流行の感染源として見つかった際には調理人として産婦人科病院で偽名を使って働いていたそうです。

その過程で腸チフスの感染者25人と2人の死者を出しました。

この事件をきっかけに、亡くなるまでの23年間隔離されました。

まとめ

感染症が広まる事で多くの被害者を生みますし、感染者の健康には深刻な事態を招く恐れもあり最悪の場合は命の危険があります。

特に基礎疾患が重なる場合は健康被害が大きく、免疫機能に異常をきたす可能性や治療薬との相性が悪い事が影響して投薬などの治療法に制限がかかってしまう事もあります。

また、病気によっては関知してからも後遺症が残ってしまい日常生活に支障をきたす人もいます。

過去に起きたパンデミック(汎発流行) による被害では感染者が約6億人(当時の人口の1/3程度)、死亡者が5千人とする報告もあります。

しかし、感染の拡大を引き起こす恐れがあるスーパースプレッダーを隔離する際には感染経路によっては人権を大きく侵害してしまう問題もあるため対応が難しいです。

チフスのメアリーは長期的に多くの感染者を生んだため、感染源として長期間の隔離措置が行われましたが、その一方で人権について議論されています。
※感染源本人の認識の甘さから死者も出している事から公衆衛生を高める教材の資料として使われる事もあります。

感染源となった人の立場になって考える事はとても重要で、もしかすると明日には自分がスーパースプレッダーとして隔離されてしまう可能性もあるため、しっかりと人権を尊重した対応を整える事は大切です。

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