
ストックスピールとは
概要
ストックスピールは誰にでも該当する内容の言葉ですが、「あなたは~」のように発信する人物を特定すると受け手側はポジティブな印象を受け「気持ちを分かってくれる」「事実を言い当てられた」という気持ちを抱きやすいです。
そのため、基本的にはバーナム効果(フォアラー効果)を利用しているテクニックで「好きな人に振り向いて欲しい」という恋愛の場面や、「顧客との信頼関係を形成したい」という営業の場面などではこの技術が特に役に立つ事が多いと思います。
会話で役に立つテクニックの一つで信頼を得るために用いられますが、具体的な内容がなく漫然とした抽象的な言葉が用いられます。
例えば
- 「あなたはとても優しいですね」
- 「あなたはとても親切ですね」
このように、事実(実際の出来事や具体的な数字など)には触れずにポジティブな感想(褒めるのは特に有効だと思います)を伝える事で誰にでもある善意の気持ちを刺激するため、その真偽に関わらず多くの人は友好的な対応を返す傾向があります。
しかし、小手先のテクニックだけでは相手に「会話が不自然」「変な人」という印象を与えてしまい信頼度を失ってしまうため、対象の表情や言動から反応を確認しながら臨機応変に質問や回答をする必要があるため、初心者がいきなり上手に使おうとしても難しいです。
また、本当に相手の事を分析する能力に長けている人が使う場合は「内心を見透かされているかもしれない」という疑念を与えてしまう事もあり、このような場合は反対にネガティブな印象を与えてしまう事があるので状況に応じて慎重に会話を展開する必要があります。
そのため、何度も会話をして対応できる語句やパターンを増やしていく必要があります。
具体例
ストックスピールはその後の話の展開を広げられる言葉が使いやすくお勧めですが、友人関係などでは相手の事を過度に分析してしまうと「心を読まれている」という錯覚が起きてしまい、交友関係が破綻してしまう事もあるため注意が必要です。
※全てを見抜かれてしまう人には恐怖を感じてしまう人が多いです。
例えば
- 「少し疲れていませんか?〇〇さんはいつも頑張っているから心配です。」
このように具体性が全くないのに理解度が高いと錯覚するような言葉はオススメで、基本的に多くの人はなにかしら頑張っていますし多少なりとも疲れているため、このように言われて完全否定する人は少ないと思いますし、否定されなければ流れに合わせて話を膨らませていけます。
仮に否定された場合でも「気のせいなら良いのですが・・・無理しないでくださいね。」のように「気遣いをしている」という事を相手にしっかりと伝えれば変に思われる事も少ないはずです。
このような文章を考える時は具体的な数字や事実などの変えられない内容を断言してしまう事は避けるのがポイントです。
具体的な内容を織り込んでしまうとこちらの問いかけに対して、根拠を求められる事もあるため展開が難しくなってしいます。
※特に否定された場合は会話を進める難易度が上がってしまいますし、苦手な分野に会話が向かってしまうと知識が追い付かずに非現実的な数字を出して墓穴を掘る事もあります。
理想的な会話の内容は、肯定されても否定されても相手が不快にならないような言葉を選択する事ができれば最適です
そのためには相手の返答を想定して親密度があがるような内容を逆算する事がポイントです。
また「~ない~ないですか?」というような二重否定疑問文になる文章は必ずしも否定を二回続けたからと言って肯定になるものだけではないため、受け手が正しい意味を受け取る事が困難であるため活用しやすいです。
具体的には
- 「〇さんは健康でないことはないですか?」の場合は受け取る人によって意味が異なります。
- 「健康ではない、ことはないですか?」の場合は区切られた後は確認の意味があります。
- 「健康ではないことはない、ですか?」の場合は区切られた後は否定の意味があります。
基本的に人は自分の都合の良いように話の内容を誤認する傾向が強いため、2つの意味を含む言葉の場合は都合の良い方や、日常的に考えている方向に思考が偏る傾向が強いです。
まとめ
ストックスピールは抽象的で実態のないような言葉ですが、言われた人は詳しい詳細まで理解されているような感覚を持ってしまう傾向があります。
そのため、会話の切っ掛けとして情報を読み取るための手法の一つで、他者からの信頼を得るのに効果的な方法です。
特に、事前情報がなくても成立するため、使いやすい会話の定型文をいくつかキープしておき、会話の中でそれらを巧みに用いながら臨機応変に会話を展開していく事で初対面の人との親密度をあげやすくなります。
しかし、このプロセスだけでは不十分で、読み取った情報を活かしてさらに親密度をあげる足掛かりとする事でコミュニケーションが円滑に行えるようになります。
そのため、常套句をいくつも確保して会話を上手に誘導して話の流れをコントロールしながら観察する事で、相手に認識されないように情報を収集していくコールド・リーディングなどの手法の中で「サトルクエスチョン」や「サトルネガティブ」のようなテクニックを駆使する事で効果的で実践的な文章を作りやすくなります。
ここまでの話だとメリットしかないように感じると思いますが多様な使い過ぎは厳禁です。
人は新奇恐怖症(ネオフォビア)という未知のものに対して恐怖を感じてしまう傾向があるため、一般的な交友関係ではあまりにも相手の事をわかりすぎてしまう人に対しては恐怖を感じてしまいます。
※全てを見透かされていると感じるような人と仲良くしたいと思える人は少ないです。
ある程度は理解できない要素がなければ人間味が薄くなってしまうため、交友関係においては好感度を上げる要素の一つとなっているので、営業の担当者・占い師・詐欺師などの極一部に該当しない多くの人はバランスを考えて使う事が望ましいです。
※占い師や詐欺師などは嘘や錯覚も使うため、マジシャンのように視覚的にだます技術を用いる人もいます。
反対に、すぐに人を信用してしまうような人は、騙されたり裏切られないように警戒心を持つ事が必要で、付き合いが短いのに過度に褒められたりなんでも話せるというような人には注意が必要かもしれません。
本当に優しい人はあなたを肯定するだけではなく、時にはあなたを否定して敵になってくれる人です。
このような違いをしっかりと見抜けるように心がけたいですね。