
ギフテッドについて
概要
ギフテッドは神様から学術的才能を授かった(ギフトされた)人を指します。
ギフテッドは先天的な資質や遺伝によって平均より高い記憶力・学習能力・論理的思考能力( IQ130超) を持つ人で人口の2%程度といわれています。
ギフテッドの中でもさらに特出した才能を持つ人はハイリーギフテッドと呼ばれる事があります。
ギフテッドは先天的に学術的才能を持っているため、後天的に学習能力を鍛えるのとは異なり生まれた時点でギフテッドかどうかが分かれます。
つまり、先天的な素質で判断するギフテッドは、日本の天才という分類とは異なる意味合いがあります。
日本の天才は先天的な要因のみではなく、後天的に努力によって能力を伸ばした人を含むため、ギフテッドやタレンテッドなども含めた広義の意味をもっています。
つまり、日本の天才はギフテッドを含む才能や能力の総称になっています。
ギフテッドの生きにくさ
周囲とのギャップについて
一般的にIQが20~30違うと会話は成立しないと言われているため、ボリュムゾーン(約68%)であるIQ85~115の子供と会話をするには95~105のIQである事が本来は望ましいです。
しかし、ギフテッドはIQが130を超えてしまうため、多くの人と会話が困難になってしまいます。

そのため、ギフテッドの子供は同年代の子供と遊びたがらずに大人と遊びたがる傾向が強いです。
つまり、同年代の子よりも大人といる事が好きな子供は能力が高い可能性があります。
ギフテッドがいくら賢いといえども幼少期は経験が乏しいため高い能力だけでは乗り越えられない状況も多いです。
特に影響が大きいのが精神面です。
ギフテッドも周囲の同年代の子供も精神的に未熟な事が多いですし、周囲の大人もギフテッドに関する知識がない状況である可能性も高いです。
ギフテッドは大人になるにつれて本人の知識が増えていき、いずれ自身の能力が特別に高いと気づきますが、幼少期はその差を意識できるだけの知識が欠如しているため、本人も周囲も気づかずに生きにくさを抱えやすい傾向が強いです。
しかし、小学生になると学校の授業が始まるため学業の成績で周囲との差が数値化されるため能力による差が顕著に表れるようになります。
そして、ギフテッドの能力が高すぎる事は周囲との差に悩まされる原因となり次第に浮きこぼれとなって孤立したり、生きにくさを感じながら生活する生徒が多い傾向があります。
才能を見極める事の難しさ
ギフテッドは周囲の人よりも優れていると自覚する事で他者との折り合がつけやすくなります。
しかし、人は他者と感覚を完全に共有する事はできないため、自分の生まれ持った時から備わっている「当たり前」の才能を見極める事はとても難しいです。
これは箱の中のカブトムシを思い浮かべていただければわかりやすいと思います。
そのため、幼少期に周囲の大人から天才だと思われていた人でも、成人する頃には普通の人と変わらない一般的な能力だと判断されてしまう人も多いです。
このようなケースの多くは、早熟タイプで成長が早かったため周囲よりも能力が高かった可能性があります。
4月生まれと3月生まれでは約1歳の年齢差がありますが、この差は幼少期ほど大きな差となりますし、成長速度は個人の個体差の影響も大きいです。
早熟タイプの子供を極端に例えるならば、幼稚園生の中に小学生が混ざっているような状況だったため、当然周囲の子供よりも能力が高く見える可能性が高いです。
また、早熟タイプではなく才能のポテンシャルが高かった場合でも、その才能を伸ばす事ができない環境(本来の得意分野に親が気づけずに異なる分野の才能を磨くことに能力を注いでしまった場合など)だった可能性もあります。
ギフテッドを見極めるためには
ギフテッドの特徴
ギフテッドにはいくつかの特徴がありますが、ギフテッド特有だと断言できるものは少ないので総合的にみる必要があります。
- 一人で過ごす事が多い
- 語彙能力、思考速度など同年代では理解できないため会話が成立せず周囲との差に悩まされることが多いです。
- 学校では能力が高すぎる事が原因で浮いてしまうため、浮きこぼれとなり不登校になってしまう事もあります。
- 能力の差が大きすぎて周りがついてこれず、その結果一人で過ごす時間が多くなる傾向が強いです。
- 一つの事を集中する傾向が強く邪魔される事を嫌い、周囲と足並みをそろえるのが苦手なタイプが多いです。
- 独特な感性
- 好奇心・探求心・こだわりなどが強く独特の学び方をする傾向が強いです。
- 自分の興味のある事に対してのみ能力を発揮するため、学校の学習などに興味を向けられない場合、周囲からはできない子扱いされてしまう事もあります。
- 独学の方が効率がいいため、学校のように足並みをそろえて学習する事を嫌います。
- 繊細な感覚
- 食べ物の好き嫌いが多いです。
- 他者の感情への過剰反応を示す事が多いです。
- ストレスを感じやすいです。
- 正義感が強い
- いじめや理不尽な圧力を嫌がります。
- 環境や社会問題に対しても関心を寄せ、幼少期から大人へ意見する事もあります。
- 容姿端麗が多い
- 男性でも女性でも顔立ちや見た目が中性的になる傾向が多く、肌が綺麗な方が多いですが必ずしもそうではありません。
- 男性でも女性でも顔立ちや見た目が中性的になる傾向が多く、肌が綺麗な方が多いですが必ずしもそうではありません。
タレンテッドとの違い
ギフテッドは分析するのが得意です。
論理的に分析し解明する能力が高いです。
そのため理数分野で功績を出された方も多く、社会で活かされるような理論の解明が進んでいます。
タレンテッドは創造すのが得意です。
感じたものを表現する能力が高いです。
ギフテッドは在るものを分析する才能です。
タレンテッドは無いものを生み出す才能です。
どちらの才能も非常に魅力的ですが、方向性が異なっています。
まとめ
ギフテッドは生まれつき高い学習能力を持った人で、生涯にわたってその才能を発揮します。
そのため成長するにつれて飛躍的に能力を伸ばしていきます。
しかし、その先天的に高すぎる能力は周囲から理解されない事もあります。
理想は保護者が早い段階でその才能に気づき病院で適切な判断をしてもらう事です。
具多的には
WISC(ウィスク)と呼ばれる検査が有名で、現在はWISC-V(ウィスク・ファイブ)やWISC-4(ウィスク・フォー)という検査が受けられる病院が多数存在しています。
※WISCを取り扱っていなくても「WISCを受診したい」と申し出れば同系統の検査を受けれる可能性が高いです。
この検査は心療内科や精神科などで行われる事が多いので抵抗を感じる人も多いかもしれまん。
しかし、一生を左右する大きな問題になる事もあるので、英断していただいた方が良いです。
一般的にIQが20~30程度離れると会話が成立しなくなると考えられているため、IQが140を超えると人工の約84%であるIQ115以下の人との会話が困難になっていき、高IQ側が一方的にレベルを合わせる事が増えいくと考えられています。
反対に、低IQの人がギフテッドにレベルを合わせようとしても、ギフテッドの話す内容は高レベル過ぎて会話についてこれない人が多くなってしまいます。
そのため、「過ぎたるは及ばざるが如し」とも言われるように、その高すぎる能力の影響で周囲との意思疎通がうまくいかずに理解されないと悩んでしまう人も多いです。
具体的には
同レベルならば意思疎通も簡単で、常用日本語単語を使って「あたりまえ」に円滑なコミュニケーションが行えます。
しかし、その中に一人だけ日本語も英語も話せるバイリンガルの人が混ざるとその豊富な語彙力を理解できずに会話がうまくいきません。
そして、この一番の問題は周囲の低い能力が一般的な能力の水準であるため、上手くコミュニケーションできない原因が「能力が劣っている」と錯覚(周囲の大多数の人の能力が低すぎて理解できないため、少数派の自分が考えが間違っていると錯覚してしまう)してしまう人がいる点です。
これはダニング=クルーガー効果に近い現象で、レベルが異なりすぎると認識が大きく異なってしまいます。
このように能力のポテンシャルが異なりすぎるといくら説明しても話がかみ合わない事が多いです。
しかし、幼少期の段階で自分が他の人よりも優れていると自覚できる人は少なく、多くの場合は周囲から変な子供だと思われてしまいます。
そのため、ギフテッドの子供は才能が周囲から押しつぶされないような環境を与える事がとても重要です。
頭が良くても経験値の少なさや精神面の未熟さは才能だけでは補いきれないので、周囲の大人がその点をサポートしてあげなくてはいけません。
しかし、日本は先進国の中でもギフテッドに対する認知が遅れているためギフテッドの子供を見分ける以前に周囲もギフテッドについての知識がない状況が多いため十分な教育や対応を受ける事が難しく、能力を伸ばすための環境整備が遅れている事が多いです。
海外では周囲よりも学力が高い生徒は飛び級させるなどして、同学年の生徒よりも先の教育を受ける事もあります。
日本では留年はあっても飛び級は基本的にありません。
このような問題はギフテッドに限った問題ではなく、タレンテッドやHSP(エイチエスピー/ハイリー・センシティブ・パーソン)などの周囲よりも能力が高い人が抱える問題です。
そのため、才能がある人が浮きこぼれ(吹きこぼれ)ないように理解者が増えるような社会になって欲しいです。
海外ではギフテッドの女の子を取り上げた映画も公開されています。
興味のある方のために下記に掲載しておきます。
関連映画
|
|
|
関連記事
IQ(アイキュー)
浮きこぼれ(吹きこぼれ)
ダニング=クルーガー効果
タレンテッド
論理的思考(ロジカルシンキング)
HSP(エイチエスピー/ハイリー・センシティブ・パーソン)