カントリーリスクは”投資対象が特定の地域に偏っている状態”に潜んでリスクが上がっている事です。
投資対象が特定の地域に偏るとその地域で政治・経済・社会情勢などの地政学的な問題が起きた場合に大きく資産価値が低下する可能性が高いです。
私たちの住む日本は世界でも恵まれている経済大国であるため資産配分を注意深く観察していないと日本株や日本国債、日本円などを多く保有してしまいやすい傾向があります。
しかし、保有資産が国内に偏っていると災害などの影響で日本に大きな被害があった時に資産価値が大きく減少してしまう危険性があります。
日本は世界でも裕福な国として考えられていますし、情報も集めやすい事から安心材料も多く”ホームカントリーバイアス”(自国の資産割合多くなる傾向)が強くなってしまう傾向があるので注意が必要です。
特に国債は国の情勢に左右される銘柄ですが”国は潰れない”という先入観を持っている人は多いですが実際には国が破産して債務不履行になる事もあります。
基本的にデフォルトが起きるような国で発行される国債はリスクプレミアムがついているため利回りが高いですが相応のリスクが潜んでいるのを忘れないように心がける事は大切です。
具体的なカントリーリスク
- 市場動向の変化
- 急激なインフレ
- 通貨の大幅な下落
- 国債の債務不履行
- 政権交代による政策変更
- 争い(戦争・内乱・暴動・)
- 自然災害
国の政策と国民感情の不合意や、政策の失敗はいつ起こるかわかりません。
また、カントリーリスクはその国に原因があるとは限りません。
結びつきが強い同盟国がなにかしらの問題を抱えている場合はその問題が他国へと影響を与える事もあります。
サブプライムローンによって引き起こされたリーマンショックは日本にも強い影響を与えたのは記憶に新しいと思います。
国の格付け
ソブリン格付けと呼ばれる各国の中央政府の発行する債券・債務などを評価した格付けがあります。
国名 | ムーディーズ評価 | S&P評価 |
---|---|---|
オーストラリア | Aaa | AAA |
カナダ | Aaa | AAA |
ドイツ | Aaa | AAA |
スウェーデン | Aaa | AAA |
シンガポール | Aaa | AAA |
米国 | Aaa | AA+ |
香港 | Aa2 | AA+ |
フランス | Aa2 | AA |
英国 | Aa2 | AA |
韓国 | Aa2 | AA |
台湾 | Aa3 | AA- |
中国 | A1 | A+ |
日本 | A1 | A+ |
スペイン | Baa1 | A |
タイ | Baa1 | BBB+ |
インド | Baa2 | BB- |
ギリシャ | B1 | B+ |
主要な国だけピックアップして表にしました。
基本的にはA以上の評価はリスクが少ないと考えられています。
しかし、情勢によって大きく変動する事もあるため参考程度にとどめておくことが良いです。
※リーマンショック時のリーマンブラザーズの格付けはAAAだったため、格付け機関の信用度は現在はあまり重要視されていない傾向があります。
また、BBB+以下は債務不履行になる可能性を常に考慮するべきだと認識する必要がると考えられています。
GDPについて
GDP(国内総生産)は経済活動を測定する指標です。
日本のGDPは約5.8%(2019年)で世界で第三位となっています。
- 1位 米国(24.4%)
- 2位 中国(16.3%)
- 3位 日本(5.8%)
- 4位 ドイツ(4.4%)
- 5位 インド(3.3%)
- 6位 英国(3.2%)
- 7位 フランス(3.1%)
日本は比較的上位ですが、資産運用の視点から考えると日本にすべての資産を預ける事はリスクがあると考える人が多いです。
そのため、日本では米国の資産を保有する人が比較的多いです。
また、新興国(南アフリカ・トルコ・ブラジルなど)は価格の乱高下が激しいため、ハイリスクハイリータンな商品として組み入れる人も居ますが、変動が激しく難しい資産なので注意が必要です。
まとめ
カントリーリスクは特定の地域に偏った投資を行っているために起きるリスクのため、常に国際情勢に注目する事は重要です。
リスクプレミアムの付いた高配当な投資は一時的に高い収益性を確保できる可能性が高くフルインベストメントを考える事もがあると思いますが、特定の地域に集中して大きく利益が得られたとしても、それが今後も継続するとは限らない点には注意が必要です。
そのため、カントリーリスクから目を背けることなく、アセットアロケーションを考え事は重要です。
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