概要
ドッグフーディングは「システムやサービスの問題や向上に向け積極的に改善していく取組」です。
製品やサービスを提供する際には「販売して終わり」ではなくその後のアフターケアも継続的に品質が保証されていなくてはマーケティングを必死に行って新規の顧客を開拓してもリピーターがつかなければシェアの拡大にはなかなか繋がりません。
清貧を「快適に活用できる仕組み」が作られている会社の場合は少し販売価格が高くても信頼性がある方を選ぶ人も多いとおもいます。
例えば
- 製品の点検やメンテナンスなどのアフターフォローが行われている
- 消耗品やサービスの場合は継続して同程度以上の品質が保証されている
このように消費者(ユーザー)が心理的に利用しやすくなる取り組みが行われていると「満足度が高い」という付加価値が付くため「安心や安全」などのためにお金を払う人はすくなくありません。
サービスを提供する際には多くの場合はリリース前から始まり、サービス提供後も継続してユーザーにとってメリットの大きいサービスを提供できるように繰り返し改善が行われます。
そのため同じカタログ値の製品よりも価格が高くなってしまう事も珍しくはありません。
「値段が高い」状態でも販売を促進して売上を確保するためには「価値の高い状態」を維持する必要があるため開発サイドは常にPDCAサイクルを回して顧客満足度の向上についての検証を行ってより良いサービスを提供するための創意工夫を行い競合他社に引けを取らないサービスを提供し続ける必要があります。
※簡単に言うとコスパ(コストパフォーマンス)が良い状態
具体例
ドッグフーディングはサービスの公開前から始まり、公開後にも継続して行われます。
アプリのようなサービスを提供する場合は「大きなトラブルが起きそうな要因」や「重大なミスがないか」の確認などを洗い出して改善していきますが、このようなチェックには流れや段階があります。
- プロト版
意図した操作が正常に行われるのかを開発している少数の人員でテストを行って確認します。
※動作確認の最初のステージです。 - α版の公開をする前
プロト版よりもサービスを拡大して社内で再度意図した操作が正常に行われるのかを確認します。
※この段階で重大な不具合が見つかるとリリースが遅れるなどの影響があります。 - α版の公開
この段階では制作サイドだけではなくテストプレイヤーにも参加してもらい「意図した操作」が正しく実行できるのかの確認を行います。
※テストプレーヤーを募って期間限定で社外の人にチェックしてもらいます。 - β版の公開をする前
α版よりもサービスが拡大して実装予定の内容がほぼ完全な状態のサービスであるため細かな調整などが行われます。
※α版の公開の際に出た問題点を修正して動作確認をする段階です。 - β版の公開
再度ユーザーにも協力してもらい試験運用を行います。
※テスト公開はその製品のクオリティによって少ない事も多い事もありますが、公開テストで問題が多いほど何度も修正が必要になりますし、製品によってはずっとβ版のものもあります。 - 正式リリース
制作サイドによる実証ユーザーからの不具合報告の修正やバランスの調整などを行いながら本格的に運用していきます。
※正式にリリースされたら不具合の修正などの際には迅速で正確な修正が求められるようになるので担当部署の人は深夜に対応してアップデートをする事も珍しくはないようです。
このようにサービスの保全に努める事で「ユーザーにとって良いサービス」を提供する事に繋げようとする取り組みがあります。
余談ですが、昔はゲーム業界大手の任天堂を代表する「ポケモン」のようなビックタイトルでも特定の動作(通常のプレイでは想定していないような動作)を行って「モンスターがLv100(最高レベル)になる不具合」や「道具を複製する方法」などが世間に知れ渡っていたので「不具合のないゲーム」の制作はとても難しいようです。
まとめ
開発サイドだけで顧客満足度の向上に努めても理解度が高い人向け(作品の流れがわかっている人や事前知識がある人が制作しているため)のサービスを提供する事につながってしまう事が多いです。
新規ユーザでもわかるようなチュートリアルを作る担当者は無知のベール(無知のヴェール)(知らないという前提で考える事で合理的・客観的に考える事)を纏って考えるものの、実際には一般ユーザーの求めるものとは異なったものとなってしまう事があります。
そのため、顧客へのアンケートやインタビューなどから情報を得る事も珍しくはありませんし、社外の人からの意見は「人間関係などの偏見」などによるバイアスがない状態の本音がわかるためとても重要です。
※クレーム対応に力を入れている会社は顧客満足ど向上に力を入れている傾向が強いです。
また、一般ユーザーの少数意見を優遇しすぎるとゲームの内容が右往左往してシステムの本筋が定まらなくなってしまい大多数のユーザーのプレイを妨げる要素が追加されてしまう事があります。
ゲーム開発の場合は「開発サイド」と「一般ユーザー」双方の意見をバランスよく取り入れる事で将来的により良いサービスを提供する事が望ましいと考えられており、実際にGoogleなどの大企業もドッグフードサービスに取り組んでいます。
ビジネスシーンでは他業界でも「顧客満足度が高い製品」はいつまでも継続して販売実績を伸ばす事も珍しくありません。
しかし、実際には制作費用も発生するためマーケティング部門・営業部門・カスタマーサービス部門などの顧客に直接関わる部署の方針によって経営に大きな影響を与える事も多いです。
備考
営業担当が自社製品のドッグフードを食べて品質をアピールしたエピソードが由来とされていたり、自社で製造している「ドックフード」を従業員が試食して製品の状態を分析・改善する取り組みが語源とも言われています。