概要
フェルミのパラドックスは「地球外の知的生命体が存在している可能性の高さ」に対して「人類が未だに認識できていない」事で発生している矛盾の事です。
この矛盾点を解決しようと様々な推論がされていますが未だに解明はされていません。
※エイリアンのミイラやUFOなど報告は多いですがデジタル処理の技術が向上している現代では真偽を断定できるだけの証拠が不足しています。
近年は様々な分野で研究開発が進んできた影響から地球からより遠くを観測するための技術も発達しました。
その一つには電波望遠鏡(電波を収束させて天体を観測する装置の総称)があり、従来使われていた光学式の天体望遠鏡(可視光線を集光し天体を観測する装置)では観測できない波長の電磁波を広く観測する事ができるのが特徴です。
※電波望遠鏡はアンテナ(パラボラアンテナ)や電波を増幅・検出する受信機、データを解析・記録するコンピュータなどから構成され、より遠くの宇宙を観測するために大型の回転放物面のアンテナ(パラボラアンテナ)が付いているのが特徴です。
1982年に日本の長野県南牧村南佐久郡に設置された世界最大級の口径を誇る45メートル電波望遠鏡は「ミリ波」と呼ばれる電波を観測できる電波望遠鏡で電波天文学を牽引してきました。
※近年は他国(アメリカ・オーストラリアなど)でより大きな電波望遠鏡の開発がスタートされています。
このように研究が進み宇宙についての情報が日々解明されていく中でも未だに人類のような「知的生命体を発見できていない」という事実は不可思議であるという認識が深まる一方になっています。
※生きている状態の地球外生命体を発見したり、コンタクトを取れてもおかしくはない文明レベルにはなっているはずですが実際に公の情報として生きている状態のUMA(未確認生物)の存在が実証されていません。
知的生命体が存在する可能性
私たちの存在する地球のような惑星は宇宙には無数に存在し、その数は400億程度だと考えられています。
そして、宇宙はとても広いだけではなくその規模は日々拡大(膨張)しています。
そのため、私たちの認識では大きい地球でも宇宙規模で考えてしまうと凄く小さいです。
名称 | 大きさ | 備考 | 比喩的比較 |
---|---|---|---|
地球 | 直径 約12,742km | 砂粒 約0.01mm | |
太陽 | 直径 約1,392,700km | 地球の約100倍 | 蟻 約1mm |
天の川銀河 | 直径 約105,700光年 | 地球の約100兆倍 | サッカーコート 約100m |
宇宙 | 直径 約30,000,000,000光年 | 滑走路 約3km |
※1光年≒10兆(100,000,000,000,000)km
宇宙の広さを「滑走路程度の広さ」と仮定する場合、そのエリアの中にある「砂粒一つ」で私たちは暮らしている事になります。
※余談ですが計算上は0.1mmの紙を37回折りたためば「地球の直径」を超え、42回なら「月までの距離」を超え、44回なら「太陽の直径」を超え、51回なら「太陽までの距離」を超え、83回程で「銀河系の直径」になり、103回なら「宇宙の直径」を超えます。(「1回折る=2倍」なのでとても離れているのはイメージしやすいと思います。)
これだけ広い空間で知的生命体が存在する条件が揃っているのは地球だけだであると考えるのは直観的に不自然に思います。
そして、知的生命体が存在すると考える理由は宇宙の大きさだけではなく、その歴史から考えても知的生命体が人類の他にいないのは不自然です。
- 宇宙ができて約138億年
- 地球ができて約45億年
- 生命が生まれて約40億年
- 人類が生まれて数百万年
人類が誕生してから数百万年しかたっていません。
その過程では多くの生命が存在したはずです。
そのため、地球と似た環境の天体ならば生命が存在しても不思議はないはずです。
むしろ、地球と似た環境の天体は400億程度存在するためそのいずれにも生命体が存在しない方が不自然です。
他の知的生命体を発見できない理由
宇宙に他の生命がいるのに出会えていない理由がいくつか考えられています。
しかし、これらはいずれも確証はありません。
- 政府の隠蔽
政府によってその存在が隠蔽されている可能性
しかし、宇宙人を発見できるのは国家などの一部である可能性は少なく、宇宙空間を移動し大気圏に入るような機体は大規模なエリアで同時多発的に観測されるはずです。 - 高次元の存在
私たちは5感で周囲の状況を判断していますが、これらの感覚のいずれにも検知されないような高度な技術を持っている可能性があります。
このような存在は私たちのような存在に関心はなく、コミュニケーションを取る気も起きないのかもしれません。 - 動物園仮説
高次元の存在によって、私たちが観察保護され他の生命から隔離されているか可能性があり、それは動物園のような特定のエリアを自由に活動できるような状況なのかもしれません。 - グレートフィルター
人類がどこかの過程で他の生命体には乗り越える事のできなかった大きな壁を乗り越えた可能性があり、その壁を乗り越えられるのは確率が非常に少ない可能性、また、これから先にグレートフィルターが存在し、人類が消滅する可能性。 - 水槽の脳(水槽脳仮説)
私たちは水槽の中にある脳で、電気信号によって全て管理され、その電気信号を管理する容量が決まっているため、他の生命を存在させるだけの技術はない可能性があります。
これらの考察はごく一部で、この他にも多くの考察があります。
まとめ
人類のような知的生命体について考える時に私の感覚的な疑問があります。
昔の人は「集落の外」にも人がいる事を知っていたのでしょうか?
昔の人は「海の外」にも人がいる事を知っていたのでしょうか?
このように考えると「未知の世界」には意思疎通が行える生命体がいても不自然はないように感じます。
つまり、「未だに発見されていない」という事には何かしらの理由があるはずです。
私たちは地球という小規模な限られたエリアから出る事がやっとできるようになったばかりです。
例えるなら、部屋のドアを開けて一歩外に踏み出した状態です。
家を出て海や山までいくとそこから見える景色は全く異なったものとなるはずですしその過程で他の生命体とすれ違う可能性も高いです。
フェルミのパラドックスを解決するだけでの根拠は判明していませんが、現代技術の目覚ましい発展を考えると遠くない未来で技術的特異点(シンギュラリティ)を迎える事で超知能をもつ存在が生まれてフェルミのパラドックスが解明される可能性も高いです。
しかし、私たちのような知的生命体が存在する事ができるのは宇宙規模で考えても奇跡的な事で人類は宇宙規模でも最も優れた知能を持っている可能性もわずかばかりはあります。
そして、現在私たちは文明を滅ぼすことのできる技術を既に手にしています。
仮にこの力が暴走したり、争いによって地球を滅ぼすという選択肢を取るような人が現れ、自滅の道をたどってしまう可能性もありますが、これは避けなくてはいけません。
そのため、現在最も脅威と考えられている人工知能(AI)にも一定のルールを定める必要があると主張する人も多いです。
私たちの暮らす地球ですら、未だにわからない事が多い状況で、更に広い宇宙についての情報が解明されるにはまだまだ時間がかかるのかもしれません。
備考
フェルミのパラドックスは物理学者のエンリコ・フェルミが指摘したものです。