概要
カクテルパーティー効果はパーティー会場のような様々な会話が飛び交う雑踏の中でも「自分の名前」などの重要性が高い話題は自然と耳に入ってくる現象です。
このような現象は周囲から聞こえる音の中から「興味や関心がある内容」や「自分への影響の大きい話題」についての音声を集中的に処理する事で必要な情報の発信源だけに意識を向けるため雑踏の中でも重要な情報を認識できると考えられています。
※選択的注意の中でも音に集中している状態と言われます。
その一方で、多くの場合に「興味や関心がある内容の話題」は多少なりとも関わりのある人の発言である事が多いため「声を聞き分けている」「口癖や内容を予想している」、視認できる場合は「口の動きから内容を予測している」などの様々な否定的な意見もあります。
※読唇術のようなケースの場合は実際の発言と異なった内容だと認識してしまう可能性があるため気を付けなくてはいけません。
具体例
カクテルパーティー効果で自分に必要な情報が優先して認識されますが周囲の雑音を全て認識できるわけではありません。
- イベントなどでは周囲の雑音が多くなりがちですが、友人と話しながら会場を回っても自然と友人の声は耳に入ってきます。
※自分が気になる発言(イベントの情報など)も耳に入ってきやすいです。 - 電車内で複数の人が会話している状況や寝てしまっている状況でも最寄り駅のアナウンスに対してはなかなか聞き逃さないものです。
- 学校や職場などの人の集まるところでは他人の悪口を言っている人の発言は離れていて、なおかつ聞きたくないとしても耳に入ってきたりします。
カクテルパーティー効果は無意識に必要な情報を収集する傾向がありますが、実際には溢れている情報の中に重要な情報がまぎれている可能性もあるため重要な情報を聞き逃してしまう可能性もあるため過信には注意が必要です。
まとめ
カクテルパーティー効果は周囲にあふれる情報から重要だと思う情報を優先して認識する反面、意識を向けていない情報に対しての認識が甘くなってしまいます。
特に近年はスマートフォンや携帯ゲーム機に意識を向けすぎてしまって周囲の音を認識がおろそかになる歩きスマフォなどによる事故が発生しているため世間的にも問題意識が高くなっています。
そのため、周囲の安全確認が必要な場合はしっかりと状況判断できるような姿勢を忘れずに注意を払って行動する事は重要です。
また、ビジネスシーンや政見放送ではキャッチコピーを決めて繰り返し宣伝する事で顧客や民衆が意識を向けやすくなる効果もあります。
普段政治に関心がない人にもオバマ元大統領が選挙演説中に連呼した「チェンジ」は国境を越えて広く周知され、日本の流行語大賞にもノミネートされましたし「イエス・ウィー・キャン」も多くの人が耳にしたと思います。
備考
- カクテルパーティー効果は1953年にイギリスの認知心理学者であるエドワード・コリン・チェリーによって提唱されました。
- カクテルパーティー効果はカラーパス効果(意識している事への認識が強くなる心理)の一種だと思われます。