難平(ナンピン)とは
概要
難平(なんぴん)は投資で行われる売買方法の一種で価格が下落した場合に買い足手法です。
難平の最大のメリットとしては平均習得価格を下げる効果です。
株価の上げ幅が少なくても損失を回避しやすくなるので成功すると利益を獲得する事もできます。
その反面、投資額が多くなるため価格が上昇しなかった際のリスクが増加するため、必ずしも最善策ではないですし場合によっては悪手である事もあるので慎重に考える必要があります。
※ナンピン後に取得価格と同値撤退をする人も多いと思います。
基本的には投資をする際に損失が大きくなる事を想定して出資する事は少ないですが、実際には下落幅が想定よりも大きくなることが予想される場合があります。
価格が下落した場合の行動としては大きく分けて「追加で購入する難平」と「出資を打ち切る損切」の二種類がありあます。
状況に応じてどちらが最適解なのかは異なるため一概には言えませんが「下落が短期的な見通しの場合は買増す方向性」「下落が長期的な見通しの場合は手放す方向性」で運用するのが一般的な選択です。
しかし、多くの人は下落が予想されても「すぐ元の価格に戻る」と考える傾向が強いので損切をためらってしまう事が多いです。
基本的に「上昇する」と思って最初は購入しているため「長期間下落する」事を想定して投資している人は稀です。
その一方で、長期投資の場合は「長期で見た場合に上昇傾向がある」と判断し投資を行っているため、多少の下落は想定の範囲内ですし価格が安い時に購入できればメリットが大きいため難平は効果的と考えられる事が多いです。
※ETFを定期的に積み立てるドルコスト平均法を実践している人はこのような思考傾向が強いです。
これは「投資した分以上のリータンが見込める」という前提の予測があるためですが、実際には資産価値が減少したままになることもあるため注意が必要です。
具体例
価格変動がある株を例にあげます。
※計算しやす数字を使わせていただいています。
- 1回目 1000円で1株購入
(保有株数1、投資額1000円、平均取得額1000円) - その後株価が下がり、800円になったとします。
(1000円から20%減) - 2回目 800円で1株追加で購入
(保有株数2、投資額1800円、平均取得額900円) - 株価が900円まで回復(約13%増)すれば損失はありません。
株価が1000円まで回復すれば200円の利益です。 - 更に下落し600円になったとします。
(1000円から40%減) - 3回目 600円で1株追加で購入
(保有株数3、投資額2400円、平均取得額800円)
株価が800円(33%増)まで回復すれば損失はありません。
株価が1000円まで回復すれば600円の利益です。 - ここから下落し、400円になったとします。
(1000円から60%減) - 4回目 400円で1株追加で購入
(保有株数4、投資額2800円、平均取得額700円) - 株価が700円(75%増)まで回復すれば損失はありません。
株価が1000円まで回復すれば1200円の利益です。
購入金額が200円下がるのに対して、平均取得価格は100円しかさがりません。
このようにナンピンを続けると投資額が膨らみリスクが上昇していく一方で、平均取得単価は下がりにくくなってしまうため深く考えずに投資をするのはとても危険です。
まとめ
平均取得価格を下げるには下落時に保有数を増加させなくてはいけません。
保有数が増加すると掛け金も増加するため難平は基本的にリスクも増加する投資方法のため、事前に「2回までにする」や「少額の取引でしか行わない」などのルールを定めておく人もいます。
しかし、その反面リターンも大きくなり、保有数が倍になれば同額の利益を得るための上昇率は半分で済みますが、上記4回目の例の様に75%戻る事は難しいと思います。
もちろん成功する事もありますが、損失額が増加して終わってしまう可能性も高くなっていきます。
また、難平は回数が増えるほど効果が少なくなるため難平ではなく、どこかの段階で損切も検討する事が必要になります。
投資初心者の段階で一度は「倍プッシュ(掛け金と同額を再投資していく)していけば最強なのでは」と思う事もあると思いますが、実際に行うためには多額の資金がなくてはできません。
仮に実行しようとしてもいつかは手持ちの資金が尽きて信用取引(証拠金があれば実際の保有金額よりも多くの資産を運用できます)をする事になると思いますが、失敗すると借金を背負ってしまうためタイミングやトレンドを見極める事は大切です。
※ナンピンで信用取引に手を出すのは禁止手のようなものなので推奨できません。
特にFX(外国為替証拠金取引)のようにレバレッジが大きい場合は通常の現物取引よりも大きな危険性を背負っている事を忘れてはいけません。
リスクマネジメントを常に意識して状況に応じた投資を行う事が将来の資産を守るためには重要です。
備考
難平は難(損)を平(平均化)にする方法のため「何品」は誤用です。