育児休業制度について
概要
育児休業制度は子育てを支援するための制度です。
少子高齢化問題を改善するためには子育てを行う環境の整備はとても重要なため、育児休業制度は度々改正されていてその都度、労働環境の改善についての拡充が取り組まれています。
しかし、育児休業制度は会社の経営状況に直結する可能性も重要な要因でもあるため、仕事とプライベートのバランスをどのように改善していくのが難しい課題となっています。
特に中小企業では一人一人がそれぞれ異なった業務を担当している事も多いため、長期間休業する事は会社や同僚にとって大きな負担となります。
育児休業取得の難しさ
少子高齢化が進み、今まで多くの人数がいた団塊の世代が現役から退き働き手が減少傾向になりました。
その影響もあり「1億総活躍社会」などの働き手の確保が重要になってきました。
しかし、核家族化の影響もあり仕事と育児の両立は以前よりも難しくなっているようで、育児をするために会社を辞めてしまう社員は多いようです。
特に妊娠・出産を機に退職してしまう女性が多いのが現状です。
退職してしまう具体的な理由として
- 気力・体力的に大変
- 勤務先に支援する雰囲気がない
- 勤務先に制度があるものの利用できない雰囲気があった
- 夜間の勤務時間帯があった
- 配偶者・パートナーの協力がえられなかった
などの理由が多いようです。
育児休業制度を利用するには一定の条件があり、給付金の額や受け取れる期間にも決まりがあります。
今では一般的な認識となっていますが、育児休業は男女共に利用できる制度です。
しかし、女性従業員が利用しにくい会社も多いようです。
また、男性従業員の普及率は上昇傾向ではあるものの依然として低水準のままとなっています。
育児休業制度は国の制度のため、会社への金銭的な負担はありませんが、従業員が休業している期間中は他の社員の負担が増えたり、変わりの従業員を雇い入れたりするなどの対応が必要となるため、通常の業務とは異なる部分がでてきてしまいます。
そのため、育児休業によって長期間従業員が減る影響は大きいです。
特に中小企業では従業員の総数が少ないので一人当たりの負担が大きくなってしまうため、育児休業の利用率が伸び悩んでしまう要因となっています。
育児休業制度を利用するための条件
育児休業を申請するためには一定の条件を満たす必要があります。
- 雇用保険に加入している人
- 育児休業開始前の2年間で11日以上勤務している月が12か月以上ある人
- 子供が1歳半になるまでに退職する予定がない事
育児休業制度を利用できる期間
育児休業制度は利用できる期間に上限があります。
基本的には育児休業制度は1年間利用できます。
しかし、条件を満たす事で延長して最長で2年間まで利用する事が可能です。
延長する場合は1年経過後に6カ月間延長す、1年半経過後に6カ月間再延長することで合計2年となります。
また、パパママ育休プラスを利用する事で産後1年2か月まで育児休業制度を延長する事ができます。
パパママ育休プラスは両親共に育児休暇を利用する事が条件のため、産後に育児休業制度を利用せずに年次有給休暇で済ませてしまわずに、育児休業制度を利用することでパパママ育休プラスの条件に該当するようになります。
また、男性は2回に分けて育児休暇を取得する事ができます。
2回育児休暇を取得するためには女性の産休中に1回目の育休を終えている事が条件です。
育児休業給付金について
育児休業給付金は就業していた時の収入の全額を給付してもらえるわけではありません。
育児休業給付金でもらえる上限
- 産後~6カ月(開始から180日間):給料の67%(304,314円)
- 6カ月~1年(181日~):給料の50%(227,100円)
このような条件のため、育休前の手取り額の8割を給付金としてもらえる人もいるようです。
女性は産後休暇(出生~8週間)があるため、産後すぐに育児休業を利用する事はできません。
また、男女共に半年ずつ育児休業を取る事で67%支給を1年間にすることもできます。
まとめ
育児休業を利用すると所得が減少し、社会保険料が免除されます。
所得が減少した変わりに育児休業給付金をもらう事ができます。
育児休業給付金は収入には該当しないため所得税は減少し、その影響で住民税などの税金も減少します。
つまり、育児休業中の年収は減りますが、高所得者でない限り生活に大きな支障はでないように考えられた制度となっています。
また、自営業(国民年金第1号)の人は出産の前月~4か月間の国民年金保険料が免除されます。
このように育児休業制度を利用する事で安心して子育てを行う事ができるようにと考えられた制度ですが、利用には課題が多いです。
例えば育児休業制度を利用した人に不利益となるような対応は禁止されていますが、実際には不利益となる事が多いようです。
そのため、改善傾向はみられるものの、男性の育児休業取得率はまだまだ低水準なようです。
少子高齢化の社会では働き手をどのように確保するのかの課題が山積しているのかもしれません。
備考
育児休業制度の他にも出産手当金や、出産育児一時金などの制度もあります。