承認欲求とは
概要
承認欲求は「自分の価値を他者から認めてもらいたい」という心理的な願望です。
承認欲求は文化や風土などの環境によって現れ方が変化しますが、日本人の傾向としては「周囲の人から認められたい」「期待を裏切れない」という一種の脅迫観念を抱いてしまう人も多いです。
このような感覚はパワハラ(パワーハラスメント)や虐めの被害者になってしまう原因となる事も多く、このような状況を放置すると不登校・過労死・企業不祥事などの社会問題が発生してしまう可能性もあります。
また、近年はインターネットが発達してSNS(ソーシャルネットワークサービス)を使う人が増えたため、承認欲求を満たすために過激な画像や動画の投稿も増え、実際に多くの事件が発生し損害賠償請求や実刑が下されています。
承認欲求の種類
承認欲求は「尊敬・自尊の欲求」とも呼ばれていて、大きくは「自己承認」「他者承認」の2種類に分類され、後者の「他者承認」は更に「上位承認」「対等承認」「下位承認」に細分化されます。
- 自己承認(自分の理想と比べて自分を認めたい心理)
自分の中の理想像が存在し、その理想と自分を比べた時に自分が劣らないようにする心理状態です。
自己完結するため日常的に話題となる承認欲求とは少し離れた意味合いとなります。 - 他者承認(他者から認めてもらいたい心理)
- 上位承認(他者よりも優位な立場であると思いたい心理)
- 他者よりも上に立ちたい、支配したいという感情が強いため自己評価が高く、自己中心的な態度を取りがちなナルシスト(自己愛性パーソナリティ障害)に多いです。
- 自分の非を認めない傾向が強いのが特徴で、どんな手段(借金や人を騙す事があります)を使ってもステータスに固執する人もいます。
- SNSでの評価を気にするの人が多いのがこのタイプです
- ステータス意識が強く他者よりも優れている事を証明したいと考えている事が多いです。
- ※金銭ステータス(マネーステータス)が高い場合は特に注が必要で、ブランド品などを多く取り入れるなどの高級志向が強いため買い物依存症になってしまう人も多く、破産してしまう可能性も高いです。
- 対等承認(他者と同じでありたいと思う心理)
- 他者との関係を平等にしたいのが特徴です。
- 過大評価も過小評価もされず、等身大に認識される事を望んでいます。
- 他者が特別扱いされている事に対しての不満を持ちやすいです。
- 下位承認(他者よりも劣勢でありたい心理)
- 他人からの低評価を求めるのが特徴です。
- これは責任を取りたくない事の表れで、評価が低ければ責任ある事を任されないという心理が働いています。
・往々にして賢い人が多く、上手に立ち回る傾向が強いです。
・他者を都合よく動かそうとするタイプもいるため注意が必要です。
- 上位承認(他者よりも優位な立場であると思いたい心理)
承認欲求は多くの人が持つ基本的な欲求ですが、その強弱には個人差があり生活に与える影響が大きい人もいます。
承認欲求が強い人の特徴
承認欲求が強い人はモチベーションが高い人が多く、努力して自分の能力を向上させ「周囲よりも優れている」と主張しようとする気持ちが溢れています。
しかし、そのような事が実際にできる人は極わずかで、承認欲求を満たすための行動が必ずしもプラスに働くとは限りません。
具体的な流れとしては
- 仕事がとてもできる承認欲求が強いAさんがいるとします。
- Aさんはは褒められるのが大好きで、成果をあげると評価も上がり出世にも影響するので積極的に行動します。
- 実際には部下の手柄を横取りしたり、悪い評価が付く可能性のある事は部下のせいにする事もあります。
- 他者に嘘をついてでも自分の地位や名誉を護ろうとします。
このような人は組織ではとても多く、生産性を下げる大きな原因となってしましますが、このような人が増えてしまうのは自分の能力に限界が見えてしまうためです。
自分が必死に頑張っているとしても、同様に周囲の人も必死に頑張っています。
そのため、評価されるためには周囲の人が1歩進む間に2歩進まなくてはなりません。
そして、次第に努力では補いきれない才能や、過去に積み上げてきた実績の壁にぶつかります。
意識的・無意識なのかは人によりますが「能力以上の成果を出したいが努力ではどうにもならない」状況になった人が自己防衛のために身を護る手段は他者を騙すか他者を蹴落とすしかなくなってしまいます。
※挑戦しなければ失敗もしないため、極端に挑戦を嫌う人も多いです。
このような行動をしてしまうと次第に人が離れていき、人間関係が円滑にいかなくなっていってしまいます。
まとめ
承認欲求は自分が価値のある存在だと思いたい欲求で自分に自信のない事の表れです。
そのため、育つ過程で愛情が希薄だったり過度な場合は承認欲求が強くでたり、反対に欲求が薄くなる事があります。
つまり、幼少期の家庭環境に問題がある場合は偏った欲求となりやすいです。
他者欲求は基準が他者であるため自身が犠牲になりやすく、承認欲求が満たされるために多くの犠牲を払う事もあります。
また、家庭環境に問題がある場合は能力が正当に評価されないことが多いため、他者欲求が満たされる事が少ない事が原因で自己判断する機会が多くなり自己欲求タイプになりやすいです。
自己欲求タイプは自己実現欲求を求める傾向があるため、他者に依存せずに成長していく人が多いです。
備考
承認欲求は尊敬・自尊の欲求ともいいます。
アメリカの心理学者アブラハム・マズローの提唱した欲求の階層説でも登場します。