割れ窓理論(ブロークン・ウィンドウ理論)とは
概要
割れ窓理論は始めの些細な犯罪が後に大きな犯罪へと繋がる実例から考えられた理論です。
最初に起こる軽微な犯罪に対してなにもアクションを起こさない場合、その事実を知った悪人の行動は次第にエスカレートしてやがて大きな犯罪が発生してしまうと考えられています。
この現象はバタフライ効果に似ていて、最初の些細な切っ掛けが後の大きな犯罪への布石となってしまうモデルケースです。
そのため、軽微な犯罪でも徹底的に取り締まる事が凶悪犯罪を含めた犯罪の抑止になると考えられています。
割れ窓理論は流れを考えるとイメージしやすいと思います。
- 割れた窓を放置すると管理されていない事が周知されます。
- 次第に割れる窓が増えたり、ゴミが捨てられるようになります。
- 管理されていないため不法投棄されたゴミは蓄積されていきます。
- ゴミが増えると不衛生になるため人が近寄らなくなります。
- 人が近寄らないと軽犯罪の犯行場所となりやすくなります。
- 軽犯罪が増加すると付近の治安が悪くなります。
- 治安が悪いと人が更に寄り付かなくなります。
- 人が寄り付かないエリアが広まっていくと犯罪の件数が増加します。
- 犯罪が増えると大きな犯罪も起きるようになります。
上記のように最初は小さなきっかけから始まり、それを放置するとやがて凶悪犯罪につながる可能性が高いです。
つまり、軽微な犯罪を取り締まる事で治安がいい環境になると提唱されています。
具体例
海外では割れ窓理論の成果も出ていて取り入れて実績がついている自治体もあ、実際に軽微な犯罪を取り締まった事で凶悪犯罪の減少が確認されています。
- 軽犯罪
ポイ捨て、落書き、無賃乗車、万引き、騒音、違法駐車など - 重犯罪
放火、住居侵入、詐欺、強盗、誘拐、強姦、暴行、殺人など
上記のような軽犯罪でも積極的に取り締まりを行っていくと公衆衛生も良くなりましたし、重罪の発生件数も減少した事は確認されています。
※壁の落書きやゴミのポイ捨てなどがなくなると衛星環境が改善されていきます。
基本的には軽犯罪でも警察による取り締まりがメインであるため、警官などの巡回が増加するので悪い事を企てようとする人に対しては強い抑止力となり犯罪件数が減少するようです。
※警官を良く目にするエリアで積極的に犯罪を行うような悪人は少ないです。
このように、些細な犯罪でも積極的に取り締まる事には多くのメリットが重なるため、住み良い街となって住民が増加した町もあります。
まとめ
人は匿名性が高く責任が少ないほど大胆な行動を取る傾向があります。
※インターネット環境などで匿名性が高い環境で罵詈雑言を目にしたことがある人は多いと思います。
反対に、責任が明確化されてしまう環境(整備されていて物が壊れたり汚れたりするとすぐに発見されるような環境)では堅実な態度を取ることが多くなります。
これを治安で考えると、治安が良い(犯罪が少ない安全)環境では軽微な犯罪でも周囲の問題意識は大きくなるため社会的な問題意識が強くなりますが、治安が悪い環境では問題意識を持つ人が少なくなってしまい住民のモラルが低下してしまいます。
このように、人は周囲の環境から受ける影響が大きくなりやすい傾向があります。
そのため、メディアなどの注目度が高い事件の場合、警察は「犯罪に対しては強い姿勢で対応する」という姿勢を見せるために過剰な人員を導入して対応に当たるなどのパフォーマンス的な要素を含む行動が見受けられますし、裁判所でも一般的な凡例よりも重い判決になる事もあります。
これは「一罰百戒」ともいわれ、俗に言う見せしめの意味も含んでいると思います。
備考
割れ窓理論は心理学者のジュージ・ケリングが提唱しました。
破れ窓理論、ブロークウインドーズ理論・ブロークン・ウィンドウ理論などと呼ばれることもあります。