フレーミング効果とは
概要
フレーミング効果は同じ事を意味する内容(情報)でも表現方法や重要視するポイントが異なる事で受け取り方に影響する心理です。
情報の発信源が全く同じ内容・表現で情報を発信し続けたとしてても、受け手によって解釈は異なります。
しかし、多くの人は受け手側の理解度を予測し、情報が伝わりやすいように臨機応変に対応を変えていきます。
例えば
具体例を出して想像しやすいように工夫したり、表現方法(言語のみではなくしぐさや絵や物を使って表現する事もあります)を変えて正しく伝えようと努力します。
そのため、同じ内容を伝達したいのに受け手の感じる印象や理解が異なってしまう傾向があります。
これは受け手側がどの部分に重点を置くかが異なるためです。
特に、ドクターフォックス効果(Dr.Fox effect)でも知られるように、人は言語による情報よりも非言語メッセージに重点を置く傾向があるため話の内容は二の次になってしまう傾向があります。
また、フーレミング効果には絶対評価と相対評価のような評価方法の違いや、人生経験の違いや知識・環境などの影響を受けて評価基準が異なる(アンカリング効果 )など、それぞれの状況によって受け手が受ける印象が変化する多くの要因があります。
具体例
新種の病気に感染してしまった恋人が助かる方法は新薬を与えるしかなく、その薬を与える事が出来なければ余命はわずかです。
しかし、薬は開発されたばかりで希少なため、開発費用の10倍で販売されているためとても高価な価格で取引されています。
薬の効果は保障されているのですが、恋人を助けるためには借金をしても必要資金の半分しか集める事ができず、購入する事はできません。
そこで薬の所有者に値引きや、代金の後払いなどの交渉をしましたが交渉は決裂してしまいました。
解決策としてAとBの選択肢があります。
- A. 恋人の命はなによりも大切
命より優先するものはないので所有者から薬を盗む。 - B. 自分は悪くない、社会のせい
恋人には申し訳ないが借金しても購入できないほど高価な価格にする販売先にも問題があるので命が助からなくても仕方ない。
どちらの選択肢が正しいでしょうか?
研究費の10倍の値段で販売されているため販売価格の半分を準備できれば薬の所有者には研究費以上の利益があるはずです。
そのため、Aを選択する人が多かったのではないかと思います。
これは購入する側の認識が強いです。
続いて視点を販売側に移して考えてみます。
- C. 命よりも優先するものはない
買えないなら薬を盗まれてもしょうがない。
- D. 正当な報酬を望む
研究開発しても正当な利益が保証されない場合は今後研究する者は表れなくなってしまいより多くの命が失われる事になるため、資金を準備できないのならばあきらめてもらうしかない。
※研究開発では失敗が多いため、他の費用を補填するための利益が出なければ研究を継続する事はできません。
こちらの場合はCとDではどちらが正しいと感じますか?
先ほどのAとBの質問よりも、CとDについての検討の方が思考時間が長くなった人が多いと思います。
しかし、AとCの選択肢とBとDの選択肢はどちらも内容は同じで、どちらの側からの意見を聞いたかの違いでしかありません。
この現象がフレーミング効果にあたり、内容は同じですがそこに至るまでの表現が異なる事で与える印象が異なります。
この具体例はどちらかを選択すると、どちらかで問題が発生する(ハインツのジレンマと言われるモラルジレンマ)問題を参考にしているため、考えれば考えるほど結論は難しいと思います。
まとめ
物事を判断する際にはどこからの視点で、どこを基準とするかで考え方は大きく異なります。
そのため、無知のベール(無知のヴェール)で知られるように、冷静かつ客観的に判断するためには情報を整理する事が重要です。
しかし、人類は生き物の中では自制心が発達しているため文明が発展してきましたが、生存者バイアスによって生き残った者の性質には偏りがあります。
具体的には
損失回避性(損失回避の法則)が働きやすいため危険やリスクに対する認識は過剰になってしまう傾向が強いです。
そのため、リスクを主張する保守的な意見の方が多くの人が共感しやすいですし、リスクよりもメリットに着目する方が判断が早い傾向があります。
具体的には
病人に「99%は助かる薬」として薬を勧めるのと「1%は死ぬ薬」として薬を勧めるのでは印象が大きくことなります。
※基本的には前者の方が薬を積極的に飲む傾向がありますが、表現方法が異なるだけでどちらも同じ薬です。
このように、人の感情はちょっとした言い回しや表現方法の違いで大きく印象が変化してしまうため真実を見極める事は難しい傾向があります。
真実を見極めるにはフーレミング効果に左右されないように、多面的に物事を分析し偏った視点で認識しないように分析する必要があります。