フレンドシップパラドックスについて
概要
フレンドシップパラドックスは「あなたの友達はあなたよりも友達が多い」と多くの人が思っているというパラドックスです。
多くの人は「自分の友達の人数より、友達の方が友人が多い」と思っています。
直感的には「友達の方が友達が多い」と思っている人と「友達よりも友達が多い」と思っている人の人数は同じくらいいると思う人が多いです。
しかし、現実的には「自分の友達の人数よりも、友達の友達の人数は多い」という傾向は数学的には正しいです。
多くの人は友達が少ないと感じています
友達と話をしていると自分よりも友達の数が多く感じる事はありませんか?
特に小・中学校、高校、大学などの学校生活や、社会人になり会社で働いたりする時には集団生活を行っていますが、このような時に体感する事が多いと思います。
友達が少ない事を意識してしまうと「友達が多い方が幸せ」「友達が少ないと不幸」そんな事を思う人もいるかもしれませんし、単純に「寂しい」という気持ちが出てくる人も多いと思います。
そんな気持ちが続くと、次第に友達が少ないことについていろいろと悩んでしまい「友達が少ないのには自分に原因があるかもしれない」「もしかしたら嫌われているのかもしれない」「そもそも友達ってどこからなんだろう」など、深く考えてしまうと悩みは尽きなくなってしまいます。
しかし、その悩みの多くはフレンドシップパラドックスが招いている可能性があります。
フレンドスップパラドックスの不思議
実際には「友達の方が友達の人数が多い」というのは事実でこれには直感に反する数学的なトリックが隠されています。
基本的にはしっかりと計算すると「自分の友達の数」よりも「友達の友達の数」ほうが多くなります。
これは友達の数の中には重複して数えられている人がいるためにおきる現象で、数学的な裏付けがあるため、実際にの計算をご覧ください。
具体例
計算しやすいように全部でA~Eさんの5人がいるとします。
- Aさん
友人が2人(B、C) - Bさん
友人が3人(A、C、D) - Cさん
友人が4人(A、B、D、E) - Dさん
友人が3人(B、C、E) - Eさん
友人が2人(C、D)
A~Eさんの友人の平均数は2.8人(2+3+4+3+2/5)人です。
B・C・Dさんは平均以上の友人の人数です。
A・Eさんは平均以下の友人の人数です。
ここからが本題で、視点を個人に変えます。
- Aさん
友人は2人
友人の友人の平均は3.5人
(B=3、C=4、3+4=7、7/2=3.5) - Bさん
友人は3人、友人の友人の平均は3.0人
(A=2、C=4、D=3、2+4+3=9、9/3=3) - Cさん
友人は4人、友人の友人の平均は2.5人
(A=2、B=3、D=3、E=2、2+3+3+2=10、10/4=2.5) - Dさん
友人は3人、友人の友人の平均は3.0人
(B=3、C=4、E=2、3+4+2=9、9/3=3) - Eさん
友人は2人、友人の友人の平均は3.5人
(C=4、D=3、4+3=7、7/2=3.5)
最初の交友関係から計算した友人数の平均は2.8人で、それよりも友人が多いのは3名で少ないのは2名でした。
しかし、二回目に計算した個人の視点からでは自分より友人の友人が多いのは2名、同数2名、少ないのが1名で、自分の友人の数よりも友人の友人が少ないのはCさん1人だけになっています。
5人での結果になりましたが、分母が増えれば重複して数えられる方も増加し、「あなたの友達はあなたよりも友達が多い」という人も増加します。
お時間のある方は人数を増やして計算していただければ幸いです。
まとめ
思い込みによって誤解している事は日常的にも多くあり、そのような実際の理論と直感的な認識の相違によって間違った分析をしてしまう事も多いです。
そのため、このようなセレクションバイアスが働く事で起こる錯覚には注意が必要です。
特に大きな意思決定をする時には直感的な数字と実際の数字が異なると大きなトラブルになる事も多いので気を付けてください。
このようなバイアスによる錯覚は多く存在していますし、様々な認識のずれを用いたパラドックスも多いので正しい分析をして騙されないように注意してください。