フェルミ推定(フェルミの問題)とは
概要
フェルミ推定とは実際に測定する事が難しい数字の概算を求める際に使われる手法です。
推定したい情報に関連の強い情報を手がかりとして論理的に関係性を紐解いていく事で概算を求めていきます。
※仮定の条件や実際に解明されている前提条件などの参考になる情報を元に論理的に分析していきます。
フェルミ推定で求めた答えは概算(正確な数字ではない)であるため解決しない問題も多く存在しますが、答えのわからない問いに対しての一つの解決方法として重宝されています。
基本的に、想定する事が難しい具体的な数字はビジネスなどでは重要な指標となる事とも多く、経営方針を検討する際や採用面接(ケース面接と呼ばれる事があります)などでも実施されています。
※採用基準は結果を導き出した過程となることが多いため、計算された数字は重要でないことが多いですが、知識の量(教養のレベル)も判断できる試験となっているので対策も難しいと思います。
しかし、フェルミ推定の特性上予備知識や論理的思考(ロジカルシンキング)に一定の能力が必要になりますし、一般教養が大幅に少ない場合は理論に穴ができてしまい本当の答えとは大きく異なった解を導いて問題が起きてしまう可能性もあるため注意が必要です。
フェルミ推定の具体例
飲食店のお昼時に発生する純利を求めたい場合
仮説として
- 注文から完食まで15分(座席にいる時間)
- お昼時を2時間(混んでいる時間帯)
- 座席数が50席(店内を見渡します)
- 平均販売価格を1,000円(使用金額)
- 利益率を10%
と仮定して計算します。
2時間÷15分=8回転
50席×8回転×1,000円×10%=40,000円
このように概算の金額を求める事ができますし、実際の状況を正確に把握する事ができればより近似値を代入する事ができるためより実情に近い値がでます。
飲食店の場合は実際に確認できる条件が多いので概算がつかみやすいと思います。
- 座席数・従業員数は目で見て確認できます。
- メニューを見て1人当たりの単価の概算は予想できます。
- 自分で注文した商品がどのくらいの時間で調理が終わるのかがわかります。
- ある程度の回数いく事ができれば混雑状況・時間帯なども把握できます。
ここまでわかれば、水道光熱費・店舗費用・商品の原価率などの実際に確認する事ができない数字を同様の営業形態を行っている所から数字を拾ってくれば近い数字が導けると思います。
まとめ
フェルミ推定は「わからない数字」を「わかっている数字」から予測する方法です。
そのため、フェルミ推定を行うには予備知識や論理的に正しいと思えるような過程が重要です。
正しい推論ができれば予想の精度はあがり実際の数字に近くなります。
特にプレゼンなどではどのような過程からその数字が出たのかは重要で、信ぴょう性に大きな影響を与えます。
また、フェルミ推定の特性上、計算が複雑になるほどバタフライ効果(バタフライエフェクト)のように、小さな誤差が次第に大きくなっていく点には注意が必要です。
特に交渉の際は過程に一つでもおかしな点がある場合は全体の信頼度が低下してしまうので気を付けてください。
ちなみに、プレゼンは内容も大切ですが、ドクターフォックス効果(Dr.Fox effect)のように一般人へのプレゼンの場合は雰囲気がより大切だという実験結果もあります。
※専門家の場合は内容が重視されると思います。
そのため、フェルミ推定を使って他者を納得させる(交渉など)場合は正しい情報をインプットしてあるのはもちろんですし、それをわかりやすく具体的に正しい論理でアウトプットする必要があります。
海外では学校教育の一環として科学的な思考能力を養成するために学ぶ事もあります。
備考
ノーベル物理学賞を受賞したエンリコ・フェルミから由来されています。