パーソナルスペース(対人距離)とは
概要
パーソナルスペースは自分と他者の物理的な距離感です。
基本的に人は感覚的踏み入られたくない空間があるため「人と人の間に一定の距離以上を保っていなければ不快になる」傾向があります。
そして、この距離感は相手をどこまで信用しているかで大きく異なります。
一般的には親密度が高ければ距離は近く、親密度が低ければ距離は遠くなります。
そして、自分が確保したい距離以上に踏み込まれてしまうと不快感が強くなり大きなストレスを受けるため、強い嫌悪感を感じるので繰り返しパーソナルスペースに踏み入られると嫌いになる事も多いです。
そのため、互いの距離感を知る事はコミュニケーションを取るために欠かせない要素です。
しかし、「避けられた」のかたまたまそういう風になったのかを見極める事は重要で、嫌われていると過度に錯覚してしまうと精神的にあまり良いとは言えません。
具体的な距離感
一般的に感じる不快感と距離の関係は下の表のようになっています。
俗名 | 距離感 | 親密度 | 関係性 |
---|---|---|---|
密接距離 | 約45cm以内 | とても高い | 親族や恋人など |
個人距離 | 約45cm~1.2m | 高い | 友人や同僚など |
社会距離 | 約1.2m~3.5m | 普通 | 上司や商談相手など |
公衆距離 | 約3.5m以上 | 低い | 他人 |
表の距離感は一般的に広まっています。
- 密接距離(約45cm以内)
- 手が届く範囲で十分なスキンシップができる距離
- 信頼関係が構築されている関係でなければ立ち入れない範囲
- 個人距離(約45cm~1.2m)
- お互いの表情が十分に読み取れて手が伸ばせば届く距離
- 親しい関係が構築されていなければ立ち入れない範囲
- 社会距離(約1.2m~3.5m)
- お互いの表情は確認できるが手が届かない距離
- ビジネスなどの取引の場で保たれる事が多い範囲
- 公衆距離(約3.5m以上)
- 表情をおぼろげに確認できる距離
- 見ず知らずの人でも不安を感じにくい範囲
このような距離感が一つの目安となっていますが、個人差があるためパーソナルスペースの保ちたい距離感は個々で異なります。
※夫婦でも密接な距離に抵抗を感じる人も少なからずいますし、初対面でも密接な距離に抵抗を感じない人もいます。
また、恋愛感情・友人関係・安心感など、距離が近い理由も様々ですし、正面の距離と左右や後ろの距離が一定とは限らないので苦手手な方向(後ろにいられるのが苦手など)も考慮する必要がありますし、満員電車で通勤している人などは普段から密接している距離感が近いため、普段から距離を保った生活をしている人よりもパーソナルスペースも狭くなるかもしれません。
パーソナルスペースは感覚的な影響が多きいため個人で感じ方が異なり、特に理由もないのに「気持ち悪い」と感じるような人に対しては無意識に嫌悪感を感じているため、本能的に避けようとしているので注意が必要です。
特に、押しに弱い女性などは、押されて付き合ったり結婚したりという事になっても最初に感じた違和感が意外と当たっている事もあるので気を付けてください。
※反対に一目ぼれなどは実際に深層心理で相性がいい人を判断しているため、実際にパートナーとして共に時間を過ごすととても良好な関係になる事が多いと考えられています。
パーソナルスペースの範囲について
パーソナルスペースは広い人と狭い人がいますが、この要因として文化・性別・年齢・地位・場面なども影響していると考えられています。
具体例の一部として
- 文化や国民性による違い
- 42カ国を対象に行った調査ではパーソナルスペースの広さには約二倍の差がある事が判明していて、スキンシップを良くとる文化がある国はパーソナルスペースが狭い傾向がある事が確認されています。
- 42カ国を対象に行った調査ではパーソナルスペースの広さには約二倍の差がある事が判明していて、スキンシップを良くとる文化がある国はパーソナルスペースが狭い傾向がある事が確認されています。
- 性別による違い
- 一般的に女性は相手の信頼度に距離感を合わせる傾向があるため、男性の方が他者との距離感を取りたいと思っている傾向があると考えられています。
- 年齢による違い
- 一般的に年齢が低いほどパーソナススペースは狭くなり、基本的に子供は警戒心が薄い事が影響していると考えられています。
- パーソナルスペースを意識しはじめるのは12歳頃からと言われる一方、40歳頃からの意識が薄くなっていくと考えられています。
このように、様々な要因が複合的に絡み合って不快にならない距離感を個々で定めているため、適切な距離が〇cmと断定する事はできません。
ちなみに、女子大生の隣に知らない人が座る実験では、30分以内に70%の女子大生が席を立つという結果になったようです。
日本で日常的に目にする光景として、初対面の人が過度に距離を詰めようとすると離れようとする人は多いですし、物理的な壁としてバックなどの荷物を置く人も多いです。
パーソナルスペースが広い(距離を取りたい)人の特徴
パーソナルスペースは動物で例える所の縄張り意識のようなもので、自分の領域に踏み込まれて侵害されると強い敵意を感じるため拒絶反応・警戒心・威嚇行動などが表情に現れる人も多いです。
そして、これらは人間の防衛本能から来ているためパーソナルスペースが広い人の特性には一定の方向性があります。
具体的には
- 1人でいるのが好き
- 集団行動が苦手
- マイペース
- 几帳面
- 断るのが苦手
- 自尊心が低い
このように、パーソナルスペースが広い人は他者と関わりたくなかったり、警戒心が強かったりする人が多いです。
そして、この心理によって看護・介護やマッサージなどの心身に接触する職業の人が仕事の一環として体に触れているのに、相手が思い違いをして「好意がある」などの誤解を持つ事も多く、接客業では事件にも発展する事も多いため注意が必要です。
反対に誤解させたいならば不信感のない理由をつけて積極的にスキンシップを取るのもテクニックの一つで、共同作業を行い接点を増やすなどの方法は効果があると思います。
他にもテーブルなどで座る位置・場所・距離などに気を付ける事で無意識下に与える影響は異なります。
基本的には正面が最も警戒心が高くなりやすいと言われています。
反対に、普段からバックやカバンなどの荷物を持っている側と反対側の隣の席に座る方が警戒心が緩いと考えられています。
※つま先が自分を向いていれば高確率で意識を向けてもらえていますし、反対に話しているのにつま先がそっぽを向いているなら話を切り上げたほうが良いかもしれません。
また、几帳面な人は物を移動させられたりすると敏感に察知するなど、置き場所や置き方に強いこだわりがある事も多いため、適切な距離感を保つためには「勝手に物に触れる」などの軽率な行動は慎んだ方が無難だといえます。
まとめ
日本人は海外と比較しても世界的にパーソナルスペースが狭いと考えられています。
この原因として日本人は海外よりも集団で行動する機会が多いからだと考えられています。
そのため、日本人よりもパーソナルスペースが広い国の人は多いため海外の人と対面する時には距離感に気を付ける必要があります。
また、お互いの想定している関係性がどのようなものであるのかで、意味合いが異なってくる点には注意が必要で、異性としての親密度と友人としての親密度は異なります。
お互いの距離が短くなり相手が距離を詰めてきたら親密度が上がっている証拠ですが、こちらが異性として好感を持っていても、相手はそう思っていない可能性もあります。
パーソナルスペースは体の距離ですが、実際には信頼度に影響された心の距離の指標でもあるため、意思疎通を行ってお互いの保ちたい距離や意味合いに気を付けて良好な関係を構築する事が望ましいです。