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サンクトペテルブルクのパラドックス(サンクトペテルブルクの賭け/サンクトペテルブルクの問題)

投稿日:2022年9月18日 更新日:

サンクトペテルブルクのパラドックス(サンクトペテルブルクの賭け/サンクトペテルブルクの問題)とは

概要

サンクトペテルブルクのパラドックスは極めて少ない確率で大きな利益が得られる場合、期待値が期待値としての役割を果たせないというパラドックスです。
※サンクトペテルブルクの賭け、サンクトペテルブルクの問題などとも呼ばれます。

つまり、宝くじのようにとても少ない確率で大きな利益が発生するような場合、単純な確率によって求めらる理論的な数字によって他の確率同様の検討をしてしまうと非現実的な確率になってしまうという理論です。

このような問題が起きるのは基本的に大きな数字を使って確率を計算する時です。

具体例

コインの裏表によって賞金が貰えるゲームでサンクトペテルブルクのパラドックスが起きるような条件をいくつか定義します。

  • 参加費がかかります。
  • コインを表が出るまで投げ続けて表が出た時に賞金が貰えるとします。
  • 賞金は表が初めて出た時に支払われます。
    ※1回目は1円で2回目以降は倍にしていきます。
    • 1回目は裏が出て2回目に表が出たら倍の2円
    • 2回目まで裏が出ていて3回目に初めて表が出たらそのまた倍の4円
    • 3回目まで裏が出ていて4回目に初めて表が出たらそのまた倍の8円

このように賞金が倍々で増える賭けの場合、最初が1円から始まっている事もあり大きな利益を得らるとは思えない人が多いはずです。

しかし、このゲームには参加費がかかるため、この賭けに参加する場合の参加費がいくらまでの場合は参加した方が確率的に得だと考えられるのかを計算(賞金の期待値未満の参加費ならば参加した方が有利です)します。

表が初めて出るまでに投げた回数を n とすると、2n−1円の賞金が手に入る計算になります。

これを計算すると

  • 10回目に初めて表が出れば512円
  • 20回目に初めて表が出れば52万4288円
  • 30回目に初めて表が出れば5億3687万0912円

このように賞金は青天(青空天井の略で、天井が青空のように高く限りなく思われるような状況)になるため、無限の賞金を得られる可能性があります。

つまり、この賭けは参加費がいくらでも参加した方が得だと言えます。

しかし、実際にコインの表が10回連続する確率は1/1024(0.0976…%)なのでとても低い確率になるため、無限に参加できるだけの資産がなければ利益を得る事は難しいと思います。

そのため、この賭けをおこなう場合の期待値は非現実的な値だと考えられます。

反対に、このゲームを運営する場合は、いつかコインの表を出し続ける人が現れてしまい、払いきれない賞金によって破産する可能性があります。

そのため、多くの場合はこのようなゲームには上限が設けられている事が多いです。
※上限を設ける事で参加回数が∞ではななくなるため賞金も∞ではなくなり適正な参加費の計算ができるようになります。

まとめ

ギャンブルをしている多くの人は「負けた額の倍をかけていけばいずれは勝てるはず」と考えた事があると思います。

しかし、実際にそれをするためには大きな資産がなくてはできないため、倍賭けをしていくと途中で資金が足りなくなってしまうと思います。

そして、その資金の制約がないとしても、実際には運営が儲かるような仕組みが作られているため、必ず勝てる方法の多くはギャンブラーの錯誤(ギャンブラーの誤謬/モンテカルロの誤謬)による影響です。

そうでなければ運営できないからです。

また、このような大きすぎる数字を扱う時は確率や期待値に対する認識を改める必要があるのも事実です。

宝くじのような「誰かが」大きな利益を得るものはその確率や期待値ははとても少ないですが、最大値が大きいため計算上の数字には疑問が残ると思います。

このような現象は平均収入や平均資産額にも表れ、平均と中央値(数字を順番に並べて真ん中の値)は乖離している事が多いですが、これは一部の富裕層が平均を大きく引き上げているため平均と実態には大きな差が生じています。

そのため、近年は平均収入や平均資産額よりも中央値を指標と捉える傾向もでてきました。
※個人的な見解としてはお金に関する情報は統計に含まれていない(収入がないような人は統計に入らない)情報が多いと考えられるため実際の中央値よりも実態は更に少ないと考えています。

備考

ロシア西部のネヴァ川河口デルタに位置する都市のサンクトペテルブルクに住んでいたダニエル・ベルヌーイが学術雑誌『ペテルブルク帝国アカデミー論集』の論文で「リスクの測定に関する新しい理論」を1738年に発表した。

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