アルコール依存症は行動や感情を抑制する事ができなくなる症状です。
アルコール依存症は飲酒をしている人の誰しもがなる可能性がある依存症で、身体にも悪景況を及ぼす危険な症状です。
しかし、日本では成人を過ぎると飲酒が法律的にも認められています。
その敷居の低さに対して、アルコール依存症のリスクは大きなものとなるため注意が必要です。
アルコール依存症の初期症状はストレス発散のためと考えられ、酔う事で気を紛らわす事が多いです。
次第にその頻度が増していき、周囲の人からお酒を飲んでほしくないと思われるようになったらアルコール依存症の可能性が高いです。
また、お酒が弱い人の中にはブラックアウト(飲酒時の記憶がなくなる)してしまう人もいますが、これは脳の記憶障害で飲酒量が少量でも起こる人がいます。
しかし、ブラックアウトの頻度が多い人はアルコール依存症の可能性が高いです。
このように脳に影響を与えるため、睡眠する前の飲酒を習慣にするのはあまりお勧めしません。
そして、アルコール依存症の人の多くは自分が依存していると認識していません。
そのため、やめる事は簡単だと思っていますが、大多数の人はやめる事が出来ずに、依存が強くなってしまいます。
アルコール依存症の原因
アルコール依存症は、アルコールの摂取が常態化する事で起こります。
アルコール依存症になる原因は様々ですが、その多くがストレスによるものと考えられています。
特に、感情の起伏が激しい人がなりやすいと考えられています。
一般的には成人で1日4合程度飲むと10~15年でアルコール依存症(身体依存)になると考えられています。
また、若年者の場合は少量でもアルコール依存症のリスクが高いです。
しかし、飲酒の低年齢化が進行しているため、中学生程度から飲む人もいます。
若年者の場合は、アルコール依存症だけではなく、アルコール中毒を発症する人も多いです。
アルコール依存症の症状
アルコール依存症の症状は様々です。
脳機能の障害がおこるため、多くの器官に異常が発生します。
- 脳の委縮
- 認知機能の低下
- 視覚、聴覚などの感覚器官の異常
- 肝機能の低下
- 血圧値の異常
- 手の震え
- 発汗
- 睡眠障害
また、離脱症状として
- イライラ
- 吐き気
- 幻聴
- 幻覚
なども引き起こされ、危険な状態となる人もいます。
アルコール依存症の治療
アルコール依存症の治療は単純で、お酒を完全に断つことで症状が改善されます。
しかし、アルコール依存症になる過程では何回も飲酒を止める機会はあったはずです。
それにも関わらず依存症が進行してしまった人は自分一人の力でアルコール依存症を完全に克服する事は難しいです。
これはアルコール依存症が精神的側面のみではなく身体的にもアルコールを求めるようになってしまうため自分でもコントロールができなくなるような強い飲酒欲求が起こる事があるためです。
このような強い飲酒欲求は離脱症状からくるもので、離脱症状に逆らう事で強い異常行動を起こす人もいます。
この状態は1か月程度続き、多くの人が離脱症状を乗り越えるのに苦労し悩まされます。
その後は安定しますが、断酒中はふとしたきっかけで飲酒をしてしまう可能性が高いです。
断酒が20年を超えても飲酒欲求が強くなることもあり、お酒を完全に断つ事は精神的にも強い意志が必要だと考えられています。
このようにアルコール依存症はお酒を断つだけではなく、その後の誘惑にも負けないようにしなくてはいけません。
まとめ
日本のアルコール依存症患者は200万人を超えると考えられています。
これは日本人の100人に1人です。
また、お酒を飲む人の25人に1人がアルコール依存症だと考えられています。
さらに、飲酒運転で検挙される人は約1%ですが、そのうちの約14%は再犯といわれ、飲酒運転の再犯率の高さから考えても、依存から抜け出すのは難しいようです。
このように強い依存を招くアルコール依存症ですが、平均寿命は50歳前半といわれ、一般的な平均寿命の80歳代と比較すると約30年ほど早く寿命を迎えるとされています。
アルコールは蓄積毒とも呼ばれ、多く摂取するほど身体への悪影響が大きいと考えられています。
そのため、依存度が低い早期治療を行うことが望ましいです。
備考
アルコール依存症とアルコール中毒は混同されやすいので注意が必要です。
アルコール依存症は長期的に飲酒を繰り返す事で飲酒をやめられなくなってしまう依存症の一種です。
一方急性アルコール中毒は短期的に大量のお酒を摂取する事で中毒症状(意識障害、血圧低下、嘔吐など)を引き起こし、重症の場合は救急車で緊急搬送され帰ってこない事もあります。