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心理学

正常性バイアス(恒常性バイアス/日常性バイアス/正常化の偏見)

投稿日:2020年1月13日 更新日:

正常性バイアス(恒常性バイアス/日常性バイアス/正常化の偏見)とは

概要

正常性バイアスは自分にとって都合の悪い事を過小評価する心理です。

多くの人は自分にとって都合の悪い事にはあまり興味や関心がないため積極的に情報収集する事はないため、多少の異常事態が起きても正常の範囲内であると認識する事で心理的なストレスを減らします。
※反対に興味がある事については常に情報を集めようと意識が働いているため、積極的に情報を収集するカラーバス効果が働きます。

そのため、多くの人は自分にとって都合が悪い事実を軽視してしまいますが、時にはその軽視した事実が実際にはとても大きな被害になる可能性もあります。
※認識を放棄・緩和してしまうと想定される事象への判断も誤りやすいため、想像以上に重要な過ちにつながる場合もあります。

そして、正常性バイアスの影響によって時には命を失ってしまう人もいます。

特に自然災害・火災・事故などの際に、本来ならば身の危険があって被害を受けないように身を護る必要がある場合でも、日常生活の中の正常な枠内の出来事と誤認してしまう事で最悪の場合は死んでしまいます。

正常性バイアスによって起こる事故を後から検証すると「普通は逃げるよね?」と思われるような事故である事が多いです。

これは自分にとっての都合の悪い情報(被害者になる可能性)を無視・軽視する事で起こってしまうため誰にでも起こる可能性があります。

具体例

正常性バイアスによって大きな事故となってしまった事例を紹介させていただきます。

2003年に韓国で起きた地下鉄火災(大邱地下鉄放火事件)では多くの乗客が煙が充満する車内の中に留まっていました。

煙を認識して口や鼻を押さえ危ないとは思いつつも席に座ったままの乗客の姿が撮影された映像(煙が充満していき、次第に視界も悪くなっていく様子)が残っています。

最終的には「命に係わる」と判断して逃げようとする映像も残されているのですが、その時にはすでに手遅れとなってしまったようです。

煙が充満している車内にいる人々の証言では「被害はたいしたことがないのでその場に留まるように」という旨の車内放送が流れたという情報もあります。

そして、この社内アナウンスは正常性バイアスを助長した可能性が指摘されています。

この火災によって198人に死者がでました。
※当時、世界の地下鉄火災史上で2番目となる死者数でした。

この事例では危険(脅威)からの距離感を誤ってしまったため、本来はもっと早くに逃げなくてはいけなかったのに、手遅れになったあとで脅威はすぐそこにあったと気ずいた事例です。
※これは正常性バイアスの影響だけではなく、周りが逃げないから大丈夫という集団同調バイアスという心理の影響で犠牲になった人もいると思います。

正常性バイアスの対応策

正常性バイアスの対応策としては、自分に都合の悪い事実についても問題をしっかり見つめる事が重要です。

また、問題を過小評価する心理は誰にでもある心理傾向という認識を持つ事も重要です。

多くの場合は危機管理を明白にするためのガイドラインが作成されているので、ガイドラインに目を通すのも良いと思います。

特に、身の危険を感じるような場合は「念のため逃げる」という意識を持つ事も重要です。

自分の身を護るための論理的な防衛ラインの選定を余裕をもって行う事は大切で、正常性バイアスが働く心理には「外部的な刺激に対しての反応を抑制する事で精神的な安定がもたらされる」という効果があるため心理的に冷静でいられるというメリットもあります。
※早めに避難ができれば心理的な余裕もあるので十分な備えをしやすいです。

まとめ

正常性バイアスは心の安定を保つために、非日常的な事でも日常の一部であるように思う心理です。

そのため、日々の生活で起こる様々な変化の中(新しい出来事や滅多に起きない事など)にも多くありますが、過剰反応してしまうと精神的に疲れてしまうため、心を落ち着かせるために日々の生活の延長上にある「あたりまえ」の状態であるとする心理です。

しかし、正常性バイアスが強く作用してしまうと災害や病気などの際に「不安だと思いつつも手遅れになるまで気が付かない」という事にもなりかねないので注意が必要です。

本当に危険な場合は警報装置が鳴る事もあると思いますが、多くの人はまず初めに「訓練かな?」「動作テストかな?」など、その警報がなにを意味するものであるのかを考えるところから始まります。

そのため、本当に非常事態でも異常な状態であると認識できずに避難などの対応が遅れてしまうといったこともあります。

実際に、本来は避難の必要があったのに「避難を誘導・先導すべき人たちに正常性バイアスが働いてしまい被害が拡大した事例」は多いと考えられています。

そして、正常性バイアスが働いてしまうと「日頃から非常時の対応を考えて冷静に行動できるように訓練も行っている」人でも、実際にそれが非常事態だと認識できなければ訓練した意味がなくなってしまうという致命的な課題を突きつけます。

また、これは災害時のみではなく病気でも言える事です。

体に多少の異常がでていても「大丈夫」と楽観視して気づかないふりを続けます。
※少しずつ悪化茹でガエル現象(茹でガエル効果/茹でガエル症のように気が付くと手遅れになりやすいです。

そして、なにかの検査の際に引っ掛かり手遅れになってしまっている事もあります。
※一番手遅れになりやすいのが癌(がん)です。

手遅れにならないように都合の悪い事もしっかりと認識を持ってしっかりと向き合う姿勢が重要です。

備考

正常性バイアスは社会心理学や災害心理学などで使用されている心理学用語です。

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