埋没費用効果は、損切(損失を確定させる)ができない心理状態です。
金銭、時間、精神などを投資し続ける事が損失になるとわかっていても、積み上げてきたものを失いたくない、無駄だと思いたくない心理です。
始めたら最後までやりたいという一貫性の法則が影響しているとされています。
また、人間特有の損得勘定が働く場合に起こるもので、損失回避性(損をしたくない心理)や、周囲から浪費していると思われたくない心理が働くとする意見もあります。
具体例
イギリスとフランスが共同開発した、超音速旅客機のコンコルドが商業的に失敗し大木な赤字を出しました。
コンコルドは超音速旅客機として開発され世間から多くの注目を集めました。
開発当初の期待は大きく、世界中から注文がありました。
しかし、開発費や維持費も高額、長い滑走路が必要、騒音や衝撃波などの問題もあり、限られた航路しか飛行できないなどの多くの課題が発生しました。
そのため、受注のキャンセルも相次ぎ、当時試算した際には「プロジェクとを中止し、違約金や賠償金を支払ったほうが赤字が少ない」との結果でした。
しかし、ここまでの費用が無駄になってしまう事や、今後の責任問題などが発生する事を恐れ、プロジェクトを進めました。
開発関係者はプロジェクトが破綻していると認識している状態でも開発を進め、その結果大きな赤字を出しました。
対応策
埋没費用効果は損切をすることで避ける事ができます。
これは常に基準を明確化して考える事が重要です。
始める際に損切の限界費用を事前に決めておく事で、バイアス(偏見)のかかっていない選択を行う事ができます。
ここで大切なのは枠を守ることはもちろん、その失敗を受け入れる事です。
失敗しても次に活かせればそれは失敗ではなく、成功への過程となることを意識する事で、損切する際の気持ちも違うと思います。
また、自分だけで判断するとバイアスがかかる事が多いため、第三者の視点で判断してもらえる信頼のおける方をから意見をもらうことも重要です。
自分が冷静だと思っていても、他者から見ると冷静さがなく、論理的に矛盾していることもあります。
まとめ
元本を取り戻そうと頑張り、その結果損をすることは意外と多く、ビジネスはじめ、ギャンブルや恋愛など日常的にも多く存在します。
埋没費用効果は行動経済学や心理学的でも認識されている現象です。
特に集団では責任問題も出てくることから回避するのが困難になりやすいです。
冷静に分析や判断を行い、損切を行いましょう。
よく言われている勉強代を意識する事で埋没費用効果を軽減できると思います。
備考
埋没費用効果はコンコルド事業の失敗から、コンコルド効果、コンコルドの誤謬(ごびゅう)、コンコルドの誤り、コンコルドの誤信、コンコルド錯誤など多くの呼び方があります。
また、サンクコスト効果、サンクコストの錯覚、サンクコストの呪縛、英語ではsanku cost fallacyなどと呼ばれる事もあります。