囚人のジレンマはお互い協力する方が、協力しないよりも良い結果になることが分かっていても、協力しない者が利益を得る状況ではお互いに協力しなくなるというジレンマです。
囚人のジレンマでは、囚人というモデルケースが社会に与える影響を示唆しています。
個人が各々の言動を合理的に選択すると、その結果は社会全体にとって望ましい結果にはなりません。
そのため、囚人のジレンマは社会的ジレンマとも呼ばれます。
囚人のジレンマの代表例
囚人のジレンマでは囚人A・Bを被験者として実験を行うモデルケースがります。
それぞれの囚人には「黙秘」「自白」のどちらかが選べ権利が与えられ、この選択によって刑期が異なると伝えます。
それぞれ刑期は下記の通りとなります。
- ① 囚人AB両方が黙秘 : 刑期2年(A・Bの刑期の合計は4年)
- ② 囚人AB両方が自白 : 刑期5年(A・Bの刑期の合計は10年)
- ③ 囚人Aのみ自白 : Bの刑期が10年(A・Bの刑期の合計は10年)
- ④ 囚人Bのみ自白 : Aの刑期が10年(A・Bの刑期の合計は10年)
上記の条件の場合はお互いに黙秘をする場合の合計刑期は短いです。
しかし、Aは③を選び、Bは④を選ぶ傾向が強いです。
A・Bの両方が自白をすると②に該当してしまうため、刑期は5年ずつになり最善な選択にはなりません。
パレート改善するには、非協力的な相手を信用し黙秘を選択するしかありません。
そのため、最善な選択をする事はとても難しいです。
まとめ
囚人のジレンマは総合的な観点で考える事の難しさを示しています。
社会では自己の利益を追求する人が増え、個人の利益を追求する事によってお互いに協力しないという選択になってしまいます。
そのため、社会科学では個人の間でいかに協力が可能となるかという事が基本的な問題となっています。
そして、囚人のジレンマは社会科学だけではなく、幅拾い分野で研究されています。
自然科学のような一見無関係と思われる分野でも、生物学の協力行動を説明するモデルとして活発に研究されています。
囚人のジレンマとカニバケツ効果が似ていますが、違いは下記の通りです。
囚人のジレンマは自分の利益を優先します。
カニバケツ効果は人の利益を阻害します。
備考
タッカーがゲームの実況を囚人の黙秘や自白にたとえたため、囚人のジレンマとばれています。
囚人のジレンマと混同されやすい用語に囚人のパラドックスがありますが、これらは別のものです。