初頭効果とは
概要
初頭効果は最初に与える印象の影響が強く残る心理効果です。
基本的に初対面で相手の事を詳しく知らない状況の場合、第一印象として受ける刺激に対しては合理的な判断よりも感情的に受け止める側面の影響が大きいです。
そして、この第一印象は最初の数秒間の視覚的刺激によって決まると言われています。
最初は相手の事を知らないため判断材料が少ない事から未知の要素については予想を立てた憶測で評価をしますが、この評価はとても曖昧で合理的な判断と異なった印象を持つ事が多いです。
そのため、実態とは異なった印象になってしまう事も珍しくはありませんし、この影響は数か月程度持続してしまうと考えられている事から最初についてしまった印象を覆すにはそれなりの判断材料が必要になります。
しかし、第一印象の影響の代表的な例ともいえる「一目惚れ」と言われる現象ですが、実際にはこの直感はかなり精度が高いと考えられています。
一目惚れをした約半数(55%)が結婚していますし、離婚率がとても低く男性の場合は20%程、女性の場合は10%以下という結果がでているため、本能的に「合う」「合わない」という要素を感じていると考える人も多いです。
※日本よりも離婚率が高いと考えられているアメリカで1500人を対象に調べた結果です。
そのため、第一印象の影響は軽視し過ぎても重視し過ぎてもいけないのかもしれません。
心理学的な視点からの初頭効果について
初頭効果は「第一印象の影響が大きい」というシンプルな心理効果ですし、初対面の人を評価する時の基準は第一印象以外にはないため当然といえば当然です。
その一方で場合によっては「よく見られたい」と思うシチュレーションもあると思います。
具体的には
- 新しい学級や組織で自己紹介で上手に自己PRしたい
- 好きな人に好感を持ってもらいたい
- 受験や企業の面接で良い印象を与えたい
- 新しい取引先などで良い印象を持ってほしい
このように、誰もが経験した事があるような場合でも第一印によってその後の生活は大なり小なり影響を与えていますし、実際にそれを感じた事がある人も多いと思います。
初頭効果は様々な心理効果が複合的に絡んで影響しているため、心理効果についての理解を深める事で初頭効果についての理解も深まると思います。
初頭効果に関係する代表的な心理効果にはアンカリング効果やハロー効果があります。
アンカリング効果について
アンカリング効果は感情的な影響を強く受ける事で基準が作られる現象です。
基本的には初めて経験した事は今までの基準点がないため、最初の経験が基準となる傾向があります。
アンカリング効果の具体例として、ここでは「パチンコ」を例に挙げます。
初めてパチンコをした際に利益がでると「パチンコは儲かるもの」という印象を強く受けます。
そして、この印象が基準となってしまうとその後に損失を出す事があっても「パチンコは儲かる」という印象が強く残っているため何度もギャンブルを繰り返してしまいます。
この「パチンコは儲かる」という基準は試行回数が少ない中で偏った成績を経験しただけの感情的な判断ですので、試行回数が増加する事で合理的な判断ができるようになって「実際には儲からない」思う時がくるかもしれません。
正常な判断ができる人や、収支をしっかりと付けている人は途中で「ギャンブルは儲からない」という裏付けに気がついて頻度や費用を減らしたりギャンブルを辞める人もいます。
しかし、実際にギャンブルから抜け出せない人の多くは度々儲かるタイミングがある事で「次は儲かる」という根拠のない自信をもってギャンブルをするようになっています。
このような状況は俗に言うギャンブルにハマっている状態でなかなか抜け出せない人が多いようです。
そして、この状態が悪化するとギャンブル依存症になってしまい、最終的には「自己破産してしまう」という人もいます。
このように感情的に決定付けらた「ギャンブルは儲かる」という基準点の影響を強く受けてしまうのがアンカリング効果の特徴です。
ハロー効果について
ハロー効果は顕著な特徴が過大評価される現象です。
初めて目にする刺激に対して、その人や物の表面的に見える部分からその印象を決定します。
ハロー効果の具体例
やる気がない人を見るとどうしても能力が低い印象を抱いてしまいがちです。
しかし、やる気というのは能力に対して、その人がどれだけ能力を発揮するかで決定されます。
やる気があるAさんは能力を100%使います。
やる気がないBさんは能力を50%しか使いません。
しかし、Aさんの能力が50でBの能力が110あったとしたら、Bさんはやる気を出さなくてもAさん以上の能力を発揮しています。
このように最初印象で未知の部分を想定するのがハロー効果の特徴です。
まとめ
最初の印象は大切でその後の関係に大きな影響を与えます。
特に合理的な判断よりも感情を重視しているタイプの人はこの影響が大きく、いつまでも正しい判断ができないまま過ごす事が多いです。
大切なのは過大評価も過小評価もせず等身大の評価をする事ですが、初対面の段階では情報が少ないため合理的な判断を行う事は難しいです。
そのため、知識や経験を積み感情に左右されないようにすることが大切です。
また、自分が他社を評価する一方で、他者も自分を評価しているのは忘れてはいけません。
ジョハリの窓では自己開示が進む事で好感を持たれるとされていますし「他人は自分を映す鏡である」と言われる事からも他者へ自分を知ってもらう事は交友関係を深める上で重要な要素となります。
特に、人は基本的に知らないものに対しての警戒心が強くなるため、知らない部分を減らしていく事で親密度は上がっていく傾向があります。
備考
ポーランドの心理学者のソロモン・アッシュが提唱しました。
初頭効果は最初に与える影響が大きい現象です。
それに対して、最後に与える影響が大きい親近効果があります。