仮眠は短時間の睡眠ですが、短時間でも睡眠をとる事で脳が整理され作業効率が向上します。
一般的には午後になると疲労が蓄積し能力が低下するため、お昼に仮眠をとる事が効果的だと考えられています。
仮眠の効果としては、30分以内の睡眠で30%以上も生産性が向上するという調査もあるため仮眠による効果は大きいです。
日中の眠気について
基本的に人が眠くなるの時間はPM2~4時(お昼過ぎ)とAM2~3時(深夜)です。
お昼過ぎの眠気はお昼御飯が正午前後である事が大きな要因です。
- 血糖値
お昼を食べると血糖値があがるため、体内では血糖値を下げようとしてインスリンが分泌されることにより、血糖値が上下するため眠気を誘います。 - 消化
お昼ご飯を食べたら、それをエネルギーに変換しなくてはいけません。
そのため体内では消化を促進させるためにエネルギーを使ってしまうため、脳内にまわるエネルギーが減ってしまい眠気を誘います。
このように、お昼ご飯と眠気には密接なかかわりがあります。
そのため、眠気を軽減するためにはお昼ご飯を少なくしたり、仮眠を取る事が効果的です。
また、通勤時や退勤時の短時間の移動でも寝てしまう人(仮眠を取ろうとして8分以内に寝てしまう人)は睡眠負債を抱えている可能性が高いので該当している場合は睡眠時間を確保することをお勧めします。
電車内で眠っている人を観察していると中には首の筋肉が緩んで頭がガクッと落ちる人がいると思います。
これは睡眠の状態がステージ2に入った段階で筋肉がゆるんでいる状態です。
この時に起きると寝覚めが良いです。
しかし、この状態がしばらく続きステージ3の睡眠状態までいくと起床時に不快な状態になるのでもっと寝ていたい気持ちが強くなてしまうため、起床時に疲労感が増してしまう可能性があります。
このように、仮眠はほどほどに行うのが効率が良いです。
仮眠の導入について
多くの人は午後になると集中力が低下(90%以上の人が業務中に眠気や集中力が低下している自覚がある)してしまいますが、仮眠を取る事で脳に休憩を与える事ができるため、生産性が向上(30分以内の仮眠で30%以上の生産性が向上すると考えられています)します。
※仮眠が終わった後はストレッチをして体を起こすのがポイントです。
そのため、世界的に有名な企業の中には仮眠の時間や仮眠室を設置し、積極的に仮眠を導入している企業(Google、Apple、Microsoft、NIKE、NASAなど)も多いです。
また、日本でも一部ではありますが仮眠を導入している企業(三菱地所、東急不動産ホールディングスなど)があります。
※三菱地所による実証実験では、仮眠の時間を設ける事で、従業員の生産性向上が証明されています。
基本的に仮眠スペースを導入するような企業は福利厚生をが充実させ、従業員の健康促進に力をいれている傾向があり、社員食堂や運動スペースなども導入している事が多いです。
このように、従業員のが健康に配慮した取り組みを積極的に進めている企業は、近年成長傾向にある傾向が強いです。
昔のように労働時間を長くして残業を増やす事で生産性を上げていた時代とは異なり、効率良く働くことで生産効率を上げるように働き方も変化したという事だと思います。
仮眠のポイント
仮眠はただ短時間の睡眠をとればよいというわけではなく、作業のパフォーマンスを向上させるためには仮眠する時間帯と睡眠時間の長さが重要で、これを意識する事で仮眠が終わった後の状態が異なります。
仮眠する時間帯
基本的には仮眠の効果が高まるのは起床後8時間程度経過した時間だと考えらています。
これはタイミングの問題で、1日は全ての人に平等に24時間与えられています。
そのうち8時間の睡眠時間を引くと残りは16時間であるため、活動時間の中間付近の起床後8時間程度の段階で仮眠をとる事で高い作業効率を維持しやすくなります。
例えば、AM7時に起きる人の場合は(7+8=13)PM1時(お昼)頃に仮眠を取る事でその後の作業効率を上げる事ができます。
仮眠する睡眠時間の長さ
仮眠を取る際の睡眠時間も重要で、寝すぎてしまうと夜の睡眠に悪影響を与えてしまします。
そのため、5~15分程度か長くても30分以内(企業の仮眠時間は10分前後である事が多い)にすることが推奨されています。
この30分以内というのは睡眠サイクルを意識した時間です。
睡眠を始めるとレム睡眠からノンレム睡眠のステージ3(最も深い睡眠)へ30分程度かけて向かっていきますが、ステージ3の状態で起きてしまうと起床時に悪影響がでてしまいます。
そのため推奨できない仮眠時間は30~1時間程度(ノンレム睡眠のステージ3の状態から強制的に起きるため)の時間は心身に悪影響を与える可能性があるので良くありません。
深い睡眠(ノンレム睡眠のステージ3)状態で起きると倦怠感や眠気がでてしまい作業効率が落ちてしまうため仮眠を取っているのに作業効率が落ちかねません。
仮眠の種類
仮眠はその長さによって種類が分かれています。
- ナノ・ナップ(数秒~数十秒程度)
数秒程度の休憩でも脳にとっては貴重な休憩時間です。
そのため、数秒間の休息を意識的の取る事で、脳を休める事ができます。 - マイクロ・ナップ(数分程度)
短時間の仮眠は電車やバスの移動中で取る人も多いと思います。
帰りの電車内で仮眠を取れれば、家に帰ってからも活動を積極的に行いやすいです。 - ミニ・ナップ(10分程度)
多くの企業で推奨している時間です。
楽な体勢で横になって休むことで心理的な影響も大きいと思います。
寝すぎてしまわない様に注意が必要です。 - パワー・ナップ(20分程度)積極的仮眠
短時間の仮眠で最も長い仮眠です。
これよりも長く仮眠を取る場合は90分以上取らなければ仮眠としての効果をあまり期待できません。 - ホリデー・ナップ(90分程度)
長い仮眠であるため、休日に取る事が多いと思いますが、その効果は最も良いです。
※睡眠サイクルが90分程度だと考えられているため、最も深い睡眠(ノンレム睡眠のステージ3)までの1サイクルを行えるため、高い効果が期待されます。
まとめ
仮眠を行うことで脳を整理し、良い状態で活動を行うことができます。
仮眠の効果には
- 集中力が上がる
- 持続力が続く
- ストレス軽減
- 記憶・認知能力向上
- 意欲向上
- 活動的になる
このような効果がありメリットしかありません。
しかし、日本の社会ではまだ理解されていない事も多く、中には夜の睡眠時間を削ることを誇らしいと勘違いしている人もいます。
一日の必要睡眠時間は8時間程度だと考えられていますが、多くの日本人は十分な睡眠時間を取らずに睡眠負債を抱えています。
睡眠負債を抱えた人は十分な能力を発揮できないため、記憶・認知機能・意欲・集中力などが低下しています。
※一部の睡眠時間が少なくても健康に悪影響がない短眠者(ショートスリーパー)を除く
睡眠不足が続くと瞬間的に意識がなくなるのは、脳が疲れてしまい強制的に休憩をしている状態です。
このような状態は脳が働き過ぎている状態で危険です。
しかし、それを理解せずに寝ずに働くのが良いと考える人もいます。
昭和の日本では高く評価されていたのかもしれませんが時代は変化して効率よく生産性の高い人が評価されるように時代も変化してきています。
そのため、仮眠を導入する企業も増加傾向にあります。
しかし、仮眠を導入するような企業は従業員の健康の促進が生産性の向上につながるという認識があり、従業員への信頼もある会社であるため多くの企業では導入する事が難しいです。
なぜなら、生産性の低い従業員に仮眠の時間を与えても生産性が下がるだけですし、休憩時間が足りているような従業員の休憩時間を増やしても生産性は下がる一方です。
そのため、十分な生産性のある従業員を雇用する事難しい中小零細企業(能力のある人の応募が無い事が多い)では仮眠の導入は難しいため、大手企業でなければ仮眠の導入は難しいです。