ジーニー(ジェニー)・ワイリー | あむぶろ 学校では教えてくれない大切なこと

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ジーニー(ジェニー)・ワイリー

投稿日:2021年8月9日 更新日:

ジーニー(ジェニー)・ワイリーとは

概要

ジーニー・ワイリー(仮名)は虐待にあった少女として広く知られています。

アメリカのワイリー家の自宅で赤子の頃から13歳まで部屋で拘束され身動きがとれない状態で監禁されて過ごしました。

1957年4月18日に生まれた彼女は文明社会の中に身を置いているにもかかわらず13歳まで社会から隔離されて教育を受けることなく成長したため発見当初は満足に歩く事もできない状態から「うさぎ歩き(bunny walk)」と呼ばれる歩行をしていました。
※このような環境だったため「13年間部屋に閉じ込められていた少女」としても知られています。

彼女のように幼少期の貴重な成長過程で環境に恵まれず、機能不全家族による監禁・軟禁状態で育ってしまい社会から隔離されて過ごしてしまった子供は周囲の環境が閉鎖的な状況で過ごしたため隔離児と呼ばれる事もあります。

ジーニーの他にも「アンナ」や「イザベル」も隔離児として周知されています。

  • アンナ
    • 1932年3月1日~3月6日に生まれたと考えられていて、アンナは非嫡出子であった事もあり住む場所を転々とすることになりました。
    • 出生後2週間で祖父の農園→母親の友人の家→複数の養育院や乳児院をたらい回しにされ、生後の5ヶ月の時点で最終的に祖父のもとに戻されましたが、母親はアンナを部屋に閉じ込めたままにして最低限の世話のみだったようです。
    • アンナが5歳のときにペンシルベニア州付近の農家の物置に閉じ込められていたところを救出されました。
  • イザベル
    • 1932年4月に生まれたイザベルは母親とともに日光の当たらない部屋で育てられました。
    • 1938年11月まで監禁されていましたが、母親はイザベルを連れて脱出に成功した後に保護されました。

隔離児は人間社会から離れた生活環境で育ってられため、広い意味での野生児(野生人)に該当します。

また、社会生活に必要な言語教育などの基本的な教育を幼少期に受ける機会を与えられない子供は孤立児にも分類されます。

孤立児は少数ですが現在でも存在していて稀にですが発見されています。

家庭環境

ジーニー・ワイリー(本名はスーザン・ワイリー)は1957年にアメリカのカリフォルニア州在住の「クラーク(父親)」と「アイリーン(母親)」の両親の元で4番目の子供として生まれましたが、同4月に実際に生存確認されたのは兄が1人(2人は既に虐待によって死亡していた)いるだけでした。

ジーニーは生後1年2か月で医師から「発達が遅れている可能性がある」と診断され、それを過剰に受け取ったクラーク(父親)はジーニーを監禁するようになってしまいました。

ジーニーは基本的には全裸で便器付の幼児椅子にまったく動けない状態になるように拘束(父親自作の締め具を使用)されており、物音を立てるとクラーク(父親)から暴力(棒で殴られるなど)を受けていました。

食事は最低限の物(オートミールやベビーフード稀に卵など)を与えられていましたが食事の際に言葉を交わす事はなく、犬のように唸って威嚇するなど非人間的なコミニュケーションしか取れなかったようです。

母親(アイリーン)は一緒に暮らしていましたが目が悪い事もあり電話も満足にできないような状態だったため夫に対して逆らう事もできなかった事も影響しジーニーへの虐待は長期間続く結果となってしまいました。

クラーク(父親)とアイリーン(母親)の間では「ジーニーが12歳まで生き残ったら虐待を辞める」という約束があったようですがその約束は守られることなくジーニーが13歳の時に激しい口論の末に母親はジーニーを連れて家を出た事で事件が発覚しました。

クラーク(父親)の虐待から解放された後

クラーク(父親)の元を離れた後、ジーニーとアイリーン(母親)は祖母の家で3週間程度過ごした後に援助施設を訪れ事件が発覚しました。

両親は児童虐待で告訴されましたがクラーク(父親)は出廷を命じられ出廷予定日の前日に「世界は決して理解できないだろう」と書き残して拳銃自殺しました。

長年の虐待の影響によってジーニーは13歳の時点で「身長137cm、体重26.7kg(平均身長153cm、平均体重47kg)」と小柄で6~7歳程度の身体の成長状態で「固形物を咀嚼できない」「排せつの習慣がない」一般的な生活を行うための十分な筋力が無いため立つこともままならず、歩行が不慣れなため「兎歩き(バニーホップ:Bunny walk)」と呼ばれる奇妙な歩行しかすることができませんでした。
※人前で排便・排尿・自慰行為などをしてしまう状態でした。

そのため、ジーニーはロサンゼルスの小児病院へ入院しました。

当時のジーニーは言葉を話せずに簡単な単語や命令文をわずかに理解できる程度(病院に来た当初のテストで彼女の社会的な成熟度や精神的能力が1歳程度の状態という結果)でした。

しかし、当初医師が指摘した「発達の遅れの可能性」の根拠となる原因は見つからないと判断したため彼女の年齢に対して幼い心身は家庭環境によるものであるという結論に至りました。

数か月かけてトイレや着替えの方法を覚えてましたが、言語教育においては二語文を習得する事ができましたがそれ以上はなかなか進展しませんでした。

ジーニーの居場所は次々と変わっていきました。

ジーニーは両親と生活する事ができないため虐待から解放された後も居場所を転々とすることになり一部では”実験動物”のように扱われてしまったと言われてしまうほどです。

  1. ジーン・バトラー
     養護学級の女性教師をしているジーン・バトラーと仲良くなりましたが、里親の申請が却下されました。
  2. デービット・リングラー
     心理学者のデービット・リングラーとその妻マリリンが里親になりました。
    マリリンの指導によって食事の作法などを身に着けていきましたが、研究費の打ち切りが決定すると里親をやめてしまいました。
  3. アイリーン
     手術を終えて視力を取り戻したアイリーン(実母)に引き取られました。
    しかし、ジーニーの乱暴な振る舞いに耐えられずに一緒に暮らす事を断念してしまいました。
  4. 厳しい躾をする里親
     厳しい躾をする影響によるものか、ジーニーは身についていた生活習慣もなくなり、言葉もしゃべらなくなってしまいました。
  5. 病院
     厳しい躾をする里親の影響によってジーニーの状態が思わしくない方へ変化しました。
     その状況に危機感を持ったカーティスはジーニーを病院にいれました。
  6. 里親
     病院をでて新しい里親に引き取られましたが、長くは続きませんでした。
  7. 里親
  8. 里親
     短期間で2組目の里親が次々と変わりました
  9. 知的障害者センター
     母親アイリーン(アイリーンは2003年に死去)が監督権を取り戻して知的障碍者センターで暮らす事になりました。
  10. 2008年の段階ではカリフォルニア南部の施設でくらしています。

周囲の反応

ジーニーは文明社会の教育を受けることなく育った数少ない事例です。

通常の子供が「ことばを知る時期」に何らかの問題によって言語取得できなかった子供は臨界期仮説などの参考となる貴重な事例として科学者(特に心理学者や言語学者など)の注目となる事が多く、ジーニーもその例外から漏れずに世界中の科学者から注目を集めました。

特にスーザン・カーティスは1971年6月からジーニーを観察して言語を学んでいく過程を記録して発表、その後1977年には出版しました。

論文のタイトルではジーニーの事を野生児(Wild Child)と表現し、アイリーンの反感をかってしまいました。

ジーニーは二語文(今日、晴れのような内容)を話せるようにはなりましたが、そこから先の進歩は難しかったです。

言葉を覚えると徐々に過去にどのようなことがあったのかを語るようになりました。

まとめ

ジーニー・ワイリーのように教育を受けることができなかった子供は少なく、孤立児といわれ奇異な目で見られ多くの人の興味をひきます。

特に、ジーニーのように歩行もままならないケースは少ないため、世間からの注目も相当と強かったと思います。

ジーニーのほかにもカスパー・ハウザーも良く知られている孤立児です。

ジーニーやガスパーのように幼少期に教育を受ける事ができなかった子供には多くの困難が待ち受けています。

特に問題なのは言語教育や一般教養がない事から常識的な言動ができないため文明社会で暮らすには困難が多いです。

そして、臨界期仮設で提唱されるように12歳前後までに言語を獲得できない場合はその後に言語教育を受けても取得が困難(取得を目指しても母国語のように話せるようになることは難しい)となってしまいます。

特にジーニーは言語教育だけでなく、身体の自由も満足に与えられなかったせいか、脳の使い方が通常とは異なると診断されましたし、暗所に閉じ込められたカスパー・ハウザーは通常よりも目や耳が発達していたと考えられているため、環境に応じて取得する能力に変化が表れている可能性もあります。

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