
ザイガニック効果(ツァイガルニク効果)とは
概要
ザイガニック効果は完成されていない途中の状態が気になる心理です。
目標を達成できていなかったり中断している事についての印象が強く残り、そのことについて考える時間が増えます。
学校の宿題が終わっていないと(特に夏休みが終わる時期になると)遊んでいる最中でも時折宿題の進捗状況が気になった経験を持つ人は多いと思います。
つまり、未完成の間は完成という目標に意識が集中しているため、鮮明に記憶されて覚えていられるのですが、完成したと感じてしまうと意識が他に向いてしまうため、記憶が薄れてしまう傾向がある心理です。
特に進度が進み完成に近づくにつれてより強く記憶に残ります。
しかし、目標が達成されると次第に記憶が薄れていきます。
ザイガニック効果の原理
基本的に脳は課題を与えられるとそれに対して解決しようとします。
特に知らないものや見えないものに対して警戒心や恐怖心を抱くので不安定な気持ちを軽減するためには解決する必要があるため強く意識してしまいます。
多くの人は宇宙人や幽霊が怖いと思った事があると思いますし、それについて考えた事もあると思います。
また、誰もいないはずなのに気配を感じたらオバケがいるのではないかと脳裏をよぎる事も多いと思いますが、これは無意識に潜在意識から記憶を引き出している状態です。
このように、未完成の状態は課題を投げかけられている状態で、脳はその答えを必死に模索します。
そのため、解決方法を無意識に考えてしまう心理的な傾向があります。
この効果を使うためにマーケティングなどではあえて完成形を隠しておき、意識を向ける手法が取り入れられています。
ザイガニック効果の具体例
宣伝
ザイガニック効果が用いられる事が多いのは映画の宣伝動画などの、映像作品はお勧めの場面(シーン)を流しますがそのシーンの最後まで(ストーリーが完成されるまで)は映像を流しません。
この手法はクリフトハンガー(プロット)と言われ、ドラマやアニメの次回予告や番組の途中で流れるコマーシャルでもザイガニック効果が発揮され、作品の途中までしか知らない状態がもどかしく感じます。
動画宣伝の場合はキャッチコピーや名セリフを主題歌(有名なアーティストが歌事も多いです)を流す事も多く、話題性が高い傾向があり宣伝を見ていない人にも広く周知される傾向も強いです。
宣伝映像を見た人は「この後の展開がどうなるのか」が気になり宣伝を見ない場合よりも映画を見る可能性が高くなります。
恋愛
ザイガニック効果は恋愛でも用いられます。
「もう少し話したい」「もう少し一緒にいたい」と相手ところで何かしらの理由によって中断させる事で、心残りを残す事で気になる状態を作為的に作る事ができます。
そのため、相手と直接会っていない間にも気なる存在として考えてもらう事ができ、うまくいけば意識を向ける事ができます。
また、叶わなかった恋や、うまくいっていた恋愛なのにフラれてしまった。
このような状態はザイガニック効果がもたらされる典型ともいえます。
そのため、いつまでたっても強く印象に残ってる恋愛の記憶を持つ人は多いです。
まとめ
ザイガニック効果は未完成であったり、隠れている事で意識が向く効果です。
昔からよく使われる手法であるためテレビCMなどでマーケティングを行う際に多様され「衝撃の展開はCMのあと!」「次回、真相が明らかに?!」など、先の展開をテロップとして煽る手法を目にした事がある人も多いと思います。
このような宣伝は実際にとても有効で、ドラマやアニメなどの週間で放映している作品を途中で見るのを辞めてしまう事ができる人はとても少ないと思います。
※一貫性の法則(一貫性の原理)の法則のように、途中でやめる事を妨げる心理も作用していると思います。
近年はインターネットが復旧した影響でSNS(ソーシャルネットワークサービス)などの広告でも用いられる事が増加しました。
これは実際にザイガニック効果が有効だと考える方が多い事の証明でもあります、広告の宣伝費用以上の集客効果や売上効果が期待されているためです。
また、ザイガニック効果の特徴として、目標を達成する直前が一番記憶に残りやしという特徴があります。
これは未完成でありつつもより完成に近い状態です。
そのため、目標が具体的でなくては効果が薄れてしまう点は要注意です。
この効果を最も有効的に使っているのは現在ルーヴル美術館で展示・管理されているミロのヴィーナスだと思います。
ミロのヴィーナスは美しい女性の彫刻ですが両腕がないため、その両腕がどのようになっているのかを気にしてしまう人が多いです。

実際に多くの芸術家や科学者が欠けた両腕を復元しようと試みていますが、定説すら完成してはいません。
※リンゴを手にしていたという話が広く伝わっています。
これは未完成のものについての興味や関心はとても高く、想像を膨らませて好奇心を刺激する事の象徴であるかもしれません。
備考
ドイツの心理学者、クルト・レヴィン、ブルーマ・ツァイガルニクの仮設が由来とされています。
ツァイガルニク効果のツァイガルニク(Zeigarnik)はザイガニックとも読めるため、ザイガニック効果とも呼ばれます。