クオリアは感覚意識やそれにともなう経験のことです。
クオリアはなんらかの脳活動によって生み出されていますが、具体的なメカニズムはわかっていません。
また、脳の活動でクオリアを生み出す場合と生み出さない場合の差もわかっていません。
哲学者は長くクオリアについて論じてきましたが、クオリアという概念に意味があるか意見がわかれています。
クオリアには狭義での意味や、広義での意味があるため、両者の意思疎通がしっかりとできているのかが重要になります。
クオリアの意味
狭義での意味のクオリア
短期的な意識経験のうちの一つの感覚的側面を示します。
具体的には、青信号から赤信号へ変わる過程を見ている人は、途中で表示される明滅の黄信号を見ているという事象に関しての同じクオリアを経験していえうというように、狭い視点での判断を行います。
このように狭義でのクオリアについては、限られた事象に収める事で研究ができるため、脳科学的に研究が進んでいます。
広義での意味のクオリア
狭義でのクオリアよりも範囲を広くするため、経験するすべての感覚や非感覚的経験を含むものとなります。
一瞬の経験や過去の事象は再現することができず、科学的な研究はとても難しいため、哲学的分野での論点として着目されるにとどまっています。
様々なクオリア
- 視覚体験
- 聴覚体験
- 触覚体験
- 嗅覚体験
- 味覚体験
上記の様に感覚による体験は人間の感じる事の出来る全ての要素に影響されると考えられています。
そのため、同じ状況でもその感じ方に大きな影響を与えます。
視覚からの影響を強く受ける方や、聴覚の影響を強く受ける方など、どの影響をどの程度受けるのかも異なります。
具体例
クオリアによる違いは価値観や感じ方の違いとして現れます。
経験した事のない感覚は相手へ伝えようとしても難しいです。
私たちの見ている色もその一つです。
有名な思考実験にメアリーの部屋があります。
白と黒しかない部屋で生まれたメアリーがその部屋から一歩も外にでずに色を経験しないで育ちます。
メアリーは白黒の本を読んで様々な知識を身に着けていきますが、色を経験する事はありません。
そのため知識としての色に関する情報は十分に与えられます。
この部屋から出たメアリーは色を経験する事で新たに学ぶことがあるのかという実験です。
外に出る事でメアリーに新しい学びがあるとしたら、それは経験する事で得られるクオリアが影響しています。
まとめ
同じ事象を経験してもその過程で経験した事によって感じ方が異なります。
しかし、まったく同じ状況でその事象を経験する事は不可能に近いです。
隣で見る景色でもそれは異なった景色となるため、同じ事象は経験できません。
この些細な差でも積み重なったり、時間経過によりバタフライ効果の様に差が広がります。
また、クオリアを深く研究する事は人間を深く研究する事でもあるため、未知の要素が多いです。
そのため、様々な視点から多角的に分析されています。
中にはクオリアの存在を否定する考えもあります。